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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第6話 銀座ママ、火種を消しに行って火柱を立てる

亀の前と話してから数日。


鎌倉の空気は、妙にざわついていた。


「政子様……最近、鎌倉殿が亀の前様の御殿に通われておられるとか……」


侍女が怯えた声で告げる。


(ああ、そういう時期なのね)


銀座でもよくあった。

“奥様と愛人が接触した後、旦那が気まずくて愛人の方に逃げる”という現象。


私は深く息をついた。


「……亀の前さん、大丈夫かしら」


侍女たちは青ざめた。


「政子様!? まさか……また会いに行かれるおつもりで……!?」


「ええ。心配だから」


「ひぃっ……!」


(なんで悲鳴なのよ)


どうやらこの世界では、

**“心配する”=“報復に行く”**

と変換されるらしい。



亀の前の御殿に向かうと、

彼女は部屋の隅で膝を抱えていた。


「政子様……」


その顔は泣き腫らしている。


私はそっと隣に座った。


「どうしたの?」


「鎌倉殿……最近、私のところに来られても……

 ずっと黙っていて……

 まるで、私が悪いことをしたみたいで……」


(あー……完全に“気まずい男”ムーブね)


私は優しく彼女の背を撫でた。


「あなたは悪くないわ。

 ただ、頼朝さんが不器用なだけよ」


亀の前は涙をこぼした。


「政子様……どうしてそんなに……優しいのですか……」


「優しいんじゃないわ。

 あなたが、誰かに優しくされるべき人だからよ」


銀座で何度も言ってきた言葉だった。


亀の前は泣きながら私に抱きついた。


その瞬間──

廊下の向こうで、侍女たちの悲鳴が上がった。


「み、見ましたか……!

 政子様が亀の前様を“完全に支配”しておられる……!」


「なんという……恐ろしい……!」


(いやいやいやいや!!)


私は心の中で全力で否定した。


だが、誤解は止まらない。


侍女たちは震えながら走り去り、

その噂は瞬く間に鎌倉中へ広がった。


──政子、亀の前を泣かせて屈服させる。


(違うってば!!!)



その日の夕方。


義時が血相を変えて駆け込んできた。


「姉上!! 大変です!!」


「どうしたの?」


「鎌倉殿が……激怒しておられます!!

 “政子が亀の前を泣かせた”と……!」


(いや、泣かせたのは私じゃなくて頼朝の不器用さなんだけど)


義時は青ざめて続けた。


「鎌倉殿は……

 “亀の前の御殿を壊す”と……!」


(……あー……来たわね、歴史イベント)


私は立ち上げった。


「止めに行くわ」


義時は震えた。


「姉上……!

 鎌倉殿を止めるなど……命がいくつあっても足りません!!」


「大丈夫よ。銀座で似たような修羅場、何度も経験したわ」


「銀座とは違います!!」


(いや、意外と似てるのよ……)


私は静かに言った。


「義時。

 誰かが止めなきゃ、もっと大変なことになるわ」


義時は息を呑んだ。


「……姉上……

 あなたは……本当に……」


「悪女?」


「い、いえ……

 恐ろしく……頼もしいお方です……!」


(褒められてるのか怖がられてるのか、どっちよ)


私はため息をついた。


──善意で動いているだけなのに、

なぜか“悪女”扱いが加速していく。


でも、いい。


誤解されても、嫌われても、

私は今日も誰かの心を救う。


銀座ママ流に。


そして私は、

**暴走する頼朝を止めるため、

亀の前の御殿へと走り出した。


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