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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第55話 行成、鎌倉殿に謁見す

朝廷の使者・藤原行成が鎌倉へ到着した翌朝。


鎌倉殿・頼朝の館は、

いつもより静かだった。


「京の使者が……」

「鎌倉殿に何を伝えるのか……」

「政子様のことだと聞いたが……」


(ええ、そうよ。

 “政子の影”を探りに来たの)


侍女が駆け込んできた。


「政子様……!

 行成殿が……

 鎌倉殿への謁見を求めております……!」


私は静かに頷いた。


「行かせてあげて。

 頼朝さんは……

 “京の空気”を嫌うけれど」


侍女は震えた。


「政子様は……

 行かれないのですか……?」


私は微笑んだ。


「ええ。

 今日は“影の動き”を観察する日よ」


(行成が頼朝さんに何を言うか。

 それが第三章の最初の鍵)



──頼朝の館。


行成は、

京の公家らしい優雅な所作で頭を下げた。


「鎌倉殿。

 朝廷よりの使者、藤原行成にございます」


頼朝は無表情で言った。


「遠路ご苦労。

 用件を聞こう」


行成は、

わざとゆっくりと、

周囲に聞こえるように言った。


「──“北条政子、朝廷を軽んじている”」


空気が凍りついた。


頼朝の眉がわずかに動く。


「……政子が?」


行成は続けた。


「政子殿は、

 鎌倉殿を操り、

 御家人を従え、

 鎌倉を北条のものにしようとしている──

 そのような噂が、

 京にて広まっております」


(ああ、来たわね。

 “政子=悪女”の構図)


頼朝は静かに言った。


「噂など……

 京ではよくあることだろう」


行成は微笑んだ。


「ええ。

 しかし──

 “火のないところに煙は立たぬ”とも申します」


頼朝の目が鋭くなった。


「行成。

 政子は……

 鎌倉の柱だ」


行成は一瞬だけ目を細めた。


(頼朝さん……

 あなたの“政子への信頼”は、

 京にとって最大の障害なのよ)


行成は言葉を変えた。


「鎌倉殿。

 政子殿は確かに賢く、

 強く、

 そして……

 恐ろしいほどの影響力をお持ちです」


頼朝は黙って聞いている。


行成はさらに踏み込んだ。


「しかし──

 “政子殿の力は、

 どこから来るのか”

 朝廷は知りたがっております」


(ああ、やっぱりそこを聞くのね)


頼朝は静かに言った。


「政子の力は……

 政子自身のものだ」


行成は首を振った。


「いいえ。

 政子殿の背後には……

 “何か”がある。

 朝廷はそう見ております」


(“何か”じゃないわ。

 “空気”よ)


行成はさらに探りを入れる。


「鎌倉殿。

 政子殿は……

 あなたを操っているのでは?」


頼朝の目が鋭く光った。


「行成。

 その言葉、

 もう一度言ってみろ」


行成は微笑んだ。


「京では……

 そう囁かれております」


頼朝は立ち上がった。


「政子は私を操らぬ。

 政子は……

 私の“隣”に立つ女だ」


行成の表情がわずかに揺れた。


(頼朝さん……

 あなたのその言葉、

 京にとっては“脅威”よ)


行成は静かに言った。


「鎌倉殿。

 朝廷は……

 政子殿を“危険視”しております」


頼朝は冷たく言った。


「危険なのは……

 政子ではなく、

 “政子を侮る者”だ」


行成は息を呑んだ。


(頼朝さん……

 あなた、本当に政子さんが好きね)



──政子の屋敷。


義時が駆け込んできた。


「姉上……!

 行成殿が……

 鎌倉殿に“政子殿は危険”と……!」


私は静かに言った。


「ええ。

 そう言うと思っていたわ」


義時は震えた。


「姉上……

 これは……

 朝廷との戦いの始まりでは……?」


私は微笑んだ。


「義時。

 影はね、

 “最初の一撃”が一番弱いのよ」


義時は息を呑んだ。


「姉上……

 では……

 どう動かれます……?」


私は静かに言った。


「行成を“光の場”へ引きずり出すわ」


義時は震えた。


「姉上……

 あなたは……

 京の影すら……

 読んでいるのですね……!」


(読むだけじゃないわ。

 “動かす”のよ)



──夜。


私は灯りの下で筆を取った。


(行成。

 あなたは“京の影”。

 でも──

 影は光に弱い)


筆が走る。


「……次は“接待”」


私は静かに笑った。


──悪女は、

影を迎える時ほど優雅になる。


そしてこの日、

**藤原行成は頼朝に謁見し、

政子の“影”を探ろうとしたが、

逆に頼朝の“政子への信頼”を見せつけられた。**


京と鎌倉の空気は、

静かにぶつかり始める。


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