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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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52/120

第52話 頼朝、“政子は鎌倉の柱だ”と宣言する

評定の間は、

張り詰めた弦のように静まり返っていた。


比企能員の“最後の策”は、

政子によって完全にひっくり返された。


だが──

能員はまだ立っていた。


「政子殿……

 あなたは強い。

 だが……

 強さだけで鎌倉は守れぬ」


(まだ言うのね。

 でも、ここで終わりよ)


その時だった。


頼朝が一歩、前へ出た。


空気が一瞬で止まる。


「能員。

 お前の言葉は……

 もう聞き飽きた」


能員の顔が強張った。


「鎌倉殿……?」


頼朝は政子の横に立った。


(ああ……

 この立ち位置。

 “政子の隣”に立つ頼朝さんは、

 本気の時だけ)


頼朝は静かに言った。


「政子は……

 鎌倉の柱だ」


空気が震えた。


「鎌倉の……柱……?」

「頼朝様が……!」

「ついに……!」


能員は震えた声で言った。


「鎌倉殿……

 しかし……

 政子殿は強すぎます……

 御家人たちの声が……」


頼朝は遮った。


「政子は御家人の声を聞く。

 お前よりも、誰よりもだ」


能員は言葉を失った。


頼朝は続けた。


「宗員の偽文書。

 御家人の不安を煽る影の策。

 すべて……

 お前の仕業だ」


能員の顔から血の気が引いた。


「……鎌倉殿……

 それは……!」


頼朝は冷たく言った。


「能員。

 お前は“鎌倉のため”ではなく、

 “比企のため”に動いた」


御家人たちがざわつく。


「比企のため……?」

「やはり……」

「政子様の言った通り……!」


能員は震えた。


「鎌倉殿……

 私は……

 ただ……!」


頼朝は言い放った。


「政子を貶め、

 鎌倉を揺らし、

 影で空気を乱した。

 その罪は重い」


能員は膝をついた。


「鎌倉殿……

 お許しを……!」


頼朝は静かに言った。


「許すかどうかは──

 政子が決める」


空気が一気に政子へ向いた。


(ああ……

 この瞬間。

 空気が“私を中心に回る”瞬間)


私はゆっくりと能員の前へ歩いた。


能員は震えていた。


「政子殿……

 私は……

 私は……!」


私は静かに言った。


「能員。

 あなたは影として動いた。

 でも──

 影は光に勝てない」


能員は崩れ落ちた。


「政子殿……

 私は……

 敗れたのか……?」


私は頷いた。


「ええ。

 あなたの影は、

 ここで終わりよ」


能員は目を閉じた。


「……政子殿。

 あなたは……

 恐ろしいほど強い……」


(それは褒め言葉として受け取るわ)


私は背を向けた。


「能員。

 あなたの策はすべて光に晒された。

 もう影には戻れない」


頼朝が言った。


「政子。

 これで……

 第二章は終わりだ」


私は静かに頷いた。


(ええ。

 でも──

 次はもっと大きな影が来る)



──夜。政子の屋敷。


私は灯りの下で筆を取った。


(比企能員。

 影の本体。

 でも──

 影は光に焼かれた)


筆が走る。


「……次は“京”」


私は静かに笑った。


──悪女は、

影を焼き尽くした後、

次の影を探しに行く。


そしてこの日、

**頼朝が政子を全面支持し、

比企能員は敗北した。**


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