第43話 頼朝、“政子を正式な柱とする”決断を下す
政子が評定の空気を整えてから一夜。
鎌倉は、まるで新しい町になったように静かだった。
「政子様と共に評定を……」
「政子様の言葉は正しい……」
「政子様がいれば鎌倉は揺るがぬ……」
(……空気が完全に変わったわね)
侍女が駆け込んできた。
「政子様……!
鎌倉殿がお呼びです……!
“至急、一人で来い”と……!」
私は静かに立ち上がった。
(頼朝さん……
あなた、ついに動くのね)
*
──頼朝の館。
頼朝は、文机の前でじっと座っていた。
その表情は、昨日までの迷いが嘘のように消えている。
「政子……来たか」
(声が違う。
今日は“鎌倉殿の声”ね)
私は静かに言った。
「どうされたの、頼朝さん」
頼朝は深く息を吐いた。
「政子……
昨日の評定のことは聞いた」
(ああ、誰かが報告したのね)
頼朝は続けた。
「御家人たちが……
お前の言葉に従ったと」
私は微笑んだ。
「従わせたんじゃないわ。
“空気を整えただけ”よ」
頼朝は目を細めた。
「政子……
お前は……
鎌倉を動かしている」
(やっと気づいたのね)
頼朝は立ち上がった。
「政子。
私は……
決めた」
私は静かに待った。
頼朝ははっきりと言った。
「政子を──
“鎌倉の正式な柱”とする」
空気が止まった。
(……ああ、ついに言ったわね)
頼朝は続けた。
「これまで……
お前は陰で支えてきた。
だが……
もう陰にいる必要はない。
政子。
お前は……
鎌倉の中心に立て」
私は静かに言った。
「頼朝さん。
それは……
“私を政治の表舞台に立たせる”ということよ?」
頼朝は頷いた。
「そうだ。
御家人たちも……
お前を必要としている。
そして……
私もだ」
(頼朝さん……
あなた、本当に変わったわね)
私は一歩近づいた。
「頼朝さん。
あなたがそう言うなら──
私は鎌倉の柱になるわ」
頼朝は息を呑んだ。
「政子……
お前は……
怖いほど強いな」
私は微笑んだ。
「強くなったのよ。
あなたを守るために」
頼朝は目を閉じた。
「政子……
私は……
お前を信じる」
(その言葉、何度聞いても悪くないわ)
*
──義時の屋敷。
義時が駆け込んできた。
「姉上……!
鎌倉殿が……
“政子様を正式な柱とする”と……!」
私は静かに言った。
「ええ。
頼朝さんは、ついに決めたわ」
義時は震えた。
「姉上……
あなたは……
鎌倉殿の心を……
完全に動かしたのですね……!」
(動かしたというより、
“整えただけ”よ)
私は空を見上げた。
──次は、鎌倉全体に“政子の柱宣言”を広める。
そしてこの日、
**頼朝は政子を“鎌倉の正式な柱”とする決断を下し、
政子はついに表舞台へ立つことになる。**
鎌倉は、
新しい時代へ踏み出した。




