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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第4話 銀座ママ、夫婦問題を一瞬で見抜く

亀の前と会ってから数日。

鎌倉の空気が、どこかざわついていた。


「政子様……鎌倉殿が、最近ずっと不機嫌で……」


侍女が怯えた声で告げる。


(ああ、銀座でもよくあったわね。

 “奥様と愛人が接触した後の旦那さん”ってやつ)


私はため息をついた。


「……呼ばれてるのね、私」


「は、はい……鎌倉殿がお呼びです……」


侍女の顔は青ざめている。

でも私は、銀座で何百回も経験した“修羅場”を思い出していた。


──夫婦問題は、まず“聞く”ことから。



頼朝の部屋に入ると、

彼は腕を組んで座っていた。


「政子」


その声は低く、硬い。

怒っているというより、拗ねている。


(あー……これは完全に“拗ねてる男”の声ね)


私は銀座ママの笑顔で頭を下げた。


「お呼びでしょうか、鎌倉殿」


頼朝はしばらく黙っていた。

その沈黙が、逆にわかりやすい。


(絶対、私と亀の前が会ったこと気にしてるわね)


やがて、頼朝はぽつりと言った。


「……亀の前と、会ったそうだな」


(ほら来た)


私は落ち着いて答えた。


「ええ。とても良い子でした」


頼朝の眉がピクリと動く。


「怒らなかったのか」


「怒る理由がありませんもの」


頼朝は完全に固まった。


(あら、予想外だった?)


私は続けた。


「彼女は、あなたに大切にされたいだけ。

 そしてあなたも、誰かに理解されたいだけ」


頼朝の目が大きく開かれた。


「……政子、お前……何を……」


「夫婦の問題は、誰かを責めても解決しません。

 まずは、お互いの気持ちを聞くことからです」


銀座で何百回も言ってきた言葉だった。


頼朝はしばらく黙っていたが、

やがて、ふっと息を吐いた。


「……政子。お前は、変わったな」


(中身、銀座ママですから)


だが、ここで本音を言うわけにはいかない。


私は微笑んだ。


「少しだけ、周りを見る余裕ができたのかもしれません」


頼朝は、どこか照れたように視線を逸らした。


その瞬間──

部屋の外で、ひそひそ声が聞こえた。


「聞いたか……政子様が鎌倉殿を“言いくるめた”らしい……!」


「なんという……恐ろしい女……!」


(えっ!?)


私は思わず天を仰いだ。


**善意で言ったアドバイスが、また“悪女の策略”扱い。**


銀座でも誤解はあったけれど、

ここまでとは思わなかった。


頼朝は苦笑した。


「……政子。お前、誤解されやすいぞ」


「慣れております」


私は即答した。


頼朝は少し驚いたように私を見た。


「……そうか。

 だが、私は……お前を信じている」


その言葉は、銀座ママの心に少しだけ響いた。


(この人、本当に不器用で、孤独で……

 放っておけないタイプだわ)


私は静かに頭を下げた。


「ありがとうございます、鎌倉殿」


その瞬間、廊下の侍女たちは震え上がった。


「見ましたか……!

 政子様、鎌倉殿を完全に掌握しておられる……!」


「やはり……恐ろしい……!」


(違うってば!!)


私は心の中で叫んだ。


──こうして私は、

**夫婦問題を解決しただけで“悪女”扱いされる世界**

で生きていくことになった。


でも、いい。


誤解されても、嫌われても、

私は今日も誰かの心を救う。


銀座ママ流に。


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