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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第38話 政子、“利害のズレ”を一人ずつ見抜く

翌朝。


御家人たちが“政子抜き評定”を開くという噂は、

鎌倉中に静かに広がっていた。


「政子様は強すぎる……」

「我ら御家人の声をもっと聞くべきだ……」

「政子様抜きで評定を開けば、鎌倉殿も気づくはずだ……!」


(……空気が膨らんでいる。

 でも、この膨らみ方は不自然ね)


侍女が駆け込んできた。


「政子様……!

 三浦義村様、和田義盛様、畠山重忠様……

 この三人が中心となっているようです……!」


私は静かに言った。


「ええ、知っているわ」


侍女は固まった。


「ど、どうして……

 そんなに落ち着いて……?」


私は微笑んだ。


「この三人、

 “利害がまったく違う”のよ」


侍女は息を呑んだ。



──政子の屋敷・広間。


私は侍女に命じ、

御家人たちの動きを細かく報告させた。


侍女が巻物を広げる。


「まずは……三浦義村様。

 “政子様の影響力が強すぎる”と……

 不満を漏らしているようです」


(義村は“風を見る男”。

 強い者に従うが、強すぎる者は怖い)


私は言った。


「義村は“空気の変化”に敏感なの。

 今の空気が政子寄りだから、

 逆に揺れているだけよ」


侍女は驚いた。


「では……敵意ではなく……?」


「ええ。

 “揺れ”よ」



侍女が次の巻物を開く。


「和田義盛様は……

 “御家人の力を示すべきだ”と……

 声を上げております」


(義盛は単純で正直。

 “力を示したい”だけ)


私は言った。


「義盛は“政子を倒したい”んじゃない。

 “自分を認めてほしい”だけよ」


侍女は息を呑んだ。


「では……説得できる……?」


「簡単よ。

 “あなたは強い”と言えばいい」


侍女は完全に固まった。



侍女が最後の巻物を開く。


「畠山重忠様は……

 “政子様を尊敬しているが、

 御家人たちの声も大切にすべきだ”と……」


(重忠は誠実。

 “正しさ”を求める男)


私は言った。


「重忠は敵じゃないわ。

 ただ──

 “正義のバランス”を気にしているだけ」


侍女は震えた。


「政子様……

 では……

 御家人たちは……

 一枚岩では……?」


私は微笑んだ。


「ええ。

 “利害のズレ”が大きすぎる」


侍女は息を呑んだ。


「では……

 政子様はどうされます……?」


私は静かに言った。


「一人ずつ、

 “ズレ”を突くわ」


侍女は震えた。


「一人ずつ……?」


「ええ。

 空気は“集団”で動くけれど──

 “割れる”のはいつも“一人”からよ」


(銀座でもよくあったわね。

 団体客が騒ぎ始めた時、

 最初に揺れるのは“中心ではない誰か”)



──その頃、鎌倉の一角。


御家人たちが密かに集まっていた。


「政子様は強すぎる……」

「いや、政子様は鎌倉殿に必要だ……」

「だが我らの声も聞くべきだ……!」


その声は、

一つにまとまるどころか──

むしろ“割れ始めていた”。


(ああ、割れ目が見えるわ)



──夜。政子の屋敷。


私は灯りの下で静かに筆を取った。


(義村は“揺れ”。

 義盛は“承認欲求”。

 重忠は“正義”。

 この三つは絶対に混ざらない)


筆が走る。


「……明日、最初の一人を揺らす」


私は静かに笑った。


──悪女は、

敵をまとめて相手にしない。

“割れ目”から崩す。


そしてこの日、

**政子は御家人連合の“利害のズレ”を完全に見抜き、

反撃の準備を整えた。**


鎌倉は、

いよいよ動き出す。


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