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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第34話 比企能員、敗北を悟る

頼朝が「政子は鎌倉の柱だ」と宣言した翌朝。


鎌倉の空気は、昨日とはまるで別物だった。


「政子様が……鎌倉殿に認められた……」

「比企殿の言葉は……嘘だったのか……」

「政子様は……やはり恐ろしいほどの御方だ……」


(空気が澄んでいる。

 “本物の言葉”の力ね)


侍女が駆け込んできた。


「政子様……!

 比企能員様が……

 屋敷に籠もったまま出てこないそうです……!」


私は静かに言った。


「ええ、そうでしょうね」


侍女は固まった。


「ど、どうして……

 そんなに落ち着いて……?」


私は微笑んだ。


「昨日の頼朝さんの言葉で、

 比企殿の策は“根本から折れた”のよ」


侍女は息を呑んだ。



──比企能員・屋敷。


能員は、机に突っ伏すように座っていた。


昨日の頼朝の言葉が、

何度も何度も頭の中で反響していた。


──「政子は、私が最も信じる者だ」


(……あの女……

 鎌倉殿の心を……

 完全に掴んでいたというのか……)


家臣が恐る恐る声をかける。


「能員様……

 御家人たちが……

“政子様に謝罪したい”と……」


能員は顔を上げた。


その目は、

昨日までの鋭さを失っていた。


「……政子殿に……

 勝てぬ……」


家臣たちは息を呑んだ。


「能員様……?」


能員は震える声で続けた。


「政子殿は……

 空気を読み……

 空気を作り……

 鎌倉殿の心を動かした……

 あれは……

 化け物だ……」


(あら、そこまで言うのね)


能員は拳を握りしめた。


「……政子殿は……

 “悪女”ではない……

 “鎌倉そのもの”だ……」


家臣たちは震えた。


「能員様……

 では……どうされます……?」


能員は目を閉じた。


「……政子殿に……

 会わねばなるまい……

 敗北を……

 認めるためにな……」



──政子の屋敷。


侍女が駆け込んできた。


「政子様……!

 比企能員様が……

 こちらへ向かっております……!」


私は静かに茶を置いた。


「来たわね」


侍女は震えた。


「政子様……

 比企能員様は……

 何をしに……?」


私は微笑んだ。


「“負けを認めに”よ」


侍女は完全に固まった。



──政子の屋敷・庭。


能員がゆっくりと歩み寄ってきた。


昨日までの威圧感は消え、

その背中はどこか小さく見えた。


「政子殿……

 参った」


私は静かに言った。


「何にかしら?」


能員は深く頭を下げた。


「……あなたの“空気の作り方”にだ。

 私は……

 恐怖で空気を作った。

 だがあなたは……

 信頼で空気を作った……

 その差が……

 勝敗を分けた……」


(あら、よく分かっているじゃない)


私は言った。


「比企殿。

 あなたは賢いわ。

 でも──

 “空気を支配する”には、

 賢さだけでは足りないの」


能員は顔を上げた。


「……何が足りぬ……?」


私は静かに言った。


「覚悟よ」


能員は息を呑んだ。


「……覚悟……?」


「ええ。

 私は“嫌われる覚悟”を持って悪女になった。

 あなたは“嫌われること”を恐れた。

 その差よ」


能員は震えた。


「政子殿……

 あなたは……

 恐ろしい……」


私は微笑んだ。


「褒め言葉として受け取っておくわ」


能員は深く頭を下げた。


「……敗北を認める。

 政子殿。

 あなたには……

 勝てぬ」


(これで比企家は沈黙するわね)



──義時の屋敷。


義時が駆け込んできた。


「姉上……!

 比企能員が……

 “政子殿には勝てぬ”と……

 公に認めたと……!」


私は静かに言った。


「ええ。

 これで比企家の策は終わりよ」


義時は震えた。


「姉上……

 あなたは……

 鎌倉を……

 救ったのですね……!」


(救ったというより、

 “空気を整えただけ”よ)


私は空を見上げた。


──比企家は折れた。

でも、まだやるべきことがある。


そしてこの日、

**比企能員は政子に敗北を認め、

比企家の策は完全に崩壊した。**


鎌倉は、

静かに次の段階へ進み始める。


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