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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第32話 政子、“本物の言葉”で空気を変える

比企家の“偽命令”が鎌倉中に広がった翌朝。


鎌倉の町は、まるで霧に包まれたようにざわついていた。


「政子様が……鎌倉殿に命じたらしい……」


「比企殿の領地を削れと……?」


「鎌倉殿は……政子様に操られているのか……?」


(ああ、空気が完全に濁っているわね)


侍女が駆け込んできた。


「政子様……!

 御家人たちが……

 “政子様は危険だ”と……

 比企家の屋敷に集まっています……!」


私は静かに言った。


「ええ、知っているわ」


侍女は固まった。


「ど、どうして……

 そんなに落ち着いて……?」


私は微笑んだ。


「比企家が“偽の空気”を作ったのなら──

 私は“本物の言葉”で上書きするだけよ」


侍女は息を呑んだ。


「本物の……言葉……?」


「ええ。

 “鎌倉殿自身の言葉”よ」


侍女は完全に固まった。


(空気を変える最短の方法は、

 “権力者の一言”)



──義時の屋敷。


義時は蒼白になっていた。


「姉上……!

 比企家が……

 “政子様が鎌倉殿を操っている”と……

 御家人たちに吹き込んでいます……!」


北条の家臣が続けた。


「御家人たちは……

 “鎌倉殿の命は偽物だ”と……

 信じ始めています……!」


義時は拳を握りしめた。


「姉上……

 どうか……どうか動いてください……!」


私は義時を見た。


「義時。

 空気はね、

 “本物の言葉”でしか変わらないのよ」


義時は息を呑んだ。


「本物の……言葉……?」


「ええ。

 頼朝さんに“政子は悪女ではない”と

 言わせるの」


義時は震えた。


「姉上……

 それは……

 鎌倉殿の心を……

 完全にこちらへ……?」


私は微笑んだ。


「そうよ。

 比企家が偽命令を作るなら──

 私は“本物の命”を出させる」


義時は完全に固まった。


(義時、あなたは本当に真っ直ぐね)



──頼朝の館。


頼朝は、政子の姿を見るなり立ち上がった。


「政子……

 お前は……聞いているな……

 “偽の命”の噂を……」


(声が震えている。

 迷っている証拠ね)


私は静かに言った。


「ええ。

 比企家が“あなたの名を使った”と聞いたわ」


頼朝は拳を握りしめた。


「政子……

 私は……

 どうすればいい……?」


(ああ、この人は本当に不器用ね)


私は一歩近づいた。


「頼朝さん。

 あなたが迷っている限り──

 比企家は動き続けるわ」


頼朝は息を呑んだ。


「……政子……

 私は……

 お前を信じたい……」


(“信じたい”は迷いの言葉よ)


私は首を振った。


「頼朝さん。

 “信じたい”じゃ足りないの」


頼朝は固まった。


「……足りない……?」


「ええ。

 あなたが言うべきは──

 “政子を信じる”

 ただそれだけよ」


頼朝の目が揺れた。


「政子……

 私は……

 お前を……」


言葉が喉で止まる。


(今日は逃がさないわ)


私はさらに一歩近づいた。


「頼朝さん。

 あなたの言葉一つで、

 鎌倉は救われるのよ」


頼朝は息を呑んだ。


「政子……

 私は……

 お前を──」


その瞬間、

外から御家人たちの怒号が響いた。


「鎌倉殿に会わせろ!」

「政子様の命令かどうか確かめる!」

「比企殿の言葉は本当なのか!」


頼朝の顔が強張る。


(ああ、来たわね。

 “空気の臨界点”)


私は頼朝を見た。


「頼朝さん。

 あなたが前に出る時よ」


頼朝は震えながら頷いた。


「政子……

 私は……

 お前を──

 信じる」


(やっと言ったわね)


私は微笑んだ。


「その言葉を──

 皆の前で言って」


頼朝は息を呑んだ。


「皆の……前で……?」


「ええ。

 それが“本物の言葉”よ」


頼朝は目を閉じた。


「政子……

 私は……

 お前のために……

 前に出よう」


(頼朝さん。

 あなたはやっと“鎌倉殿”になったわ)



──夜。


私は灯りの下で静かに息を吐いた。


(比企家の偽命令。

 御家人たちの怒号。

 頼朝さんの決意)


筆を取る。


「……明日、鎌倉殿が前に出る。

 空気は一気に変わる」


私は静かに笑った。


──悪女は、

空気を読むだけじゃない。

空気を“作り替える”。


そしてこの日、

**頼朝は初めて“政子を信じる”と口にし、

政子は鎌倉の空気を変える準備を整えた。**


決戦は、

いよいよ明日。


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