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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第30話 政子、比企能員と“初の直接対決”へ

比企家が政子の裏を探り、

鎌倉の空気が張りつめた翌朝。


侍女が駆け込んできた。


「政子様……!

 比企能員様から“至急参れ”との文が……!」


(ついに来たわね)


侍女は震えていた。


「政子様……

 罠かもしれません……!」


私は微笑んだ。


「罠なら、踏み抜けばいいのよ」


侍女は完全に固まった。


(悪女はね、罠を恐れないの)



──比企能員・屋敷。


能員は、政子を待っていた。

その目は鋭く、

まるで“獲物を見定める鷹”のようだった。


「政子殿。

 よく来られた」


私は静かに言った。


「呼ばれたから来ただけよ。

 あなたの顔を見るためじゃないわ」


能員の眉がわずかに動いた。


(あら、効いたわね)


能員は文を机に置いた。


「政子殿。

 あなたの“悪女文書”が鎌倉を乱している。

 御家人たちは怯え、

 鎌倉殿は迷い、

 鎌倉は揺れている」


私は首を傾げた。


「それが何かしら?」


能員の目が細くなる。


「……政子殿。

 あなたは鎌倉殿を惑わせている。

 その責任を、どう取るつもりだ」


(責任、ね。

 銀座でもよく聞いたわ)


私は一歩前に出た。


「比企殿。

 あなたは勘違いしているわ」


能員は眉をひそめた。


「……何をだ」


私は静かに言った。


「“鎌倉を揺らしているのは私”じゃない。

 “あなた”よ」


能員の目が揺れた。


「……何……?」


「あなたが噂を流し、

 恐怖を煽り、

 御家人たちを動けなくした。

 その結果、鎌倉が揺れたのよ」


能員は口を開きかけたが、

私は続けた。


「私はただ──

 “揺れた鎌倉を支えているだけ”」


能員は完全に固まった。


(ここからが本番よ)


私はさらに言った。


「比企殿。

 あなたは“私の裏”を探っているそうね」


能員の目が鋭くなった。


「……それがどうした」


「裏を探る者ほど、

 “自分の裏”を見せているものよ」


能員の表情がわずかに崩れた。


「……何を言っている」


私は微笑んだ。


「あなたは私を恐れている。

 だから裏を探る。

 恐れはね──

 最大の弱点よ」


能員の呼吸が止まった。


(効いたわね)


私は静かに言った。


「比企殿。

 あなたが恐れているのは、

 “私”ではなく──

 “鎌倉殿が私を選ぶこと”よ」


能員は机を握りしめた。


「政子殿……

 あなたは……

 どこまで……」


私は一歩近づいた。


「全部よ」


能員は震えた。


(この瞬間、勝負は決まったわ)



──屋敷を出ると、義時が待っていた。


「姉上……!

 比企能員は……どうでした……?」


私は静かに言った。


「義時。

 比企能員は“恐れている”。

 それが、最大の弱点よ」


義時は息を呑んだ。


「姉上……

 あなたは……

 比企能員を……

 言葉だけで追い詰めたのですか……?」


私は微笑んだ。


「悪女はね、

 言葉で十分よ」


義時は震えた。


「姉上……

 あなたは……

 化け物です……!」


(褒め言葉として受け取っておくわ)



──夜。


私は灯りの下で静かに考えた。


(比企能員は揺れた。

 でも──

 まだ終わりじゃない)


筆を取る。


「……次は“鎌倉殿”を動かす」


私は静かに笑った。


──悪女は、

敵を揺らし、

味方を動かす。


そしてこの日、

**政子と比企能員の初の直接対決は、

政子の“圧勝”で幕を閉じた。**


鎌倉は、

決戦の気配を濃くしていく。


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