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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第26話 政子、“罠の構造”を見抜く

比企家が御家人たちを集め、

“政子は危険だ”という空気を作り始めてから二日。


鎌倉の町は、まるで霧に包まれたように視界が悪かった。

誰もが誰かを疑い、

誰もが誰かの顔色を伺っている。


(……空気が濁っている。

 これは、ただの噂ではないわね)


侍女が駆け込んできた。


「政子様……!

 御家人たちが……

 “政子様の屋敷に近づくな”と……

 比企家に言われているようで……!」


(ああ、ついに“距離”を作り始めたのね)


私は静かに言った。


「侍女。

 御家人たちの動きを、少し観察してきて」


侍女は驚いた。


「政子様……

 危険では……?」


「大丈夫よ。

 “悪女”はね、観察されるより観察する方が得意なの」


侍女は息を呑んだ。



──義時の屋敷。


義時は焦っていた。


「姉上が……孤立し始めている……!」


北条の家臣が言う。


「比企家は……

 “政子様に怯える者たち”を集め……

 “政子様に近づくな”と……」


義時は拳を握りしめた。


「姉上……

 どうか……どうか動いてください……!」


(義時、あなたは本当に真っ直ぐね)



──政子の屋敷。


侍女が戻ってきた。


「政子様……

 御家人たちは……

 “政子様に近づくと比企家に睨まれる”と……

 “政子様に逆らうと切り捨てられる”と……

 両方を恐れております……!」


(両方を恐れている……

 つまり──)


私は静かに笑った。


「なるほど。

 比企家の罠は“二重構造”なのね」


侍女は固まった。


「に、二重……?」


私は指を二本立てた。


「一つ目は“政子を恐れさせる”こと。

 二つ目は“政子に近づくことを恐れさせる”こと」


侍女は息を呑んだ。


「……!」


「この二つが揃うと、

 御家人たちは“動けなくなる”。

 比企家はその“動けない空気”を利用して、

 鎌倉殿を孤立させるつもりよ」


侍女は震えた。


「政子様……

 どうして……そこまで……?」


私は微笑んだ。


「銀座でもよくあったわ。

 “恐怖”と“距離”を同時に作ると、

 人は簡単に動けなくなるの」


侍女は完全に固まった。


(比企家は賢い。

 でも──

 私はもっと賢いわ)



──その日の夕方。


義時が駆け込んできた。


「姉上!

 比企家が……

 “政子様に近づく者は敵だ”と……

 御家人たちに……!」


私は義時を見た。


「義時。

 比企家の罠は“二重構造”よ」


義時は固まった。


「に、二重……?」


「ええ。

 “政子を恐れさせる”

 “政子に近づくことを恐れさせる”

 この二つを同時に作ることで、

 御家人たちを“動けない状態”にしているの」


義時は息を呑んだ。


「……姉上……

 どうして……そこまで……」


私は静かに言った。


「義時。

 比企家は“空気”を作っているのよ。

 空気はね、

 剣より強い時がある」


義時は震えた。


「姉上……

 あなたは……本当に……」


「何?」


「……空気の読み方が……

 化け物じみています……!」


(褒め言葉として受け取っておくわ)



──夜。


私は灯りの下で静かに考えていた。


(比企家は“恐怖”と“距離”で空気を作った。

 なら──

 私は“信頼”と“近さ”で空気を壊す)


私は筆を取った。


「……頼朝さんを動かす。

 それが、比企家の罠を壊す最短の道」


筆が走る。


(頼朝さんが前に出れば、

 御家人たちは動く。

 空気は一瞬で変わる)


私は静かに笑った。


──悪女は、空気を読むだけじゃない。

空気を“作り替える”。


そしてこの日、

**政子は比企家の罠の“構造”を完全に見抜き、

反撃の準備を整えた。**


鎌倉の空気は、

いよいよ決戦の匂いを帯び始める。


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