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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第24話 頼朝、政子の“悪女”に揺れる

政子の悪女文書が鎌倉を二分した翌日。


頼朝の館は、朝から重い空気に包まれていた。

御家人たちの声は小さく、

まるで“鎌倉殿の機嫌”を探っているようだった。


(……比企家の噂が効いているわね)


侍女が駆け込んできた。


「政子様……

 鎌倉殿がお呼びです……

 “至急”とのことです……!」


(あら、珍しいわね。

 頼朝さんが急ぐなんて)



──頼朝の館。


頼朝は、文を握りしめていた。

その手は、わずかに震えている。


「政子……

 来てくれたか」


(声が硬い。迷っている顔ね)


私は静かに言った。


「どうされたの、頼朝さん」


頼朝は文を差し出した。


「これを……見た」


それは、政子が自ら書いた“悪女文書”だった。


「政子……

 お前は……

 なぜ……自分を悪女と名乗った」


(ああ、そこが刺さったのね)


私は微笑んだ。


「理由が必要?」


頼朝は息を呑んだ。


「……政子。

 お前は……

 私のために……

 嫌われる道を選んだのか」


(この人、本当に真っ直ぐね)


私は首を振った。


「違うわ」


頼朝は驚いたように顔を上げた。


「……違う……?」


「私は“鎌倉のため”に悪女になったの。

 あなた一人のためじゃない」


頼朝の目が揺れた。


(揺れてる。

 でも、ここで甘やかすのは逆効果)


私は続けた。


「頼朝さん。

 あなたは“私が悪女になった理由”を気にしているけれど──

 本当に気にすべきは、

 “あなたが何を選ぶか”よ」


頼朝は固まった。


「……私が……選ぶ……?」


「ええ。

 比企家の噂に流されるのか。

 それとも──

 自分の目で見たものを信じるのか」


頼朝は息を呑んだ。


「政子……

 私は……

 お前を……信じたい」


(“信じる”じゃなくて“信じたい”なのね)


私は一歩近づいた。


「頼朝さん。

 “信じたい”は迷いの言葉よ」


頼朝の目が揺れた。


「……政子……」


「あなたが迷うと、鎌倉が迷う。

 あなたが揺れると、皆が揺れる。

 だから──

 私は悪女になったの」


頼朝は言葉を失った。


(ここが押しどころ)


私は静かに言った。


「頼朝さん。

 あなたが決めるの。

 “政子は悪女か、それとも味方か”を」


頼朝は拳を握りしめた。


「……政子……

 私は……

 お前を……」


言葉が喉で止まる。


(今日はそこまでね)


私は背を向けた。


「答えは急がなくていいわ。

 でも──

 迷っている間に、比企家は動く」


頼朝は息を呑んだ。


「政子……

 お前は……

 どこまで見えている……?」


私は振り返らずに言った。


「全部よ」


頼朝は完全に固まった。


(頼朝さん。

 あなたが迷うなら、私が先に進むだけ)



──政子の屋敷。


義時が駆け込んできた。


「姉上!

 鎌倉殿が……

 “政子を信じたい”と……!」


(あら、言ったのね)


義時は続けた。


「姉上……

 鎌倉殿は……

 姉上の悪女化に……揺れております……!」


私は静かに言った。


「揺れるのは悪いことじゃないわ。

 揺れた後に、何を掴むかが大事なの」


義時は息を呑んだ。


「姉上……

 あなたは……本当に……」


「何?」


「……鎌倉殿の“導き手”です……!」


(導き手、ね。

 悪女にしては上等な肩書きだわ)


私は空を見上げた。


──頼朝さんが迷うなら、

私が先に進む。


そしてこの日、

**政子は“悪女”から“導く者”へと一歩進んだ。**


鎌倉の空気は、

さらに深く揺れ始める。


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