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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第23話 比企家、“悪女政子”を逆利用する

政子の悪女文書が鎌倉を揺らした翌朝。


比企能員の屋敷は、異様な静けさに包まれていた。

家臣たちは息を潜め、能員の一挙手一投足を見守っている。


能員は、政子の文を何度も読み返していた。


「……自ら悪女を名乗るとはな」


その声は怒りではなく、

むしろ“感心”に近かった。


家臣が恐る恐る口を開く。


「能員様……

 政子殿は……鎌倉殿を守るために……

 自ら嫌われ役を……」


能員は笑った。


「そうだ。

 あの女は……自分が嫌われることで、

 鎌倉殿を守ろうとしている」


家臣たちは息を呑んだ。


「では……政子殿の勝ちでは……?」


能員は首を振った。


「いや。

 “悪女”を名乗った時点で、

 政子殿は自ら弱点を晒したのだ」


家臣たちがざわめく。


「弱点……?」


能員は文を指で叩いた。


「“悪女”は、

 味方を作れぬ」


家臣たちは息を呑んだ。


「……!」


能員は続けた。


「政子殿は、鎌倉殿を守るために悪女を名乗った。

 だが──

 悪女は孤立する。

 孤立した者は、いずれ潰れる」


(ああ、この人……本当に賢いわね)


能員は立ち上がった。


「政子殿が“悪女”を名乗ったのなら──

 我らは“悪女を恐れる者たち”を味方につければよい」


家臣たちが震えた。


「……政子殿の悪女化を……

 逆に利用する……?」


能員は微笑んだ。


「そうだ。

 “悪女政子に怯える御家人たち”を集める。

 政子殿が自ら作った恐怖を、

 政子殿に返すのだ」


(なるほど。

 “恐怖の空気”を利用するのね)



──鎌倉の町。


御家人たちがざわめいていた。


「政子様……本当に悪女なのか……?」


「いや、あれは鎌倉殿を守るためだと……」


「だが……

 “逆らえば切り捨てる”と書いてあったぞ……?」


「比企殿が言うには……

 政子様は北条を使って鎌倉を支配しようとしているとか……」


(あら、もう噂が回ってるのね)


空気が二つに割れ始めていた。


政子を信じる者。

政子を恐れる者。


そして──

その“恐れる者”を比企家が拾い始めていた。



──義時の屋敷。


義時は焦っていた。


「姉上の悪女文書が……

 比企家に利用されている……!」


北条の家臣が言う。


「比企家は……

 “政子様は危険だ”と……

 御家人たちを集めております……!」


義時は拳を握りしめた。


「姉上……

 どうか……どうか動いてください……!」


(義時、あなたは本当に真っ直ぐね)



──政子の屋敷。


私は静かに茶を淹れていた。


侍女が駆け込んできた。


「政子様……!

 比企家が……政子様を恐れる御家人たちを集めています……!」


私は微笑んだ。


「ええ、知っているわ」


侍女は固まった。


「ど、どうして……

 そんなに落ち着いて……?」


私は茶を置いた。


「比企家は、私の“悪女”を利用している。

 でも──

 利用されるために、私は悪女になったのよ」


侍女は息を呑んだ。


「政子様……

 では……どうされるのです……?」


私は静かに言った。


「簡単よ。

 “悪女”は、恐れられるほど強くなる」


侍女は震えた。


「政子様……

 まさか……」


私は微笑んだ。


「比企家が恐怖を集めるなら──

 私は“信頼”を集めるわ」


侍女は完全に固まった。


(悪女は孤立する?

 いいえ。

 “悪女を理解する者”は必ず現れる)


私は空を見上げた。


──比企家が動くなら、

私は“空気そのもの”を変える。


そしてこの日、

**政子は“悪女の次の段階”へ進む決意を固めた。**


鎌倉の空気は、

さらに深く揺れ始める。


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