表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

120/120

第120話 義時、三浦を守る

政子の助言を受けた翌朝。


──鎌倉の空気が変わった。


昨日までの“悪意の噂”は、

今日は“誰が空気を変えるか”を待つ沈黙へと形を変えていた。


「三浦殿は京と通じているらしい」

「いや、殿はそんな方ではない」

「北条殿は……どう動くのだ?」


(鎌倉は今、

 “義時の一言”を待っている)



──政所。


御家人たちが集まり、

ざわつく空気が渦を巻いていた。


「三浦殿は沈黙したままか」

「和田の若者たちが騒いだのは事実だ」

「京の影があるのでは……?」


その中に、

義時が静かに現れた。


空気が止まった。


義時は政子の言葉を胸に刻み、

一歩、前へ出た。


「皆。

 三浦義村殿は──

 京とは通じていない」


ざわめきが走る。


「しかし……」

「噂が……」


義時は続けた。


「噂は“京が流したもの”だ。

 鎌倉を割るために」


御家人たちの顔色が変わった。


「では……

 三浦殿は……?」


義時ははっきりと言った。


「三浦義村殿は、

 鎌倉の柱だ。

 私が保証する」


空気が一気に変わった。


(義時……

 あなたは今、

 “空気を変える一言”を放った)


御家人たちのざわめきが収まっていく。


「北条殿がそこまで言うなら……」

「三浦殿は潔白だ」

「では、京の策か……」


政子が静かに頷いた。


(よし……

 空気が変わった)



──三浦義村の屋敷。


義村は、

家臣からの報せを聞いていた。


「殿!

 北条殿が……

 “公の場で三浦殿を守る”と宣言されました!」


義村の目が揺れた。


「……義時殿が……?」


胤義が言った。


「兄上。

 義時殿は……

 兄上を信じております」


義村は胸に手を当てた。


(義時……

 お前は……

 まだ私を……

 信じてくれるのか)


その瞬間、

義村の中で何かが変わった。


沈黙の重さが、

少しだけ軽くなった。



──政所。


義時が席に戻ると、

政子が静かに近づいた。


「よくやったわ、義時」


義時は息を吐いた。


「姉上……

 これで……

 鎌倉は……?」


政子は首を振った。


「まだよ。

 空気は変わった。

 でも──

 “火の手”は消えていない」


義時の顔が険しくなる。


「では……

 次は……?」


政子は灯火を見つめながら言った。


「京は……

 次に“和田”を揺らすわ」


義時は息を呑んだ。


(和田……

 義盛殿……)


政子は続けた。


「義時。

 鎌倉は今、

 “火事場の真ん中”にいる。

 でも──

 あなたが三浦を守ったことで、

 ひとつの炎は消えた」


義時は深く頷いた。


「次は……

 和田殿か」


政子は静かに言った。


「ええ。

 ここからが本番よ」



──夜。


鎌倉の空気は、

義時の一言で確かに変わった。


だが──

その奥で、

新しい火が静かに燃え始めていた。


静かに、

しかし確かに──

鎌倉の底が、

またひとつ鳴った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ