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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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115/120

第115話 鎌倉、陣営の裂け目

義時が“朝敵”とされた翌朝。


──鎌倉の空気が変わった。


昨日までの“戦の匂い”は、

今日は“陣営の裂け目”へと形を変えていた。


「北条殿につくべきだ!」

「いや、京を敵に回すのは危険だ!」

「三浦殿は……どう動くのだ……?」


(鎌倉は今、

 “誰がどちら側につくか”を見極めようとしている)


政所の広間には、

御家人たちが二つの輪を作っていた。


北条の周りに集まる者。

三浦の動向を伺う者。


義時はその光景を見て、

胸の奥が冷たくなるのを感じた。


(鎌倉が……割れ始めている)



政子が静かに現れた。


その瞬間、

ざわついていた空気が止まった。


「皆。

 京は鎌倉を割るために、

 まず“三浦”を揺らし、

 次に“北条”を刺しました」


御家人たちが息を呑む。


「そして今──

 “鎌倉そのもの”を割ろうとしています」


義時は続けた。


「だからこそ、

 三浦殿が必要だ」


御家人たちの視線が一斉に三浦の屋敷の方角へ向く。


(義村殿……

 あなたの決断が、

 鎌倉の命運を左右する)



──三浦義村の屋敷。


院宣の衝撃がまだ胸に残る中、

義村は家臣たちに囲まれていた。


「殿!

 北条につくべきです!」

「いや、京につくべきです!」

「殿が決めねば、三浦家は滅びます!」


義村の顔が歪んだ。


「……黙れ……

 私は……

 まだ……

 決められぬ……」


家臣たちの空気が一気に張り詰めた。


「殿……

 “決められぬ”では済みませぬ!」

「鎌倉はもう、戦の前夜!」

「殿の沈黙が……

 三浦家を殺します!」


義村の心が揺れた。


(私は……

 沈黙で……

 三浦を……

 鎌倉を……

 揺らしているのか……?)


そこへ、

胤義が静かに言った。


「兄上。

 京は……

 “兄上を駒として使う”つもりです」


義村は息を呑んだ。


(私は……

 京の駒……?)



──政所。


義時が声を上げた。


「皆。

 院宣は“北条義時を討て”ではない。

 “鎌倉を割れ”という命令だ!」


御家人たちがざわつく。


「では……

 戦うしかないのか……?」

「鎌倉は……

 京と戦えるのか……?」


政子は前に出た。


「戦えるわ。

 ただし──

 “一つであれば”の話よ」


空気が止まった。


「三浦。

 和田。

 畠山。

 北条。

 誰が欠けても鎌倉は負ける」


義時は続けた。


「だからこそ……

 三浦殿が必要だ」


御家人たちの視線が、

再び三浦の屋敷へ向く。


(義村殿……

 あなたの沈黙は、

 もう許されない)



──その頃、京。


後鳥羽院は報告を聞き、

静かに笑った。


「鎌倉は割れ始めたか。

 良い兆しだ」


侍従が言った。


「しかし……

 政子様と義時殿が支えております」


後鳥羽院は扇を閉じた。


「ならば──

 “三浦を揺らし続ける”」


行成は息を呑んだ。


(京は……

 本気で“鎌倉の柱”を折りに来る)



──夜。


政子は灯火の揺れを見つめていた。


鎌倉は、

ついに“陣営の裂け目”を見せ始めた。


筆を取る。


「……義村。

 あなたの決断が、

 鎌倉を救うか、

 鎌倉を割るか。

 その岐路に立っている」


筆を置いた。


静かに、

しかし確かに──

鎌倉の底が、

またひとつ鳴った。


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