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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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114/120

第114話 院宣、鎌倉を裂く

三浦家の裂け目が広がった翌朝。


──鎌倉の空気が変わった。


昨日までの“陣営の匂い”は、

今日は“戦の前触れ”へと形を変えていた。


「京が動くらしい」

「北条殿に何かが届いたとか……」

「鎌倉は……どうなるのだ」


(鎌倉は今、

 “外からの衝撃”を待っている)


その衝撃は、

思ったより早く訪れた。



政所に、

一騎の早馬が駆け込んだ。


「北条殿へ急報!

 京より“院宣”が届きました!」


空気が凍った。


義時が巻物を受け取る。

その手が震えているのが、誰の目にも分かった。


政子が静かに言った。


「義時……

 開けなさい」


義時は頷き、

震える指で封を切った。


巻物を広げた瞬間──

政所の空気が変わった。


**『北条義時、朝敵とす』**


御家人たちが息を呑んだ。


「……朝敵……?」

「義時殿が……?」

「京は……鎌倉を討つつもりだ……!」


義時は呆然と呟いた。


「姉上……

 私は……

 朝敵とされたのですか……?」


政子は義時の肩を掴んだ。


「義時。

 これは“あなた個人”ではない。

 京は……

 “鎌倉そのもの”を敵に回したのよ」


御家人たちのざわめきが広がる。


「三浦の件は……囮だったのか……?」

「京は最初から北条を狙っていた……?」

「これは……戦の前触れでは……?」


政子は言った。


「皆。

 京は鎌倉を割るために、

 まず“三浦”を揺らした。

 そして今……

 “北条”を刺しに来たのよ」


義時は拳を握った。


(京は……

 私を折りに来たのだ)



──三浦義村の屋敷。


院宣の報せが届いた瞬間、

義村は立ち上がった。


「義時殿が……

 朝敵……?」


胤義が言った。


「兄上。

 これは京の罠です。

 鎌倉を割るための!」


義村は拳を握った。


「京は……

 私ではなく……

 北条を狙った……

 つまり……

 私は……

 “囮”だったのか……?」


家臣たちがざわつく。


「殿……

 どうされますか……?」

「北条につくのか……?」

「それとも……京に……?」


義村の心が揺れた。


(私は……

 どちらにつく……?

 鎌倉か……

 京か……

 義時か……

 後鳥羽院か……)


義村は震える声で言った。


「私は……

 まだ……

 決められぬ……」


家臣たちが息を呑んだ。


(義村……

 あなたは今、

 “選ばされる側”から

 “選ぶ側”へ押し出された)



──京。


後鳥羽院は報告を聞き、

静かに笑った。


「鎌倉は割れ始めたか。

 良い兆しだ」


侍従が言った。


「しかし……

 政子様と義時殿が支えております」


後鳥羽院は扇を閉じた。


「ならば──

 “支えを折る”」


行成は息を呑んだ。


(京は……

 本気で“北条”を討つつもりだ)



──夜。


政子は灯火の揺れを見つめていた。


鎌倉は、

ついに“戦前夜”へ足を踏み入れた。


筆を取る。


「……義村。

 あなたの決断が、

 鎌倉の命運を決める。

 だが──

 京は次に“あなた”を狙う」


筆を置いた。


静かに、

しかし確かに──

鎌倉の底が、

大きく鳴った。


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