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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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113/120

第113話 鎌倉、割れ始める

三浦家が内部から割れた翌朝。


──鎌倉の空気が変わった。


昨日までの“疑念の渦”は、

今日は“陣営の匂い”へと形を変えていた。


「三浦殿は……どう動くのだ」

「北条殿は沈黙を許すのか」

「京は……次の手を打つはずだ」


(鎌倉は今、

 “誰がどちら側につくか”を見極めようとしている)


政所では、御家人たちが集まっていた。

しかし、昨日までのような議論ではない。


代わりに──

**“二つの輪”** が生まれていた。


北条の周りに集まる者。

三浦の動向を伺う者。


義時はその光景を見て、

胸の奥が冷たくなるのを感じた。


(鎌倉が……割れ始めている)



政子が静かに現れた。


その瞬間、

ざわついていた空気が止まった。


「皆。

 鎌倉は今、

 “揺らされている”のです」


御家人たちが息を呑む。


「揺らしているのは──

 京です」


ざわめきが走る。


「和田の後、

 三浦を揺らし、

 次は……

 “鎌倉そのもの”を割ろうとしている」


義時は続けた。


「だからこそ、

 三浦殿が必要だ」


御家人たちの視線が一斉に義村へ向く。


(義村殿……

 あなたの沈黙が、

 鎌倉全体を揺らしているのです)



──三浦義村の屋敷。


義村は、

家臣たちの言葉が胸に刺さったまま、

まだ立ち上がれずにいた。


そこへ、

胤義が静かに言った。


「兄上。

 鎌倉が……

 割れ始めています」


義村は顔を上げた。


「……私のせいか……?」


「兄上のせいではありません。

 京が……

 “兄上を使って鎌倉を割ろうとしている”のです」


義村の目が揺れた。


(私は……

 京の駒にされているのか……?)


そこへ、

義時が訪れた。


「義村殿。

 鎌倉は……

 あなたの決断を待っています」


義村は震える声で言った。


「義時殿……

 私は……

 何を選べば……

 鎌倉を守れる……?」


義時は静かに言った。


「義村殿。

 “沈黙”は、

 京を喜ばせるだけです」


義村の胸に、

その言葉が深く刺さった。


(私は……

 沈黙で……

 鎌倉を揺らしていたのか……)



──その頃、京。


後鳥羽院は報告を聞き、

静かに笑った。


「鎌倉が割れ始めたか。

 良い兆しだ」


侍従が言った。


「しかし……

 政子様と義時殿が支えております」


後鳥羽院は扇を閉じた。


「ならば──

 “支えを折る”」


行成は息を呑んだ。


(京は……

 本気で“北条”を狙い始めた)



──夜。


政子は灯火の揺れを見つめていた。


鎌倉は、

ついに“割れ始めた”。


筆を取る。


「……義村。

 あなたの決断が、

 鎌倉の命運を決める。

 だが──

 京はあなたを“駒”として見ている」


筆を置いた。


静かに、

しかし確かに──

鎌倉の底が、

またひとつ鳴った。


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