表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/120

第107話 義村、心の縁に立つ

三浦家の家臣同士の争いが起きた翌朝。


──鎌倉の空気が変わった。


昨日までの“乱れ”は、

今日は“重さ”へと形を変えていた。


「三浦殿は……本当に大丈夫なのか」

「義時殿が止めたらしいが……」

「京の影が……まだ鎌倉にいるのでは……?」


(鎌倉は今、

 “見えない敵”に怯え始めている)


義時が政子の屋敷へ現れた。

その顔は、これまでで最も沈んでいた。


「姉上……

 三浦殿が……

 屋敷に籠もったまま出てこないそうです」


私は息を吸った。


(来た……

 義村の“心”が揺れ始めた)


「義時。

 義村は今、

 “自分を疑い始めている”のよ」


義時は目を見開いた。


「自分を……?」


「ええ。

 “自分が鎌倉を乱しているのではないか”と」


義時は拳を握った。


「姉上……

 義村殿は……

 壊れてしまうのでしょうか」


「壊れる前に、

 あなたが行きなさい」


義時は息を呑んだ。


(義時……

 あなたは今、

 “友を救う”のではなく、

 “鎌倉を救うために友を支える”段階に入った)



──三浦義村の屋敷。


義村は、

暗い部屋の中で膝を抱えていた。


「……私が……

 鎌倉を乱したのか……」


家臣たちの疑い。

町の争い。

偽の密書。


(私は……

 何をしている……?

 私は……

 鎌倉のために……

 何を……)


そこへ、

弟の胤義が駆け込んできた。


「兄上!」


義村は顔を上げた。


「胤義……

 私は……

 鎌倉を乱したのか……?」


胤義は首を振った。


「兄上のせいではありません!

 京の罠です!」


義村は震える声で言った。


「だが……

 私が沈黙したから……

 疑いが生まれた……

 私が……

 弱かったから……」


胤義は義村の肩を掴んだ。


「兄上。

 弱さは罪ではありません。

 罪なのは……

 “弱さを利用する者”です!」


義村は息を呑んだ。


(胤義……

 お前だけが……

 私を“人”として見ている)


そこへ──

義時が現れた。


「義村殿!」


義村は驚いた。


「義時殿……

 私は……

 鎌倉を乱したのか……?」


義時は首を振った。


「違います。

 乱したのは……

 “京の影”です」


義村の目が揺れた。


義時は続けた。


「義村殿。

 あなたは鎌倉を裏切っていない。

 ただ……

 “揺れている”だけだ」


義村は震える声で言った。


「揺れる者は……

 鎌倉の柱にはなれぬ……」


義時は静かに言った。


「揺れる者こそ、

 柱になれるのです」


義村は息を呑んだ。


「義時殿……

 私は……

 まだ……

 鎌倉のために立てるのか……?」


義時は頷いた。


「立てます。

 私が……

 あなたを支えます」


義村の目に、

初めて涙が浮かんだ。


(義村……

 あなたは今、

 “壊れる”のではなく、

 “立ち直る”道を選ぼうとしている)



──その頃、京。


後鳥羽院は報告を聞き、

静かに笑った。


「三浦が……

 まだ折れぬか」


侍従が言った。


「鎌倉は政子様と義時殿が

 三浦殿を支えております」


後鳥羽院は扇を閉じた。


「ならば──

 “支えを奪う”」


行成は息を呑んだ。


(政子殿……

 京は本気で“鎌倉の柱”を折りに来る)



──夜。


政子は灯火の揺れを見つめていた。


三浦義村は、

壊れかけていた。

だが──

義時と胤義が支えた。


筆を取る。


「……義村。

 あなたが立ち続ける限り、

 鎌倉はまだ壊れない」


筆を置いた。


静かに、

しかし確かに──

鎌倉の底が、

またひとつ鳴った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ