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『銀座ママ、北条政子に転生す 〜善人なのに悪女と呼ばれたので、今日も鎌倉を籠絡させます〜』  作者: 双鶴


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第100話 和田家、ついに一線を越える

和田家の家臣が勝手に兵を集め始めてから三日目。


──鎌倉の空気が変わった。


昨日までの“疑い”は、

今日は“恐れ”へと形を変えていた。


「和田家は……本当に動くのか」

「義時殿は……どうするつもりだ」

「政子様は……止められるのか」


(鎌倉は今、

 “音のしない崩壊”の縁に立っている)


義時が政子の屋敷へ駆け込んできた。


「姉上……!

 和田家の家臣が……

 “鎌倉の兵を集めている”との報せが……!」


私は息を吸った。


(来た……

 これはもう“暴走”ではない。

 “行動”だ)


「義時。

 和田家は、

 ついに“一線”を越えたわ」


義時は顔を強張らせた。


「和田殿は……

 まだ裏切っていないはずです」


「ええ。

 でも──

 “家臣が動けば、家が動いたのと同じ”

 そう見なされる段階に入った」


義時は拳を握った。


「姉上……

 どうすれば……」


「義時。

 あなたが動くしかないわ」


義時の目が揺れた。


「和田殿のもとへ行きなさい。

 “鎌倉の義時”としてではなく、

 “政子の弟”として」


義時は息を呑んだ。


(義時……

 あなたが“人として”向き合う時が来た)



──和田義盛の屋敷。


義盛は、

家臣たちの騒ぎを前に、

ただ立ち尽くしていた。


「殿!

 鎌倉の兵を抑えるため、

 我らは先に動くべきです!」


「義時殿は京に睨まれている!

 鎌倉のためにも、

 和田家が立たねば!」


義盛は怒鳴った。


「黙れ!

 私はまだ決めていないと言っている!」


しかし──

家臣たちは止まらなかった。


「殿が決めぬなら、

 我らが決めます!」


義盛の顔が青ざめた。


「お前たち……

 私を差し置いて……

 勝手に動く気か……!」


家臣の一人が言った。


「殿。

 “迷う主”は、

 家を滅ぼします」


義盛は拳を震わせた。


(義盛……

 あなたはもう“選ばされる側”に追い込まれている)


そこへ──

義時が現れた。


「義盛殿!」


義盛は驚いた。


「義時殿……

 なぜここへ……」


義時は深く頭を下げた。


「和田家を……

 鎌倉の敵にしたくない。

 どうか……

 家臣たちを止めてほしい」


義盛の目が揺れた。


「義時殿……

 私は……

 どうすればいい……?」


義時は静かに言った。


「義盛殿。

 あなたが決めるしかない。

 “和田家は鎌倉につく”と」


義盛は拳を握りしめた。


家臣たちがざわつく。


「殿……

 義時殿の言葉を信じるのですか……?」


義盛はゆっくりと立ち上がった。


「……私は……

 政子様を信じる」


家臣たちが息を呑んだ。


「和田家は……

 鎌倉につく!」


その瞬間──

空気が変わった。


(義盛……

 あなたはようやく“主”として立った)


しかし、

その場にいた誰も気づいていなかった。


──屋敷の外で、

京の密使がその言葉を聞いていたことに。



──夜。


政子は灯火の揺れを見つめていた。


和田家は、

ついに“鎌倉につく”と決めた。


だが──

それは同時に、

京を本気で怒らせる選択でもあった。


筆を取る。


「……義盛。

 あなたの決断は、

 鎌倉を守る一歩であり、

 戦を呼ぶ一歩でもある」


筆を置いた。


静かに、

しかし確かに──

鎌倉の空気が、

“戦の匂い”を帯び始めていた。


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