第5話 ユリ・フローナ
私はユリ・フローナ。魔法剣士の冒険者だ。今日は、解毒草を採りに森へ来ている。いつもはよく見かけるのだが、探すとなるとなかなか見つからない。あと3束ほど欲しいところだが、暗くなってきたことだし、今日はもう町へ戻ろうか。
私が来た道を引き返そうとしたその時である――どこかで爆発が起きた。
「何! 魔法? でもこんな大規模なものが、なぜこんな森で?」
この森の危険度は低い。故にここまで強力な魔法を放つ必要はないはずだ。もしかしたら、上級の魔物が現れたのかもしれない。そうだとすれば、放っておけばいずれ町を襲うかもしれない。剣を抜き、警戒しながら現場へ向かう。
上級の魔物でも一体くらいなら私1人でも対処できる。魔術師系の魔物なら本体は弱いはずだ。魔法に当たりさえしなければ、どうってことない。
もうすぐだ。剣を握る手に力を込める。大丈夫、この前戦ったドラゴンと比べれば、弱いはずだ。負けそうになって逃げたけど。覚悟を決め、茂みから飛び出す――
「……! 人間!?」
思わず言葉を失ってしまった。私の前に立っていたのは小さな少女だった。まさか、こんな子供があの魔法を? いや、それはさすがに信じられない。となるとまだ近くに魔物がいるかもしれない。