第3話 転生
「う、うぅ〜ん」
「ここは……?」
自室のベッドではない。僕は芝の上に寝転がっている。ふかふかしていて気持ちいい。周りには青々とした木々が生い茂っている。起き上がってみると、視界がかなり低い。そうか、無事に異世界に転生できたのか。
「って、声高! 手もちっちゃくて可愛い。早く全身をみたいな〜」
よく見たら、服も白いワンピースになっている。気が利くな、α。くるくる回って美少女を堪能していると、アイツの声が聞こえてきた。
「もしも〜し? 聞こえる〜?」
「うん! 聞こえるよ」
「よかった、うまくいったみたいだね。初めてだったから、ちょっと心配だったけど」
「え? 今、とんでもないワードが聞こえたんだけど! ミスる可能性あったってこと?」
「も〜、ちゃんとうまくいったんだから水に流してくれよ〜」
「仕方ない、許す」
誰にでも初めてのことはある。でも、もう少し慎重にやってほしかったな。
「それじゃあ、早速、αの異世界チュートリアルの始まり始まり〜」
「それで、どうすればいいの?」
「ま……ずは……最寄……の町か……に……行って」
あれ? ノイズがかかっているみたいで、よく聞こえない。不安になってきた。
「ちょっと! 大丈夫なの?」
「ああ……通信……安定……しないみ……いだ。落ち……いて、聞い……魔法……から大丈……。ごめん、後……分で……頑張……くれ」
ぷつり、という音と共に通信が途切れてしまった。まさかこんなことになってしまうなんて。どうしよう、知らない場所でひとりぼっち。
「大丈夫、僕には魔法があるんだから。きっと、なんとかなる」
深呼吸して自分を落ち着かせる。
それにしても、まず初めに何をすればいいだろうか? こういうラノベでは、通りすがりの主人公が、盗賊に襲われているお姫様を助けるのが鉄板なんだけど……。残念ながら、そう都合よく野生のお姫様が出てくるわけでは無いようだ。
そうだな、まずは村か町を探そうか。後はギルドに入って冒険者になるなりすれば、きっと充実した人生を送れるだろう。そういえば、異世界に行ってからやりたいことをあまり具体的に考えてなかった。強いて言えば魔法を使いたいぐらいとしか思っていなかった。
「って、そんなこと考えてる場合じゃない! まずはどうにかして生き残らないと。話はそれからだ」
どんな魔法が使えるか確認する方法はないだろうか。ステータスオープンでもできればいいが。試してみるか。
「ステータスオープン!」
……しかし何も起こらなかった。ああ、αのチュートリアルが受けられればよかった。魔法の才能はあるのだろうが、いかんせん撃ち方が分からない。
闇雲に歩き回るのもよくないだろうが、動かないことには何も始まらない。勇気を出して一歩踏み出す。
ごつん。木の根っこに足を引っ掛けて、思いっきり転んでしまった。
「いでっ、うぅ〜痛いよ〜」
小さくなった身体にまだ慣れていないから、転んでしまった。こんなので大丈夫だろうか?
手に力をかけて起き上がる。
「絶対、かっこいい大賢者になってやるんだから!」