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邪悪じゃない転生者!?

 ギルを倒した賞金を受け取り、何かと入り用のものを揃えたわたしとクーは数日後、街を散策していた。


 クーディック改めクーディリアは「お姉さまとデートなんて嬉しいです!」などとはしゃいでいるが、目的は転生者探しだ。


 それにしても女だと明かしてからのクーディリアの懐きっぷりはすごい。


 命だか貞操だか、とにかく救ったのは事実だが、こいつわたしも仇の転生者だということを忘れているんじゃなかろうか。


 まあミアを喪ってからこんなに誰かと一緒に居るのは初めてだ。


 好かれて悪い気はしないし、大目に見てやろう。


 などと、少し浮かれ気分が出たところで胸元のペンデュラムが反応した。


 ――いる! 近くに転生者が。


 わたしはペンデュラムを取り出して手からぶら下げる。


 すると、街角の何でもない薬屋を指し示した。


 転生者が、冒険するためにポーションでも調達しているのだろうか。


「どうしました、お姉さま?」


「転生者を見つけたわ。あなたの仇かもしれないわね」


「ええっ!?」


 クーディリアにはペンデュラムの秘密を明かしていない。

 持ち逃げでもされたら大変だからだ。


 わたしはペンデュラムをスカートのポケットにしまうと、慎重にその薬屋まで歩いていく。


「お姉さま、この薬屋に転生者が居るんですか?」


「たぶんね」


 ドアを開け中に入ると薬の独特な匂いが鼻腔をくすぐる。


 店内は客でごった返していたが、転生者はすぐ見つかった。


 ポケットの中のペンデュラムが指し示したのは、間違いなく入ってすぐに「いらっしゃいませ」と駆け寄ってきた店員だったからだ。


 年の頃はわたしと同じくらい。肩まで位の青髪で、翡翠のような色の瞳をした美少女だ。


「回復薬をお探しの冒険者の方ですか? それともどなたかご病気に?」


 ぴくんぴくんとポケットの中で暴れるようにペンデュラムが反応している。


「いいえ。あなたに用事が在って来ました」


 わたしは正直に言う。


「あなたの名前とご職業を聞いてもよろしいでしょうか?」


 青髪の美少女は面食らっていたが、すぐに営業スマイルに戻し、


「私の名前はパルモ・ディアー。この国都で薬屋を営んでいるしがない薬売りです」


「あら、雇われじゃなくて店長さんだったの?」


「ええ、私がこの薬屋を切り盛りしています。これでも薬の知識には一家言ありまして」


「クー、このお姉さんに見覚えはないわね?」


「はい。ボクの探し人とは違う人です」


 こんな善良そうな転生者には初めて出会った。態度も大きくないし、こっちを怪しんでいる様子もない。


 しかし、なんとかこのパルモと二人きりになれないものだろうか。


「私は見ての通り仕事中ですので、お話があるのでしたら日か時間を改めてもらえないでしょうか?」


 パルモに二心がありそうな様子はない。


「では、夜、店を閉めてから改めて来てもよろしいでしょうか? あまり長く時間を頂くつもりはありませんので」


「分かりました。何のご用事かは知りませんが、今夜お話ししましょう」



「お姉さまぁ、一緒にお風呂ぉ」


 いつもの宿に着くなり、クーディリアがそんなことを言ってくる。


「あのねえ、わたしにそのケはないの。それにお風呂に入ってしまうと夜出かけに行くのが億劫になるから今日は一人で先に入ってて」


 クーディリアは「お姉さまの意地悪っ」などと言って本当に一人でお風呂に入りに行ってしまった。


 もっとも普段は一緒に入っているので少し意地の悪いことをしたのは間違いない。


 果たしてこのペンデュラム、本当に転生者を指し示すものなのだろうか。


 今まで会ってきた転生者は力を振りかざす奴ばかりだったので殺りやすかったが、パルモのような毒気のない相手だとやり辛い。


 パルモ・ディアー。


 果たして善人か悪人か。もし悪人じゃなかった場合でも殺すのか。転生者を絶滅させると誓ったのにこんなことで心揺らいでもいいのか。


 

 考え込んでいるうちに、夜の帳が下り、あちこちの店から灯が消え始めた。


 そろそろ行かなくては。


 クーディリアには悪いが、すでにベッドで寝息を立てているのに声をかけるのも申し訳ない。


 予定通り、一人で行くことにしよう。

パルモディアは作者が一時期服用していた薬です。

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