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謎のエルフっ子

 わたしは麻痺させた推定エルフの童子から革袋を取り返す。


 と、同時に麻痺が解け、童子が急に動いてよろけて倒れた。


「お金以外に興味はないから、逃がしてあげるわ」


 そうわたしが言うと、童子がきっとをこちらを睨んでくる。


「この力、まさか転生者じゃないだろうな?」


 みたところ十、十一歳くらいの童子はこちらを振り向くと憎しみの籠った目で言う。


「む。あなたもペンデュラムを持ってるの?」


「そんなもの持ってない。ただ、歳の割には強すぎる魔法を使うからそう思っただけだ」


「もし転生者だったらどうするつもり?」


 言うと、懐からナイフを取り出し、こちらに向けた。ただし、その手は震えて今にもナイフを取り落としそうだ。


「殺す! 転生者は許さない!」


 ほう。

 事情は知らないが、この童子もわたしと同じく転生者を恨んでいるということか。


「とりあえず、少し話をしない? 転生者に用事があるのはわたしも同じだから」


「え?」


「まずその物騒なものをしまって。もっともそんなものでわたしを殺せるとも思えないけど」


 さっきに比べ、さらに人目を引いている。街の警備兵でもやってきたら厄介だ。


「わたしが昨日泊まった宿に行きましょう。そこで詳しくあなたのことを聞かせて」


「ボクがエルフだからって売り飛ばすつもりじゃないだろうな?」


「あ、やっぱりエルフだったんだ」


 わたしがそう返すと童子はうつむいた。長い耳が所在無げに垂れてかわいい。


 やはり多くのファンタジー世界同様、この世界ではエルフは貴重でしかも人身売買的なことをする輩がいるようだ。


 チート魔法の使い道としてそういう無法な連中を懲らしめるのもいい訓練になるかもしれない。


 わたしが宿へ歩き出すと、不承不承エルフ童子もついてくる。



「さて、あなたが転生者を殺したい理由を聞かせてもらおうかしら」


 昨日と同じ宿に部屋を取り、二人連れになっているところを見ると女将さんは意味ありげに微笑んだが、客のプライバシーには触れない方針らしい。


 何も言わずにエルフ君も同じ部屋に通してくれた。


「その前に名前を聞かないと不便ね。なんてお名前?」


「クー……。クーディリア、いやクーディック・ワイト・シュバルツ。そっちはなんていうんだよ?」


 一度名乗って「しまった」という顔をしてからから訂正した。偽名なのかもしれない。もっとも、呼べればなんでもいいが。


「じゃあ、クーって呼ぶわね。わたしはリンカ・ネイシよ。リンカでもリンでも好きに呼べばいいわ」


「ボクのお父さんは転生者に殺されたんだ。理由はダークエルフだったこと」


 わたしの名前を呼ばないままエルフ―クーディックは最初の質問に答えた。


「じゃああなたってダークエルフなわけ? 肌は白いけど」


「母さんは普通のエルフだ。ダークエルフとエルフのハーフなんだ。ダークエルフはモンスターと同列に扱われる」


「ふーん」


 まず、エルフとダークエルフで混血が可能なことに驚いた。


「あの転生者はダークエルフと一緒に居たってだけの理由で母さんまで殺した。ボクは隠れさせられたけど、あいつは殺しを楽しんでいるかのように母さんを嬲って殺した。ボクはその様子を見ていることしかできなかった」


 そこでクーディックは歯ぎしりする。


「要するに敵討ちか。わたしと同じね」


「あんたも!?」


「この世界の転生者ってやつは力をひけらかす奴ばかりみたいね。わたしも親友を殺されたわ。先に言っておくけど、わたしも転生者よ。一年ほど前にこの世界に転生したの」


「なにっ!?」


 言うとクーディックはまたナイフを出した。


 相変わらず切っ先が震えているが、好んで刺されたいとも思わない。


 ひょんなことから、転生者を恨んでいる妙なエルフの仲間ができた。


 もっとも、いつ寝首を掻きに来るか分かったものではないけれど。

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