逆走勇者(ハッピーエンド?)
一度ミスって3000もじ以上消えてしまった。、、、終わった。
魔王城から、これから帰るところだ。
魔王を倒せたのは僥倖と言えるが、私1人になってしまった。
故郷の王都に帰ったら田舎でのんびり暮らすのもいいよなぁ。
自己紹介をしようか。俺はク・リキントンだ。今ようやく勇者としての使命の半分が終わったところだ。王城に帰って王様からの報酬を受け取って、そしたらのんびりスローライフを送りたい。そんな人間だ。
魔王四天王の中の1人を1人は魔王城にいるらしい。だから、消耗しないために、道を飛ばして、空から竜に送ってもらった。
そうそう。その四天王の名前はマロン・モンブランというらしい。
「マ、魔王様ー!!」
モンブランが魔王の玉座に駆け寄る。
こいつが戦闘の途中でやってきていたらもしかしたら負けていたかもしれない。そのくらい、強そうに見えた。
「おのれ勇者メ!!せめて魔王様の仇!討たせてもらう!」
「それを言ったら私たちも、村の人々の仇を撃たせてもらうわ!」
景気が叫ぶ。
やってきたのは、僧侶、魔法使い、盗賊だった。
名前は順に、和栗景気、栗田流斗、マロン・グラッセだ。
「お前ら、、、どうしてここに」
流斗がいたずら成功した時のようにニヤリと笑う。
グラッセも、満面の笑みだ。
「当然よ!お前が1人で向かったって聞いていてもたってもいられなくなっちまったんだよ!」
「こいつは俺の兄弟らしいな。だが、俺はそいつらに捨てられたんだ。愛着などありはしない。だが、見守ることが手向だと思ってな。」
「なるほど。でもグラッセは一度裏切った。信用できねえな。」
「しねえんならしねえでいいんだよ。俺は俺のままで生きるからよ。」
そして、最後に景気。お前はなぜ生きている。
「雑魚モンスターに一撃でのされて死んだはずじゃ、、、?」
「あの時必死に回復魔法に専念していたら掴んだんだよ!魔力の核心を!!」
「なるほど。じゃあ死者蘇生みたいなこともできると言うことか。」
「ああ。できるとも!」
期待するとしよう。
モンブランが叫ぶ。
「4対1だからっていい気になるなよ!俺はどんな奴でも一撃で屠り!一撃で引きちぎってきた魔王の右腕、大将軍マロン・モンブランだ!俺は魔王様ほど甘くない。手加減など期待するなよ。」
はなから期待していなかったがな。
相手の攻撃を剣で受ける。
なるほど重い。魔王はオールラウンダーだったが、こいつは物理特化か。
「それならば、俺の敵ではない!」
聖剣で一刀両断する。
そのつもりで放ったのに、肩の、鎖骨によって止められた。
なんて頑丈さだ。魔物ってのは羨ましいな。
見ると、切られた部分がすぐに治っていく。
「無駄だ!俺には自己回復と回復魔法がある。それを使えば、勇者につけられた傷も、、、」
一瞬にして補完された。
なんともすごい回復力だ。景気といい勝負するかもしれない。
「このように一瞬で元通りというわけだ。諦めて俺に首を差し出せ。せめて苦しまないよう一瞬で殺してやる。」
「はっ、まさか魔王を倒した俺に降伏勧告とはね。受けるきなど端からねえよ。お前ごときに俺がやられるわけがないだろう?」
魔王との戦いの中手に入れた力。
これをこいつへの手向けとして送ろう。
それが、こいつにとってもいい運命となることを願って。
「これはためが必要だ。少しの間たのむ。オーラブレード・破邪の剣」
「今感じた。なんだその凄まじい魔力は!肌で感じるその力はなんなのだ!それは危険だ!俺が」
「おいおい。俺らがいることも忘れちまったのかよ。マッドバインドからのアースロック。」
泥による拘束を、魔法により硬質化する。それは、物理特化にかなり近しいこいつを一瞬止めることに成功する。
だが、こいつも魔王の右腕を名乗るというだけあって、対応も早かった。
「ぐっ、回復に回す力を身体能力向上に向ければこの程度!」
パキパキという音を立てて、硬質化した泥が崩れかける。
こいつが不運だったのは、4人が相手だったということだろう。
「ヒール。これは泥でも元に戻せる優れものだ。」
ひび割れた泥が元に戻っていく。
「魔力勝負と行こうじゃないか!俺とお前ら!どちらが強いかをな!」
2人がかりでもおされ気味になる。
こいつは強い。だがな。お前の兄弟も負けてないぜ?
「魔力簒奪。魔力を奪われた気分はどうだ?」
魔力を昂らせた瞬間を狙って、グラッセは魔力簒奪を放っていた。
モンブランにも流石に焦りが見え始める。
「残念だったな。こいつらが揃った時点で、お前の敗北は決定されていたんだよ。数100年の年月を反省して過ごせ。一刀。」
一刀。それはただの振り下ろし攻撃である。
だが、多大なる魔力を払って使う技ゆえに、威力もまた膨大に膨れ上がる。
強さとは、何も1人でいることではないのだ。
「流斗。いけるな。」
「ああ、準備万端だ。封印。」
モンブランを封印する。代償は、経験値だ。
expとも言われるそれは、魔物を倒すと手に入る謎のエネルギー。
王に教えてもらったのだが、対象の魔物から得られるであろう以上の経験値を代償にして、魔物を封印することができると。
今までは魔王を倒すために必要なものだったため、試したことはなかったため、実際に使って見るのは初めてだが、うまくいってよかった。
こうして、経験値を代償にして、モンブランを封印することができた。次はサイーゴ村にいくことにした。
サイーゴ村にいく途中も大なり小なり、倒した魔物を封印していく。
残念だが、全てを封印することはできないため、ある程度は倒していった。
数日が経ち、ようやくサイーゴ村に着くことができた。
「久しぶりですね勇者様。私を覚えていますでしょうか?」
ああ、なつかしい。この村には最後までお世話になった。
武器や防具を無料で提供してくれたり、寝床まで用意してくれた。その村長の名は
「久しぶりですね文部さん。」
「勇者様。私とあなたの中じゃ。蘭と呼んでもいいのですよ。あと敬語も不要じゃ。」
この爺さんは文部蘭。ここの村長で、それでいて、今でも現役で魔物と戦っている武闘派村長だ。
「そうか。蘭さん。今回はこの装備分くらいはこの村に恩返しをしたくて戻ってきたんだ。」
「そうかそうか。嬉しいのう。まさか生きて戻ってきてくれるとは。しかもこのように立派な志を持っていたとは。この老骨にぜひ旅の話をお聞かせくだされ。」
そして、今日1日はここを立ってからの話で盛り上がった。
そして、次の日。装備を返すことにした。多少の傷はあるものの、ほとんど新品だし、劣化もしていない。何より、もらったままというのも忍びなかった。
それに関しては村長とあげる返すの悶着はあったものの、最終的には、村長のお古をもらうということで解決した。
ここの村娘から花を買ったり、逆に行きつけだったパン屋の店長からパンをもらったりと、しばらくここで止まって楽しんだ。
仕事も魔王の攻撃によって壊れていた城壁の修復を手伝いをし、それが終わってからここをたつことにした。
本来、数ヶ月かかる作業も、勇者パーティの力で、数日で終わらせることができた。
出発の日。蘭さんは引き止めてくれたが、俺は、まだ倒せていない魔物たちのことを考え、それとは別に、スローライフへの夢という邪な考えも少し含んだ思考のもと、断った。
ありがとう。サイーゴ村。ありがとう。文部蘭。スローライフが安定してきたら、手紙を送ることを約束し、村を出発した。
次の目標は口田村だ。
村での日々もあったが、勇者としての本業も忘れていない。
口田村の道中にある、魔物の巣窟。モーリフォレストに向かう。
モーリフォレストには、マウス・栗苦という1栗苦詐欺とかがありそうな名前の森の魔物がいる。行きには回り道ができたため、行かなかったが、今回は違う。魔王と、魔王四天王を封印さえすれば、二度と魔物は現れないのだ。厄介なことに、四天王は世襲制ではないのだ。四天王が倒されたら、その次に強かったやつが四天王になるシステムなのだ。だから封印が最適ということになる。
魔王は基本世襲制だ。下剋上はあるが。
「よくきたな勇者よ。知ってはいると思うが俺はマウス・栗苦だ。そしてしね。」
いきなり即死攻撃を放ってくるが、俺は聖剣のカゴによって状態異常は無効化できる。
僧侶景気は聖なる力によって、防げるし、魔法使いである流斗も、魔力障壁によって防げる。だが、盗賊であるグラッセは即死による耐性が一切ない。そのため、即死の直撃を受けて死んでしまった。
「グラッセっっ!おい景気!グラッセに死者蘇生を!」
「、、、きない。」
「なんだって?」
「できないんだよ!魔物には!回復魔法が効かないんだ!」
「それだけではないぞ勇者。この森は魔法の発動を阻害する効果を持っている。そいつは高い技術を持っているのだろうが、魔力量が少ないからな。発動などできまいよ。」
「うおおおおっ!」
がむしゃらに振るった聖剣はマウスの前脚によって防がれる。
マウスは疑問に思ったことを口にする。
「はて。魔王を倒したというからどの程度と思ったのだが、想定したほどの力はないし、よもや魔王はこれにやられるほどに落ちぶれていたとは。」
「黙れ!」
確かに、モンブランに使った経験値はかなり大きかった。レベルがかなり下がっているだろう。
突っ込んでは勝てるものも勝てない。
「冷静になれ」
確かに冷静さに欠けていた。
「冷静さが欠けていれば勝てるものも勝てないぞ!グラッセには悪いが、一旦忘れろ!そいつとの戦いに集中しろ!」
流斗の言葉で、目が覚めた。
かといって、グラッセのことを忘れることなどできはしない。だがまあ、冷静にはなれた。
瘴気で回復ができないのはこいつが原因だろう。
ならばすぐに片付けてしまおう。
「冥王竜覇斬!」
一刀ほどの威力はないが、それでも強力な技だ。
「グウウウッッッ!!!だが、これでも耐えられぬほどでは。」
残念だろうが、こいつは多段攻撃なんだよ。
マウスはだんだん防ぎきれなくなり、最後には細切れにされてしまった。
そして、経験値を犠牲にして封印する。
弱体化して行く感覚を感じながら、細切れにしたマウスを封印していく。
「瘴気が晴れて行く!これなら!」
景気はモンブランとの戦いの時のことを思い出していた。
あいつは魔物専用の回復魔法を使っていたようだ。
それを見ようみまねで応用して、それを死者蘇生に活用すれば、、、!
「リザレクション・魔!」
「うっ、、、ここは、、、?」
魔物専用のリザレクションが発動する。
そして、その魔法が発動した直後にグラッセは目が覚める。
羨ましい限りだ。俺だったら確実に二度寝を決め込んでいただろうから。
そんな余計なことを考えていると、グラッセが衝撃的なことを口にする。
「復活してくれたのはありがたいんだが、俺はこれ以上お前らについて行くことはできない。」
「、、、え?、、、どうしてだ?」
「そもそもな、俺は村に張ってある結界を魔力で相殺していたんだ。だがよ。死んじまったせいで、魔力が一切無くなっちまったんだ。だから、ついて行くことはできない」
まじかよ。
グラッセはこの森に残ってこの森を守護するそうだ。似合わねえ。
そして、俺らはグラッセが抜けて3人パーティになっちまったわけだ。
別れてからしばらくして、俺らは口田村についた。
口田村は、俺らが去ってから、栄えて、フッキ町になったらしい。
「勇者の兄ちゃんじゃねえか!お前ら!勇者様がおかえりなすったぞ!」
街の中から歓声が上がる。
歓迎されていることを素直に喜ぼうと思う。
「兄ちゃん。今日はここに泊まってけや。なぁに。金の心配はいらん。なんせ、お前らがここの主を倒してくれたおかげでここは旅人の出入りが多くて儲かってんだ。」
この豪快そうな人は、マロンパイ=スーイツ。
伸ばし棒の位置が違うようなきがしないでもない名前の隻眼の大剣使いだ。
俺らが、きた当初は、酒場で飲んだくれてやさぐれていた人だが、俺らが、ボスを倒すときには真っ先に突っ込んできてくれた情熱派だ。
「マロンパイ!久しぶりだな〜。まさかお前が町長になっているなんて思いもしなかったよ。」
「ああ、俺もお前ほどじゃないが、頑張ったんだぜ?」
「俺もお前みたいに自分の功績を誇ることにするよ。」
「そうしろそうしろ。でなきゃ俺らが頑張ってないみたいになっちまうからな!」
それにしても、町長とは、なかなかにすごいことだ。
今日は泊まることにしよう。
酒場はマロンパイの奢りらしいし、俺も今日は色々と話したいしな。
次の日、知り合いの人たちに会いに街巡りをした。
俺らがいない間に、知り合いが結婚していたり、逆に離婚していたりと、なかなかに情報量の多い街めぐりだったが、行く先々で、スイーツがもらえた。
本当に活気のあるいい街だった。
俺らはその翌日に出発することにした。
俺らにやれることはほとんどなかった。すごく活気があったからだ。
それに、王様に早く会わなければならない。
一応、手紙を送りはしたのだが、その手紙で早めに帰る旨を伝えてしまったため、名残惜しいというのはそうなのだが、旅立たなければならないのだ。
マロンパイは号泣して送り出してくれた。
次の村は、ルトイール村だ。
流斗の故郷、つまりは流斗がいた場所だ。
そこに向かう途中にある荒野にも、四天王の1人がいるのだ。
荒野の名前はトーフ荒野。前後が逆なような気がするし、音だけを当てはめた感じが否めないのだが、それはそれである。
荒野はフッキ町のすぐ近くにあり、すぐに辿り着いた。その四天王は俺を見つけるや否や、名のり、攻撃を仕掛けてきた。
「私の名前は蛤回。お前を殺すものだ。」
一瞬にして距離を詰めてきた。
それに対し、聖剣で応対する。
「この攻撃に反応するとはなかなかやりますね。ですが、この程度では魔王様を倒せるほどではない。まさか、、、影武者?いや、そんなはずは、、、。」
ぶつぶつと呟いている。その隙をついて攻撃をするが、防がれてしまった。
「私が戦闘中に隙を晒すわけがないだろうが。」
回との戦闘は真っ向勝負だった。
流斗の攻撃は回が早すぎて当たらないため、流斗は渋々俺の足場を固めて、地力を上げたり、逆に、回の足場を悪くして、動きを鈍らせたりすることに専念していた。
そして、景気は俺の回復をしてくれていた。回の速度についていけず、傷を増やしていたのだ。景気がいなかったら確実に負けていただろう。
何よりも厄介なことが、、、
「オーラブレード!」
この必殺技が、決定打になり得ないということだ。傷を負わせること自体はできる。だが、魔物特有の回復力ですぐに回復してしまう。
「勇者もこの程度か。魔王を倒したというから警戒を強めていたが、所詮人間。大した強さなど持ち合わせてはいなかったな。」
イラっとはしたが、対処法は簡単だ。
一度では効かない攻撃なら
「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」
「ちょ、ちょっと待」
「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」
「ギ、ギブギブッ!!」
「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」
「グアアアア!!!」
「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」「オーラブレード」
一度では効かないのならものすごくたくさん放てばいい。
これぞ究極の脳筋戦法である。
倒してからもしばらく攻撃を続けていたのは、なんとなく、イラっとしたからである。
関係のない話をするのだが、蛤は浜栗と書くこともあるらしく、理由は栗に形が似ているから、らしい。
「流斗!」
「封印!」
言われるまでもなくすでに封印の準備をしてくれていた。人を頼るのと頼らないのとじゃ、経験値の消費量が桁違いに変わるからありがたい。
そうして、四天王の1人、蛤回を倒し、封印した俺らはトーフ荒野をぬけ、ルトイール村に辿り向かった。
この道中、実はもう一つやることがある。この道中に聖剣を封印していた竜の祠、
セーケンRというものが守護する山脈があるのだ。
聖剣を返却するために、その山脈の中の一つ、栗墓地山に向かった。
「いつ見ても神秘的な場所だな〜」
そう呟いてみた。
水が木漏れ日を反射し、岩に不思議な紋様を描いている。
水も、蛍光のような輝きを持ち、木々も、絵に描いたような色である。
セーケンRはこの山の頂上にいるため、登らなければならないのだが、なかなかに高い山だ。すぐにはつかない。
時折休憩を挟みつつ、山頂に登り切った。
「汝、何を望む?、、、あなや、其方は勇者か?」
「ああ、帰ってきたぜ。」
「無事で何よりである。して、ここには何用だ?」
「聖剣を返しに来たんだよ。」
「生まれてこの方、聖剣を返せるほどの強さを身につけたものはいなかった。我は汝を誇らしく思うぞ。」
「じゃあ、台座を出してくれ。」
「容易いこと。」
Rは、その力を持って、台座を召喚した。
この台座は聖剣を休ませ、力を蓄えさせるためのもの。
長きに渡り使い続けた聖剣は、ようやく眠りについたのだった。
「勇者よ。其方はどうするつもりだ?」
「そうだな、、、。ルトイール村に行くつもりだ。」
「そうか。外はすでに日が暮れておる。今日はここで休むのが良かろう。」
「ありがとよR。」
「容易いこと。」
実際、外は暗くなっており、食料的にも不安を感じ始めた頃だったので、その申し出はありがたかった。
ここで英気を養うことにする。
翌日、この山を発つことにした。
Rは餞別だと言って、聖剣ほどではないが、強そうな剣をくれた。ありがたく頂戴しよう。
流斗が高山病で頭痛がしていて、あまり進む速度は振るわなかったが、なんとかルトイール村にたどり着いた。
たどりついたのだが、ここの村も、名前が変わっていた。
流斗も知らないことだったのだが、先代のクリタ=ルトイール侯爵が治めていた方法が、気に入らない人たちによる反発、、、要は一揆によって、村長も代替わりして、今は先代の兄妹である、クリタ=ルトサールが村長になって治めているらしい。
流斗が去ってからの話だったため、流斗にはあまりピンときていないようだった。
それも当然の話だろう。
先代は執務室からほとんど出てきていなかったために、顔を知っている人がほとんどおらず、中には、名前すら覚えていない人もいる始末だったのだ。
そこで、その妹であるルトサールに変わったために、今はなんとか村が回っている状態といったところだ。
副次効果で、ルトイールは幽閉されているって感じだ。
「勇者様。おかえりなさいませ。」
「おう。ルトサール。大きくなったな。」
「いえいえ。勇者様も立派になられて。」
このルトサール、流斗がここにいるときに、流斗以外で唯一丁寧に接してくれた人なのである。
あの時の街の荒れ方もかなりひどかった。
勇者なのに、俺の扱いはぞんざいだし、街を歩いていると、冷たい目で見られ、居心地が悪かった覚えがある。
それが今や、街に入った途端に、手のひら返しをするようにゴマを擦り出して、、、。人の本質というのはそう簡単には変わらないのだなということを理解できた時だった。
ここで、一日過ごして、去ることにした。
流斗はここが故郷のため、ここに残ると言われ、景気と俺の2人たびになってしまった。
流斗は旅の途中も話を盛り上げてくれたムードメーカーなため、いないと非常にこまる。さらにいうと、攻撃手段が物理オンリーになるため、めっちゃ困る。
だが、去ると決めたものを引き留めるべきではないということは当然理解している。だから、また会おうという言葉を交わして、別れることにした。
もう二度と会えなくなるわけじゃないのだ。
一期一会。心に留めておこう。
次の場所が旅の終着点である、セキ王都である。聞いただけで体調が悪そうに聞こえるのは気のせいなのだろう。
そして、王様はそこの中心である、タチ王城にいる。
漢字が違うように思うが感じかたの違いだろうか?
例の如く、この道中にも四天王がいる。
その四天王最弱と名高いそいつの名前は、区離邪夢という。
当て字か?と疑うほどに関連性のない言葉だが、邪や、離れるといった不穏な言葉が使われていることから、魔物としての特性なのだろうと、検討をつける。
四天王最弱を封印し、王都に辿り着いてようやく、俺の旅が終わるのだ。
そのためには、ポックリ草原を抜けなければならない。最後まで油断はできないのだ。
しばらく歩いて、ようやく、区離邪夢と出会った。
邪夢はすぐにこちらに気がついた。
「おい。お前、勇者だな?」
「ああ、そうだ。そして、お前を倒して王都に帰るものだ。」
「やれるものならやってみるがいい!俺の名前は四天王の端くれ区離邪夢!お前を殺すものだ!」
区離邪夢はなかなかに厄介だった。
泥のような特性を生かして、物理攻撃を軽減してきた。
さらに、草原を泥のようなものに塗れさせて行動を制限してきた。それを回避し、泥の核であるものに攻撃をする。泥による毒ダメージは、、、
「キュア!」
景気による解毒魔法で対応した。
俺は聖剣を持っていれば毒も無効だったのだが、今はもう聖剣を返してしまった。だから景気頼りになってしまっている。
「斬!」
魔力もないただの斬撃。これにも魔力を消費するのは、上を知ってからは非効率感が拭えないが、今はこれぐらいしか使えない。
さらに言えば、魔力も回の時ほどないので無駄うちはできない。
的確に核に対して攻撃を当てて行く。
そして、物理攻撃を武器で弾くと、泥が飛び散るし、回避に専念する。
「キュア!」
泥に直接無毒化の魔法を当て、無毒化して行く。
邪夢は泥が無毒化されて、少しずつ小さくなって行く。
「くそっ!この俺が負けるなど!ありえん!」
どんどん小さくなって行く。
核も少しずつひび割れ、小さくなって行く。
「バカな〜っ!!」
「斬!」
パリンッと音を立てて核が破壊される。
「所詮俺は四天王、、、最弱!!」
それを自分で言ってしまうか。
普通は他の四天王とかがいう言葉なはずなんだがな。
まあ細かいことは気にしたら負けだ。問題なのは、今ある経験値だけでこいつを封印することができるのか。というところだ。
「封印!!」
今まで集めてきた経験値全てが失われて行く。
他の四天王の時にはまだ余裕があったのだが、最後となると残量だけで足りるのか不安だ。
そんな不安をよそに、封印は完了して行く。
「経験値もすっからかんになっちまったな。」
ピッタリ全てを使い切ったのだ。
ようやく旅が終わりに近づいていると実感が湧く。
もはや景気を笑えないな。今はもうおそらく景気のほうが強い。
「ようやくついたか。、、、ここが終着点だ。」
景気は王との謁見キャンセル界隈らしく、王都で別れることにした。
俺は、王都で知り合いたちをめぐった。
勇者であるために、帰ってきた時には歓声が上がった。
そして、王との謁見に備え、今日は眠った。
「勇者よ。よくぞ戻ってきた。其方に褒美を与えよう。」
「ははっ!ありがたき幸せ!」
「其方には、、、そうだな、、、。一生分の金をやろう。他に欲しいものはあるか?」
「では、一つお願いがあります。」
「もうしてみよ。」
「土地をいただけないでしょうか。生まれてこの方戦いに明け暮れていたので、スローライフに憧れているのです。」
王様は一瞬口角を上げて笑った気がした。
いや、気のせいだろう。
この王様。トチノキ・モチモチがそんな悪そうな笑い方をするわけがない。
この王はこの世界のために身を粉にして働いた善王なのだから。
「良かろう。勇者に与える土地はどこが良いか?大臣よ、申せよ。」
「はっ!王都近くの肥えた土地である栗忍具千択平野が良いかと存じます。」
「そうだな。あそこは衣服や、それに付随した衣服洗濯、衣服クリーニングが栄えたところではあるが、土地を使わぬゆえ、土地も肥えておろう。良かろう。勇者よ、そこで良いな。」
「ありがたきこと。」
肯定する。
あの大臣クリック・サーギーは俺が小さい頃から俺の面倒を見てくれた優しい人だ。
良いところを選択してくれたことに違いない。
「では、リキントン。そこに向かわせていただきます。今までありがとうございました。」
ク・リキントンよ。ああ、俺は頑張ったのだと褒めてやる。
だから今日はゆっくり休もう。
王の計らいで、俺は馬車に乗って城下町を凱旋した。
俺を見るためににたくさんの人たちが見にきてくれているというのは気分が良かった。
次の日栗忍具千択平野に向けて出発した。俺が育てた野菜や家畜を絶対に買うという約束までしてくれた婦人もいた。
しばらくは大変だろうが、頑張ろうと思う。
だって俺は勇者なのだから。
逆走勇者(ハッピーエンド?)完
「サーギーよ。」
「陛下。いかがなさいました?」
「勇者を思考誘導する魔法、しっかり作用していたな。」
「ああ、あの見境なく破壊するモンスターも役に立ったものよ。」
「聖剣を手に入れた後は無効化されて焦ったがな。」
「ですが、もうご安心をあいつはもう聖剣を手放しております。二度と戦おうとはおもいますまい」
「ふふふふふ」「かっかっかっかっか。」
「其方も悪よのう。」
「陛下こそ。その悪さ天下一品にございますね。」
終わり。




