表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

9. 再会そして別れ



 僕たち3人は、昨日銃声がした近辺へ来ていた。


 「確かこの辺りだった様な気がするんだけどなー」



 そうやってしばらく探索し、遂に見つけた。


 それは広範囲にわたって建てられている土壁だ、土壁と言っ


 てもモンスターが入ってこられない様な3〜4メートルくら


 いはあり、凄く頑丈そうに見える。


 「お姉ちゃんあれ!」


 「やっと見つけた、もしかしたらお母さんもあそこに!」


 ナズナちゃんとユウタくんは凄く嬉しそうにしていた。


 「2人ともどうする?少し危険かもだけど行ってみる?」


 「行ってみる価値はありそうね」


 「ユウタもしもの時はお願いね!神村さんもいつでも逃げれ


 る様にしておいて」


 「わかった、みんなで離れない様に行動しよう。もしもの時


 はユウタくんを連れて逃げて」


 もしかしたら土壁で退路を経って来るかもしれないけど、僕


 のショートソードなら問題なく切れると思う。


 「わかってる」


 えっ?


 本当に置いて行くつもりなのかな?ごめんなさいかっこつけ


 ました。


 置いていかないで!!


 「じゃ行くよ」


 「わかった」



 そうして僕たちは土壁の要塞へと向かった。



 「そこのお前ら止まれ!」


 土壁の前にいた自衛隊の人達に止められた。


 隣に立っていた男がトランシーバーで報告している。


 「生存者3名発見しました。如何しましょうか?」


 「…」


 「わかりました」


 「そこの3人ついて来てくれ」


 そう言われた僕たち3人は警戒を解く事なくついて行く事に


 した。


 中に入って一番最初に連れて行かれた場所は、小さな建物だ


 った。


 「すまない何の確認もせずに受け入れる事はできないんだ


 理解して欲しい」




 僕たちが建物でしばらく待っていると、偉そうな人が入って


 来た。


 「初めまして、私はここの責任者の佐藤と申します。これか


 らいくつかの質問をしますのでお答えいただきたい。」


 「はい」


 「まずはお名前を伺っても?」


 「ナズナです、こっちは弟のユウタです」


 「僕は神村です」


 「今までどうやって生きていたのかも教えてもらっても?」


 そう聞かれてどう答えようか迷っていると、ナズナちゃんが


 答えた。


 「スキルを使いモンスターを倒して食料や物資を調達しなが


 ら生きてきました。たまたまここを見つけたので来ました」


 佐藤さんが少し難しい顔をしながら問いかけて来た。


 「皆さんのスキルを伺っても?」


 ナズナちゃんが即答だった。


 「お答えできません」


 僕も同じ気持ちだった、見ず知らずの人達に教える事はでき


 ない。


 「ここで我々と一緒に生活する気はあるのか?」


 「いいえ、そのつもりは無いです」


 「僕も同じ気持ちです」


 「そうか、最後に何か聞きたい事はあるか?」


 「母を探しています名前は一ノ瀬スズカと言います、ここに


 いらっしゃらないでしょうか?」


 そう聞かれた佐藤さんは無線を使って何処かに連絡を取って


 いる様だった。


 無線の連絡を終えると答えた。


 「はい、一ノ瀬スズカさんならこちらで保護しています。も


 う少ししたら部下がこちらへお連れして来るはずです」


 

 「お姉ちゃん!お母さん生きてるって…」


 そのままユウタくんは声を抑えながら、でも確かに泣いてい


 た。 



 がらがらがらっ!


 スズカさんも2人を見るや否や泣き出しながら2人を抱きし


 めていた。


 「よかった、本当によかった…」


 「お母さぁん…」


 ナズナちゃんも声には出してはいなかったが泣いていた。


 ナズナちゃんの泣いてる所初めて見た、こう見るとやっぱり


 まだまだ子どもなんだなって思う。


 僕はこんな子に頼りっぱなしだったのか、情けないな。


 「それで皆さんに改めて問いましょう、私達と行動を共にし


 ないか?」


 「お姉ちゃん?」


 ナズナちゃんが少し考え答えた。


 「はい、これからよろしくお願いします。」


 「君はどうする?」


 「僕は遠慮させてもらいます」



 「お兄ちゃん!これからも一緒に居ようよ!お姉ちゃんだっ


 てきっとそう思ってる!」


 「ごめんね、このままここに居てもナズナちゃんに頼りっぱ


 なしになっちゃいそうで嫌なんだ」


 「それにスーパーの人にもこの事を伝えに行きたい」


 そう言うとナズナちゃんはどこか悲しげな表情を浮かべてい


 たが、何も言わなかった。



 「ナズナちゃん、ユウタくん本当に今までありがとう。2人


 が居なかったら僕はとっくに死んでたと思う、また何処か


 で」


 「お兄ちゃん気が向いたらまた帰って来てよ!」


 「ありがとう、元気でね!」


 「佐藤さん門の外まで案内お願いしても?」


 「あぁわかった」



 門までつくと佐藤さん達にお礼を言ってその場を後にした。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ