5. 出会い
目が覚めると、見知らぬ天井だった。
「そうか、やっぱり夢じゃなかったんだな」
ひとまずはステータスを確認するか。
『ステータス』
神村 一樹
レベル 2
HP 7/7
MP 10/10
寿命 59
固有スキル 命の等価交換
スキル ファイアボール
やっぱり休めば体力と魔力が回復するのか。
昨夜寝る前にステータスを開き残りのMPから計算したとこ
ろ『ファイアボール』は、消費MP2だと言うことがわかっ
た。
強力なスキルだけど連発は控えた方が良さそうだな、当分は
ショートソードで頑張って倒して、無理そうならスキルか逃
げるかだなー。
今日は学校を目指しながら見かけたモンスターは出来るだけ
倒して行くか。
「よしっ、そろそろ準備するか」
とは言っても準備するものは何も無いのだけど…
「神村もう行くのか?」
「はい、明るいうちに出来るだけ移動したいので」
「そっか、危なくなったら引き返してこいよ!」
「はい、では僕は行きますね」
「おう、達者でな」
そう言い残すと僕はスーパーを後にした。
スーパーを出て少ししたところに2匹のゴブリンを見つけ
た。
流石に2匹同時はきついので、片方は『ファイアボール』で
倒して後はショートソードの出番。
「ショートソードの鯖にしてくれる!」
左手を前に突き出し『ファイアボール』を唱えて火の玉を打
ち出した。
「ぐぎゃぁぁあ」
命中し、1匹がその場で崩れ落ちる。
《一定の経験値を獲得したのでレベル3になりました》
もう1匹のゴブリンが走ってきた。
僕は右手に持ったショートソードを思いっきり振り下ろし
た。
ぐしゃ、、
ゴブリンは僕が剣を振り下ろすのを見て持っていた棍棒でガ
ードをする様な動きを見せたが、棍棒ごと真っ二つになって
いった。
切れ味すごいと思ってたけどここまでとは思はなかった。
「あれ?…」
気持ち悪いはずなのに、全く吐き気もしない。
まさかレベルアップの恩恵か?それとも慣れてきたのか?
ちょっと怖い気持ちもあるが考えても仕方ないのでステータ
スを確認することにした。
神村 一樹
レベル 3
HP 7/10
MP 8/15
寿命 59
固有スキル 命の等価交換
スキル ファイアボール
命の等価交換
スキルガチャ 1
武器ガチャ 1
スキル構築 ファイアボール 1
武器生成 ショートソード 1
スキル強化 3
武器強化 3
一応、命の等価交換も確認はしたが体力、レベル、魔力以外
は目に見える範囲では特に何の変化もなかった。
そのままゴブリンの来た道を進み目的地周辺のコンビニ前ま
では来ることができた。
「げっ」
道中ゴブリンがほとんど居ないと思ったらここに居たのか。
目の前に広がる光景はゴブリンがコンビニの中にも外にも沢
山いて、コンビニを漁っている様子が見てとれる。
「ゴブリンって買い物とかするんだ」
と少し現実逃避しながらも、確かにモンスターはどうやって
生きてるのかを考えてなかった、ご飯だって必要だろう。
「どうしよっかなー」
そんな考えを巡らせてる時に不意に背後から声をかけられ
た。
「そこの人、動かないで!」
「…」
体は、びくりとしながら声は出せなかった。いや出なかった
「ゆっくりとこっちを向きなさい、変な真似したら怪我じゃ
済まないからね」
ゆっくりと振り返るとそこには男の子と女の子がいた。
僕には戦う意志はないが向こうはかなり警戒しているらし
い、てか声をかけられるまで全く気づかなかった。
「ごめんねお兄ちゃん、お姉ちゃん悪気はないんだ」
今まで女の人の後ろに隠れていた男の子だった。
続けて最初に声をかけてきたであろう女の人にこう聞かれ
た。
「あなたもしかして学校に向かってるの?」
少し考えて言った。
「そうです、避難するところを探していて」
「なら、あそこは辞めときなさい。モンスターがうじゃうじ
ゃ居るから」
「あ、あのお兄ちゃんが学校の方に行くのが見えたから」
なるほど、助けに来てくれたのか。
危なかった、知らぬ間に学校への片道切符になるところだっ
た。
「あの、助けてくれてありがとう。君たちも何処かに避難し
てる途中?」
「そうだけど、安全な所なんて何処にも…」
そう言いかけて口を閉ざす。
「ねぇ、お兄ちゃんも一緒こない?」
「えっ?」
余りにも無警戒過ぎる。
それとも何かのスキルがあるから大丈夫なのか?答えに迷っ
ていると男の子が続けて言う。
「その、3人でいた方が安全だから、、だから一緒こな
い?」
行こうと思っていた学校もモンスターだらけらしいし、何処
かに行くあてもないので行動を共にすることにした。
「ありがとう、これからはよろしくね。僕は神村」
「私はナズナ、こっちが弟のユウタ」
「よろしくお兄ちゃん」
「ここは危ないから着いてきて、隠れ家に案内するから」
「わかった」
そう言い歩き出した。




