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明星の日記  作者: 芥之 相
10/12

第四節 明星

 「っっっぷは~。何するんですか!」

 「お前が煩いからだ。話が進まん」

 「―――それで主よ、我々は如何様に致しましょう」

 「うわぁ? いつの間に?」

 「黙れ! そういう所だぞ!」

 「んん!」

 「―――ミカエル。お前は今まで通り動いてくれ」

 「……はっ―――」

 「あ~あ、もう行っちゃった……ホント、働き者だよね~」

 「おい、そこの問題児ども―――お前もだ、ガブリエル」

 「えぇ? 僕もなの?」

 「俺はもう、用済みだろ? ……普通の生活に戻らせてくれ」

 「あれぇ? 恰好以外普通になっちゃって……あの一戦で、丸くなった?」

 「……今まで経験が無い、漫画でしか見た事ないような力を手に入れて、その力に溺れ、力の殆どを失っていた筈のルシファーにすら手も足も出なかった……もうこりごりだ……探偵してた方がましな生活だった」

 「あらら……重症だね~こりゃ……」

 「ふっ―――しかし、それだ。天月。余がお前に求めるのはそれなのだ」

 「……はぁ?」

 「余には、お前のそういう所が必要なんだ」

 「一体、何を―――」

 「お前は、過去に壮絶な経験をし、それでも強く生き、堅実に、しっかりと自分を見ることが出来ている……失敗して、学ぶ。そういうタイプだ……赤星にはそれが無い……負けたらまた、力を付けて挑戦する、そういう奴だからな……大概、ルシファーと同じだ……他の天使も例外無くたいていはそうだ―――そこの、ガブリエル以外はな」

 「失礼だな~僕だって、悔しいな~って、思ったことくらいあるのに」

 「……それで、俺に何を?」

 「赤星達とは別に、世界中を旅してもらう―――目的は特にない……例えば、そうだな……お前の、親の仇を探したって構わない。その犯人が、悪魔出ないと決まったわけでもないしな……ただし、そこのガブリエルと一緒にな」

 「え~~~~。こんなムサイのと旅したくないよ……僕は、ほら―――自由じゃなきゃ」

 「赤星達と比べれば比較的自由だ……戦う義務も無い、本当に旅をするだけでいいんだ……それにお前も、死人の魂を導くのにも飽きてきた頃じゃないか?」

 「……まぁね~」

 「それで……旅をさせて、俺達に何を求めてるんだ? 俺は力を使って、元々の、探偵になってまで探し求めた奴を殺せるなら―――」

 「お前達に結果など求めていない……余が求めているのは、お前たちが見分を広める。それだけだ」

 「……何だよそれ……俺達は、赤星達みたいに戦わなくていいのか?」

 「……ふっ。それは、任せる」

 「な~んだ……ホント、気楽で良いってことか」

 「あぁ、そうだ……ただし、1つ言っておこう」

 「ん? 何~?」

 「常に人の姿で生活するのだ。移動も、仮に、戦闘もな」

 「はぁ? 何で?」

 「言っただろう。何も考えず、旅をしろ。――準備は良いな」

 「ちょ、待ってよ」

 「あぁ、ソイツの言う通りだ。赤星と違って俺は―――」

 「―――っっっっっっっぷはぁぁぁぁぁっあぁぁぁ! 苦しい! あぁ~あ……み~んな行っちゃいましたね……話したい事、一杯あったのに……」

 「残念だったな」

 「……の割には、凄く満足そうな顔ですけど?」

 「あぁ、良く分かったな。非常に満足だ」

 「……日記も、本当に赤星ちゃんの経験だけしか、書かれなくなりましたね」

 「そう創り直したからな」

 「めちゃキモイですけど……あ、そうだ―――ギルガメッシュって―――」

 「それ以上は言うな。言いたいことは分かるが……神様と呼ばれるよりは、その呼ばれ方の方が良いと考えたまでだ」

 「―――ふ~ん。そ~ですか~? じゃぁ―――ギルちゃん。って呼びますね?」

 「ギルちゃん?」

 「はい。ギルちゃん」

 「その呼び方は辞めろ」

 「じゃぁ、神ちゃん?」

 「それはもっと辞めろ」

 「じゃ、やっぱりギルちゃんですね」

 「―――もういい、話しかけるな」

 「ぎ~るちゃん」

 「……」

 「ギルちゃんギルちゃんギルちゃん? ギルチャ―――んんんんん!」

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