ナポレオン
日常のおもしろエピソードとかありませんかね?
ナポレオン。
歴史の教科書にも名を残す有名な人ですね。
丸暗記が苦手な私は、歴史や地理の授業は苦手としてました。
あんまり興味もなかったですからね。
今回は、そんなナポレオンのおもしろエピソード……ではなく、以前小耳にはさんだ日常のエピソードになります。
……ところで、前足を跳ね上げている馬を乗りこなしている有名な絵画がありますよね?
あれ、ほんとは、でっち上げだったって噂、ほんとですかね?
馬にも乗れない運動音痴さんな上に、身長もそんなに高くないいわゆるおチビさんだったけれど、権力という名の圧倒的な力でもって、イケメンで、高身長で、跳ね馬も乗りこなす傑物だったと、そう印象を受ける絵画を描かせたという噂。
まあ、あんまり興味ないので、どっちでもいいのですけれど。
さて、本題です。
「ナポレオン」の名を冠するなにかが、ある日語られることになります。
では、小話というか聞いたお話を。
そこは、わりと昔からある、昔ながらの喫茶店。
昼間は、コーヒーや軽食を提供し、夜はお酒も提供するお店だったようです。
ある昼下がり、喫茶店のママは、馴染みのお客さんに声をかけます。
「いらっしゃい。あのね、ちょっと珍しいお酒が入ったの。どう?」
「珍しいお酒? なんてお酒なの? ママ?」
ママさんは得意気に応えます。
「『ナポレオン』っていう、海外の珍しいお酒なのよ~。お一つどう?」
そのお客さん、昼間っからよそでお酒かっ食らう趣味はないようで、お酒は断ったそうです。
ですが、興味を引かれたのは、カランカランとドアベルを鳴らしてお店に入ってきた別のお客。
珍しいお酒ってところに食いついておきながら、そしらぬ顔でママが注文を取りに来るのを待ちます。
「いらっしゃ~い。なににする?」
その二人目のお客、一度お品書きを確認してから、キメ顔で右手の人差し指をママに向けて言い放ちます。
「ナポリタン」
注文の仕方も決まったな。と、どや顔する二人目のお客。
あらそーお? と、ママはそっけない態度です。
どや顔のまま待つことしばし。
海外の、それも珍しいお酒というので、焦らしてるのかな? などとちょっと気持ち悪いことを考えながら待つ二人目のお客。
次第に、なんだかいい匂いが漂ってきます。
誰の注文だろう? 客は、先に来た客と自分の二人しかいないので、先に来た客が頼んだのだろうと思い静かに待ちます。
……けれども、待てど暮らせど、「海外の珍しいお酒」は、出てきません。
ママさんも、カウンターの向こうで作業しっぱなし。
次第にイライラが募る二人目のお客。
態度も言葉も悪しざまに、ママさんを呼びます。
「おいぃっ! ママさんよお! いつになったら出してくれるんだよ!?」
「あーもーうるさいわね~。はい、ナポリタンおまち」
二人目のお客の目の前に出されたのは、ケチャップが利いた喫茶店のスパゲッティ。
できたてホカホカで美味しそうです。
……ですが、二人目のお客は不満タラタラです。
「おぅっ! ママようっ! なんだこりゃあようっ!?」
「なにって、ナポリタン。あんた注文したじゃない」
「おれぇあこんなもん頼んでねぇーよっ! 海外の珍しいお酒があるって言ってたから、それを頼んだんじゃねぇーか!!」
……で、お品書きに書いてるわけですね。「ナポリタン」って。
それまで黙って聞いていた最初のお客、大・爆・笑。
ずっと、二人目のお客が海外の珍しいお酒「ナポレオン」を「ナポリタン」と言い間違えたことを察していながら、一番面白くなるこの瞬間までずっと黙って待っていたようです。
「あっはっは。……いやさ、あんたよ、それ、『ナポリタン』じゃなくて、『ナポレオン』な? あんた最初に、『ナポリタン』って言ったろ? ママさんも注文されたものをちゃんと持ってきたんだぜ?」
笑われて、間違いを指摘された二人目のお客。
注文したときのキメ顔でママさんを指さす仕草が恥ずかしくて仕方ありません。
でも、腹も立っちゃうわけで。
「うるせー! ちくしょーっ! 帰ってやるぅあーーっ!!」
「あらそーお? これどうするの?」
「要らねーよちくしょーーっ!!」
鼻息荒く、肩をいからせて喫茶店を出ていく二人目のお客。
「…………なんだったのかしら?」
その態度が終始よく分からなかったママさんは、首かしげ。
「さあ?」
その態度を最初から理解していた一人目のお客は、おもしろそうに笑っていましたとさ。
おしまい。
なお、提供されたものの一口も食べられなかったナポリタンは、最初のお客のお腹に収まったそうです。
ごちそうさまでした。
面白い。楽しかった。自分はこんなの知ってる。そんな方がいましたら、下の方にある☆☆☆☆☆などはスルーしてもらって構いませんので、ぜひエッセイにして投稿してみてください。
自分にとってはなんてことない日常であっても、他の人にとってはおもしろ楽しいエピソードかもしれませんから。
エッセイなら必ず目を通すと公言している方もいらっしゃいますし、小説を書く練習としてひとまずエッセイを書いて文章を書くことに慣れてみるのも良いと思いますよ。