↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/33

第12話「桃井瑠美(ももいるみ)」

 いや、そりゃもちろん、あれが『カノジョ』だってことはわかってるんだけど、盗み聞きしてたから、でも改めてアズミにはっきり言われると、いろいろと胸に来るものがあった。


 それでも僕はひるまずに質問を続ける。


「そうなんだ、名前はなんていうの?」


「ん? 『ももいるみ』さん」


「ももいるみ……漢字は?」


「えー? なんか難しい漢字だったから説明できなーい」


「そこをなんとか……」


「んー……」


 アズミは僕を無視して、いきなりスマホをいじり始めた。


 ヤバい。


「そんな週刊誌の記者みたいなこと聞いてくるんじゃねぇよ」とか思われてしまったのだろうか?


 これをきっかけにガン無視とかされるようになったらどうしよう……


「あっ、あった……ほら、優くん。これが『ももいるみ』さんの漢字だよ」


 アズミはスマホの画面を僕に見せてきた。


 そこには『桃井瑠美』という漢字と、電話番号が表示されていた。


 なんだ、怒ったんじゃなくて、この漢字を見せるためにスマホをいじっただけだったのか、僕は安堵する。


 それにしても、今時、ラインじゃなくて電話番号を交換しているとは……聞いたところによると、今はよほど親しくないと電話番号なんか交換しないらしい、やはりふたりはガチで交際中なのか……


 それでも僕はひるまない。


「なるほど……この桃井瑠美さんは何をしている人なの?」


「大学生だよ」


 だい・がく・せいっ!!


 大学生が中学校卒業したばかりの女の子とえっちなことをするだなんて、たとえ同性であっても犯罪じゃないのか?


「どこで知り合ったの?」


「んー? ネット」


 ネットォォォォォッ!!


 出会い系ってこと?


 いや、それって中学生が使っちゃいけないやつなんじゃあ?


「ネットとか……危なくない?」


「危ないって何が?」


「だって、変な人だったら、その……」


「瑠美さんは変な人じゃないよ!!」


「あ、あー、そりゃそうだよね、ごめんごめん……」


 アズミの突然の語気の強さに、さすがの僕もひるみ、即刻謝罪した。


「それにね……」


「それに?」


「アズミみたいな人はね、ネットじゃないと付き合える人に出会えないんだよ。たとえば学校とかでたまたま好きになった女の子が偶然レズビアンな確率って、どのくらいだと思う?」


「まあ……極めて低いだろうねぇ……」


「でしょう。だったら最初から、ネットのレズビアンコミュニティーで相手を探した方が手っ取り早いんだよ、現に探し始めてからわりとすぐにカノジョができちゃったんだからね」


「そ、そうなんでござるか……」


 僕がいきなり侍口調になったのは、動揺の表れである。


「そんなことよりさー、優くんもいい加減、スマホ買ってもらったら? 今日だってさー、せっかく優くんのために焼きそば作ったのにいないんだもーん。たまたま帰ってきてくれたからよかったけど、そうじゃなかったら焼きそば無駄にしちゃうところだったよー」


「そうだね、今度ママンに頼んでみるよ、『今時、高校生がスマホ持ってなかったら、人権失う』とかなんとか言えば、どうにかなると思う」


「アズミからも頼んであげよっか、陽子さんに」


「いや、そこまでしてもらわなくても、ママンぐらい、僕一人で説き伏せてみせるよ」


「そっか……でもよかったなー」


「え? 何が?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。