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『第五十八章 帰還のドラゴンテイマー』

「避難民はこれで全部だ!」

アンクセラム王国の近衛騎士団がフュリア王国の民の避難を終わらす。

そこにレーネが落としたオートマタが迫ってきた。

「オートマタが来るぞ!全員構えろ!民を守れ!」

すると後ろから二人の影が飛びだす。

「オラァ!」

「フンッ!」

同時に切りかかり、オートマタを切断した。

「お、お前たちは⁉」

「Aランク冒険者『深紅の炎』のレオだ!」

「同じく、セイゾウ。」

遅れてルシアも合流、住民の避難誘導に加わった。

「Aランク冒険者⁉」

「俺達も加勢します!あの人形の弱点は胸にあるコアです!そこを砕けば奴らは機能を停止します!」

「わ、分かった!」

レオとセイゾウに弱点を教えてもらい兵士は次々とオートマタを倒して言った。


 場所は変わり土煙が籠る位置から瓦礫を押しのけ、ガミウが起き上がった。

「いってぇな。何だ今のは?」

近くには魔石の付いた杖が地面に刺さっている。

すると杖はカタカタと動き出し地面から抜け、ある場所に飛んでいきパシッと掴まれる。

そして建物の陰からリーシャが現れた。

「テメェ、あの時のガキ!」

「・・・・・。」

リーシャはじっとガミウの持つ鎌を見た。

その鎌から何人もの人間の気配を感じた。

刈り取った全ての魂を鎌に収納させているのだ。

リーシャは杖を振り回し槍の構えを取る。

「・・・その人たちを、返してもらいます!」


 そしてもう一方、大聖堂前でアルセラとアムルの再戦が行われている中、まるで彗星のように何かが落下していき二人の間に落ちる。

「うわ⁉」

「っ⁉」

土煙が晴れるとそこから、

「じゃじゃーん!リヴちゃん参上!」

ポージングを決めて現れるリヴ。

だが突然すぎてアルセラとアムルの二人はただ見てることしか出来ていなかった。

(やっちゃった・・・!)

思いっきりスベッたリヴは恥ずかしくなり顔を赤くしてプルプル震えた。


 不気味な空模様の上空から王国の様子を伺うウィンロス。

どこもかしこも街がボロボロの酷い有様だった。

「ヒッデェなこりゃ。」

しばらく飛翔しているとある場所から強い魔力反応を感じ取った。

「ん?何やこの魔力・・・。」

反応がある位置まで行くと地面に降り立ち、耳を当てる。

「・・・ここか!」

ウィンロスは風を身に纏い回転しながら地面を掘り進めた。

ドリルのように地面を進んでいくと、古い遺跡跡のような空洞に出た。

「何やここは・・・?ん⁉」

その遺跡の中央にはウィンロスより巨大な白い鎧がズンと佇んでいた。

そして鎧の上にはあの二人がいた。

「あれあれ?何か来たと思ったらお前、見たことある。」

「僕たちの最高傑作倒した奴倒した奴!」

双子神のネーネとアルルが鎧の創造を完成させた直後に出くわした。

「お前等何しとるんや・・・!」

よりによってレーネに続き、あの双子神までこの国にいるとは思わなかったウィンロス。

彼らがこんな隠れた場所でこんな大きな鎧を作っているのはどう考えても良い予感がしない。

「アルル、こいつがいるってことは・・・。」

「っ!アイツがいるいる!」

ウィンロスがいることでタクマもこの国にいることが分かった双子神はニヤリと笑った。

「アルル、こいつ倒してアイツも倒す!」

「僕たちの本気、見せる見せる!」

双子神は鎧の前に立つと背後に魔法陣が展開され、二人はそれぞれの魔法陣の中に姿を消す。

すると鎧の目が光出し、ゆっくりと動き始めた。

重い音が遺跡中に鳴り響き天井から瓦礫がパラパラと落ちる。

そして巨大な剣と盾を構えた巨人の騎士がウィンロスの前に立ち塞がった。

双子神二人が一つに融合した神の騎士だ。

「「神の力、思い知れ!」」

「マジかよ・・・!」


 「タクマ‼」

ルナの目にはかつての幼馴染、タクマがいた。

その佇まいはまさに救世主だった。

「女神レーネ。今度は俺の故郷にまで手を出しやがったな?」

鋭い眼光でレーネを睨みつけるタクマ。

一瞬動揺したレーネだがすぐに冷静になりいつもの彼女に戻る。

「驚いたわ。まさかこの国が貴方の故郷だったなんて。本当に知らなかったのよ?」

「御託はいい。それよりもお前、ルナに何しやがった?」

「見ての通りだけど?」

タクマは檻に捕まったルナとガルーダを見る。

ルナは精神を折られ瞳に光が灯っていなかった。

彼女の状態を見たタクマは怒りを表にし再びレーネを睨んだ。

「そうか・・・。」

そう言い剣を取り、一瞬の内にレーネの懐に入った。

「居合・竜炎斬‼」

炎の斬撃をいとも簡単にかわし後ろに下がる。

「フフフッ。」

レーネを追いもう一度技を繰り出す。

「居合・水刃爆‼」

今度は水の斬撃。

だがこれも避けられてしまった。

「単調な攻撃ね。」

レーネは右腕から四本の光の鎖をタクマに放つ。

鎖は縦横無尽に動き、回り剣で何度も弾くも勢いを衰えることなく迫ってくる。

「ほらほら!さっきまでの勢いはどこ行ったの?」

煽るように言ってくるレーネだが、タクマは無言で鎖を弾き続ける。

そしてそのままレーネの懐に飛び込む。

(ここだ!)

剣筋がレーネを捕らえた。

だがその一撃は寸前で止まってしまう。

「⁉」

レーネの周りにはバリアが張られており、剣が通らなかった。

「フフッ、下界の人間ごときが女神に触れられるわけないでしょ?」

バリアの衝撃波で剣を弾き飛ばし両腕から合計八本の鎖が放たれる。

「居合・風裂傷!」

鎖を風の斬撃で相殺した。

「バハムート!」

呼ばれると同時にバハムートが現れルナたちの入った檻を掴んでその場から離れた。

「バハムート⁉」

「久しいな、娘。」

「バハムート、ルナたちを避難所まで連れてってくれ!」

「心得た!」

バハムートは避難所へ向かって飛んで行った。

「さぁ、ここからが本番だ!」

「フフフッ。」

タクマと女神の死闘が後方で繰り広げられる中、檻を持ったバハムートは王都の外に避難した住人のいる丘の上へとやってきた。

避難場所には既にほとんどの住民が避難し終えている。

「バハムートさん⁉」

人混みをかき分けてマリア先生が前に出てきた。

バハムートは丘の上に降り立ち檻をこじ開ける。

「ルナちゃん!」

檻から解放されたルナにマリア先生が泣きながら抱きついた。

「無事でよかった!・・・本当に・・・!」

「マリア先生・・・でも、お父さんが・・・。」

ルナは精神が追い詰められていたせいか、全てを話した。

「そんな・・・お父さんが・・・?」

「お父さん、私を庇って・・・!」

再び泣きじゃくるルナにバハムートが声を掛ける。

「いや、諦めるのはまだ早いぞ。」

「どういう事ですか?」

「来る途中あの死神を見かけた時、奴の持つ鎌から複数の人間の気配を感じた。恐らく奴は人間から魂を狩り取り一時的に鎌に収納していると考えられる。」

「っ!じゃぁその鎌から魂を解放すれば・・・!」

「狩られた人間は生き返るやもしれん。」

その言葉を聞いたルナの目に希望が芽生えた。

「私、お父さんを助ける!まだ間に合うなら私は助けたい!」

正直危険だがルナの決意は固そうだった。

でもバハムートはしっかりと止めた。

「お主はここで待っていろ。これは我らの問題でもある。」

「え?問題って・・・?」

「ガルーダ。お主の主人をしっかり見張っていろ。いいな?」

「ピィッ!」

ガルーダはビシッと敬礼する。

バハムートは黄金の翼を羽ばたかせ、王都へ戻って行った。

「・・・タクマ。」


 瓦礫の大地に何かが激突する。

それはタクマだった。

瓦礫から起き上がるタクマに上空から降りてきたレーネが光の鎖をジャラジャラいわせる。

「人間の身としては随分粘るわね。」

「一度神レベルと戦っているからな。」

そうは言うが双子神と戦った時は闇に飲まれ暴走していたため覚えがない。

それに相手は腐っても女神。

雲をつかむような存在にどこまで太刀打ちできるのか分からない。

だがそれでも、故郷を奴らの好きにさせるつもりはない。

這いつくばってでもこの危機を乗り越える。

「居合・一閃〈乱〉‼」

目にも止まらぬ速度で駆け回りレーネを翻弄する。

「無駄な足掻きね。」

ふうっとため息をつき鎖を全方位に放つ。

タクマはギリギリ鎖を避け続けるが最後の最後で鎖に足を掴まれてしまった。

そのまま地面に叩きつけられるタクマ。

「他愛ないわね。」

呆れ気味で言うレーネが放った鎖を引き抜こうとするとビクとも動かなくなった。

「何?」

すると瓦礫を退かしてタクマが起き上がる。

「お前が放った鎖の先をよく見て見ろ。」

先には建物の岩盤に鎖が突き刺さっており逆にレーネが拘束されているような状況になっていた。

(あの動きは鎖を岩盤に突き刺させるためだったのね?)

逆拘束されたレーネの隙を逃さないためタクマはもう一度姿勢を低くする。

「居合・竜炎斬‼」

炎の斬撃を繰り出すも手前でバリアに阻まれ、攻撃がレーネに届かない。

「無駄よ。貴方ごときに神のバリアは破られないわ。」

レーネは鎖を自ら破壊し再構築する。

復活した鎖はタクマの腕に絡みつき大きく薙ぎ払った。

瓦礫に叩きつけられ続け遠くへ投げ飛ばされる。

土煙の中、タクマの風裂傷が繰り出されレーネに直撃する。

だがやはりバリアに守られ本人は無傷だ。

「竜化!」

タクマは水の竜化となり水の尻尾をバネにしてレーネに近づく。

低い位置から剣を振り上げるがまたしてもバリアに一撃を止められてしまった。

「無駄だって言ってるのに・・・。」

パチンと指を鳴らし魔法陣から光の光線が放たれタクマは吹っ飛ばされる。

(くそ!あのバリアさえ何とか出来れば!)

息をつく間もなくレーネの鎖は襲い掛かる。

いつの間にか鎖の数が増えておりタクマも避けに手一杯だった。

レーネがタクマに集中していると、

「今だ!」

そこにレーネの背後からバハムートが現れブレスが炸裂。

バリアで直接的なダメージはなかったがレーネはブレスごと押し飛ばされた。

「バハムートのブレスでもバリアは壊れねぇのかよ・・・。」

タクマはバハムートと合流する。

「奴は神だ。一筋縄ではいかない相手だと分かっておるだろう。」

「まぁ、一応わかっちゃいるけど・・・。それでも、守るために倒さなくちゃいけない!」

ゆっくりと宙へ浮かび余裕の表情を見せるレーネ。

それを見上げるタクマとバハムート。

「神だからって・・・好き勝手させねぇぞ!」


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