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『第259章 争奪戦』

夜闇の中を明るく照らす帝国皇都。

都市からサイレン音が鳴り響く中、その上空に浮遊するセイグリット。

「来おったか。」


 機械のティラノサウルスが巨人ゴーレムを相手する中、手を組んだタクマとリリアの前に立ちふさがる機械のヴェロキラプトル。

互いに緊張感に包まれ、両者は同時にぶつかり合った。

タクマが前線に出てリリアが錬金術で援護。

先ほどまで敵対していたとは思えないほど息の合った連携だった。

しかしそれでもヴェロキラプトルは優勢を譲らない。

二対一にも関わらず巧みな戦闘術で二人の攻撃を捌いていた。

仕舞いにはラプトルが絶対やらない動き、ブレイクダンスのように足を回しタクマを弾き返したのだ。

「獣の動きじゃねぇだろ⁉」

「奴らはそこらの魔獣とは全くの別物。知能だって高いし、下手をすればボクたち人間より優れているのかもしれない。」

一人称ボクなんだ。

そう思ったことは一先ず置いとき、あのラプトルは現状得たいが知れない。

護竜(ガーディアン)に対しての情報が少なすぎるのだ。

(戦いながら探るしかねぇか・・・!)

しばらくラプトルと闘っているとティラノサウルスがゴーレムを咥え上げ投げ飛ばす。

そして会場に置かれた彫刻に当たり砕けると中から()()()()()()()が転がり落ちたのだ。

「あれは⁉」

全員がその石の存在に気付き、ラプトルがタクマたちを無視し一目散に石へと走り出したのだ。

「狙いはギルティマーブルか!」

タクマも後を追いラプトルが石を咥えたタイミングで飛び掛かり共に転倒。

石は会場の方へ転がり落ちた。

起き上がったラプトルはタクマにシャーっと威嚇したのち再び走り出す。

「行かせるか!」

会場に落ちてた電飾コードを使いラプトルの足に巻き付け転倒させた。

その隙に追いつきギルティマーブルを拾おうと手を伸ばす。

しかしその寸前にラプトルに襲い掛かられ振り下ろされる鋭い爪を剣で受け止める。

「ぐっ!」

「タクマさん!」

リーシャは彼らの近くに落ちてるギルティマーブルを見つけ急いで抱え拾った。

そこへ貴族たちの避難誘導を終えたイフルが戻ってきた。

「イフルさん!ギルティマーブル獲りました!」

しかし次の瞬間、リーシャはティラノサウルスに喰われてしまった。

「キャアァァァ⁉」

「リーシャ‼」

咥えられたリーシャは口元で転がされている。

「うわぁ!石は絶対に渡しませんからぁ‼」

どんなに転がされても必死にギルティマーブルは抱える。

「くそっ!どけ!」

上乗るラプトルを押しのけリーシャ救出に向かうタクマ。

すると彼の足元を稲妻が迸り地面から鉄槍が錬成されティラノサウルスを攻撃し、リーシャを助け出した。

「お前・・・!」

護竜(ガーディアン)はボクにとって因縁の相手。君たちは下がってて。後はボクがやる!」

一際大きな稲妻を纏い地に触れると数多くの重火器が錬成され一斉砲撃する。

砲撃の嵐が会場を包みこむ。

「ほぼ無差別じゃねぇか!」

ギルティマーブルを抱えるリーシャを抱え砲撃の中を何とか脱出しイフルと合流した。

「二人とも無事⁉」

「食べられかけましたけど無事です・・・!ギルティマーブルもゲットしました!」

「にしても、錬金術ってのはここまでやばい技術なのか?まるで戦場だぞ?」

さらに驚くことは、これほどの規模は()()の錬金術師によって起こっているということ。

「私も旅の中で錬金術師には会ったことあるけど、あれは別格よ・・・。」

砲火の嵐を掻い潜る護竜(ガーディアン)二機。

しかし妙なことに弾幕を防ぐだけで()()()()()()()()()()

「反撃してこないならボクの全力を受けても後悔しないでよ!」

砲台が作り直され巨大なレーザー主砲に錬成されエネルギーを集束する。

するとティラノサウルスが地を踏みしめ顎が割れるほど大きく口を開け、喉奥からレーザー主砲を突起させた。

「やばい⁉皆逃げろ!」

両者のエネルギー集束を見たタクマたちは大急ぎでその場を離れる。

そして、両者のエネルギー砲が同時に放たれ辺りは光と爆風に飲み込まれる。

タクマたちは物陰に身を固め爆風に耐え忍ぶ。

そしてしばらくの静けさが辺りを包む中、タクマたちがひょっこりと物陰から顔を覗かせる。

そこにはぐったりと倒れるリリアがいた。

(ハァ、ハァ・・・、一度に錬成術式を使い過ぎた。身体が焼けるように熱い・・・。)

錬金術を酷使しすぎオーバーヒートしてしまったようだ。

彼女の身体はしばらく動けなかった。

だがそこへ近づく大きな影が・・・。

「っ⁉そんな⁉」

リリアの前には多少装甲が剥がれたティラノサウルスが立っていたのだ。

ヴェロキラプトルはほぼ無傷の状態である。

「まずい!アイツはもう動けない!このままじゃやられる!」

タクマが飛び出そうとすると突如護竜(ガーディアン)たちが走り出し、その場から離れていったのだった。

「え?逃げた・・・って訳じゃねぇよな流石に。何故突然退いていったんだ?」

疑問は残るが一先ずリリアの下へ急ぐ。

「大丈夫か?すぐ手当を・・・。」

その時、タクマに腕に手枷がつけられた。

「あえ⁉」

「一先ず護竜(ガーディアン)は撃退した。次は君の番・・・。ゲホッ!」

「おいおい、そんな状態なのに真面目過ぎるだろ・・・。だが生憎尋問なんかしてる場合じゃないんでね。」

そういい、いとも簡単に手枷を壊した。

「・・・なんでそんな簡単に壊せるの?結構頑丈に作ってるんだけど?」

「当然じゃ。そやつらはお主が思っているよりも遥かに実力がある。お主如きがタクマたちを捕らえるのは不可能じゃ。」

「え⁉セイグリット⁉」

「セイグリットさん⁉」

突然現れたセイグリットに驚く一同。

だが特に驚きを見せていたのだリリアだった。

「な、なんで貴女が・・・⁉」

するとセイグリットが杖を振るうとリリアはふらっと眠りに落ちた。

「怪我人は寝ておれ。さてタクマよ、調査は十分じゃ。一度儂の家に戻ってこい。」

「あ、あぁ。わかった。」

「それと、こやつも連れてきてくれ。」

「こいつを?でもこいつ帝国軍だぞ?」

「構わん。今後はこやつも必要となる。いや、必然じゃ。」

何やら真剣な表情のセイグリットだったが一先ずリリアを連れてタクマたちはその場を後にするのだった。

そしてその様子を室内から覗いていた人影に気付かずに。



 「・・・まさか護竜(ガーディアン)に潜入されるとはな。」

暗い会議室で円卓に座る数人の人物。

「報告によれば奴らはコンビナートに運ばれたコンテナから現れたそうだ。」

「あそこは我が帝国が厳重に警備を行っている。故に考えられることは一つ・・。」

会議室に緊張の空気が漂う。

「・・・()()()が我が軍に潜んでおる。」


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