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『第258章 護竜襲来』

大総統就任記念日。

その日の夜、皇都の中央に位置する帝国軍本部の野外会場では軍上層部と貴族が集まり、祝いのパーティーが開かれていた。

「皆さん!本日はお集まりいただきありがとうございます。本日を祝しまして現大総統『エルギヴィト』様のご入場です!」

喝采の拍手と共に会場に機械のマスクをかぶった男性が入場した。

彼がこのルイラス帝国で一番偉い人物、大総統であった。

会場の片隅では二人の軍人ライグル・スチュアードともう一人、以前タクマたちの前に現れた錬金術師の少女だった。

「・・・一昨日、例のドラゴンテイマーと遭遇したらしいね?リリア。」

「・・・一瞬だけ戦ったけど、あまり大した奴らじゃなかった。本当に彼らなら機神龍に勝てると?」

「勿論だ。俺の眼に狂いはないさ。」

謎の自信を見せるライグルにリリアはため息をつくのだった。


 一方、野外会場が賑わっている同時刻。

誰もいない暗い資料室のダクトからタクマが下りてきた。

「侵入成功。」

ダクトから飛び降りた瞬間、寸前であることに気付き咄嗟に剣を突き立て剣先で逆立ち状態で止まった。

『鑑定』!

鑑定スキルを発動させると床に張り巡らされた赤外線が見えた。

「このまま降りてたら危なかったな。」

剣と鞘の二刀流を使い逆立ち竹馬の状態で進み目的の棚まで到達した。

「え~と、賢者の石に関する資料は、と?」

物音を立てず静かに資料を漁り何冊かを集めた。

「賢者の石に関してはあまり多くないんだな。」

テーブルに広げるが暗くてよく見えない。

手元に明かりがないか探していると腕輪の従魔結石が薄っすら光ってることに気付く。

「・・・不本意な使い方だけど仕方ない。」

剣を抜き明るくしようと少し刀身を叩くと誤って落としてしまった。

「っ⁉」

「?」

「何か物音がしたか?」

外で見張りをしていた門番が異変に気付く。

咄嗟に剣を拾い辺りを確認する。

「・・・大丈夫か。」

軽く刀身を叩き明かりを灯して資料に目を通した。

「なになに?」


XX年前、現大総統エルギヴィトは膨大なエネルギーを秘めた魔石を発見した。

それはかつて世界を震わせた大事件『罪の大厄災』を引き起こした元『ギルティマーブル』であった。

大総統はその秘められた危険なエネルギーを軍事利用することに成功する。

以来帝国は他国を遥かに凌駕する軍事力を得て更なる発展へと誘った。

ただしその力は強すぎかつ、危険であるため発見されたギルティマーブルもとい賢者の石は即座に帝国に押収。

独占管理することをここに決定する。


 「やっぱり賢者の石はギルティマーブルだったか。これは動かぬ証拠だぜ。」

他の資料にも目を通そうと手を伸ばしたその時、

「何者だ!何をしている!」

外で見張りをしていた門番二人に見つかってしまった。

「あ、こんばんは~・・・。」

タクマはこっそりと今読んだ資料を服の下に隠した。

「ここは立ち入り禁止だぞ。どうやって侵入した?」

「おいちょっと待て。この少年、もしかして噂のドラゴンテイマーじゃないか?」

「あの竜王を従魔にしたって言うやつか?」

「へぇ~、俺ってそんなに有名なのか。だったらあんたらもわかるよな?俺の実力をよ。」

タクマが剣に手をかけ門番は武器を身構える。

そして、タクマは一目散に逃げた。

「待て!」

暗い資料室の中をチェイスするタクマと門番。

両サイドの棚を倒し門番を足止めし、その隙にテーブルへ戻り未読の資料をくすねた。

「出口出口!」

窓を見つけ一目散に走る。

「くそ!場所が場所だけに武器が使いづらい!」

「エアーボムを使え!」

門番の一人が大きな銃を構えタクマ目掛けて空気の弾を放つ。

「うわっ‼」

直撃したタクマは勢いよく吹っ飛ばされ窓を突き破り、野外会場の真中へ落された。

突然の出来事に会場の貴族たちは放心状態だ。

「アイタタ・・・。」

すると地面に稲妻が走りテーブルクロスが縄となりタクマを縛り上げてしまった。

「まさかこんなところでまた会うなんてね。ドラゴンテイマー。」

「お前はこの前の錬金術師か。」

「君、ここがとういう所かわかってるの?こんな騒ぎを起こしてただで済むと思わないで。」

鋭い眼でタクマを睨むリリア。

その様子を木の上から伺うリーシャとイフル。

「まずいです!タクマさんが捕まっちゃいます!」

「助けに行きたいけど人目の数が多いわ。それに・・・。」

イフルは大総統を見る。

(あの人物、すごく変な気配がする・・・。)

「貴方を連行する。連れてって。」

リリアが指示を出し兵が集まってくる。

その時だった。

贈り物として持ち込まれたコンテナが突如大きな音を立てたのだ。

見張りの兵士がコンテナ近づいた瞬間、コンテナが破壊され中から()()()()()()()()()()()が咆哮と共に飛び出したのだ。

「~~~~~っ‼」

護竜(ガーディアン)だーーー⁉」

護竜(ガーディアン)の襲来に会場は大パニック。

逃げ惑う貴族たちを掻き分け帝国兵が前に出るが護竜(ガーディアン)にあっけなく弾き飛ばされる。

「あれは、魔大陸で遭遇したティラノサウルス⁉どうしてここに⁉」

「よくわからないけど今のうちよ!」

混乱に乗じてタクマを救出に向かうリーシャ達。

「タクマさん!今縄を切ります!」

「助かる!」

リーシャが縄を切っている最中、ライグルは冷静に大総統を連れて避難していく。

「大総統、こちらへ。」

大総統は避難中振り返り、妙な間があったがそのままその場から去っていった。

護竜(ガーディアン)ティラノサウルスが兵士をなぎ倒していく中、突如足元から鉄の槍が錬成され後ずさる。

現れたのは腕に稲妻を纏うリリアだった。

するとティラノサウルスがリリアを見た瞬間、動きを止めたのだ。

護竜(ガーディアン)、機神龍の手下。奴だけは、絶対に許さない!」

稲妻を纏った腕を地につけると土のゴーレム巨人を錬成しティラノサウルスに襲い掛かる。

ティラノサウルスは襲い来るゴーレムを避けて噛みつき持ち上げる。

そしてもう一体のゴーレム目掛けて投げ飛ばした。

即座に次の錬成を発動させ今度は地面の鉄分から鉄の槍を生み出し投擲。

しかしそれもティラノサウルスには通用せず槍を一本咥え取り他の槍を撃ち落としていった。

それでもリリアは錬成を繰り返し再びゴーレムを生み出す。

キリがないと悟ったティラノサウルスはゴーレムの動きを止めると身体から何かが射出された。

それは機械のヴェロキラプトルだった。

「~~~っ!」

「っ⁉」

飛び出したヴェロキラプトルはリリアに襲い掛かり羽織った軍服に噛みついた。

「くっ!」

犬のように噛みついたまま首を振るうヴェロキラプトル。

そこへ誰かが思いっきりラプトルを蹴り飛ばした。

「変な生物だな。ロキに似てるが、もしかして魔械竜か?」

それはタクマだった。

「お前・・・!」

「一時休戦だ。あれは相当厄介な相手だ。あれはそこらの魔獣とはわけが違う。そう感じるんだ。」

「・・・・・。」

しばらく沈黙したリリアだがすぐ立ち上がった。

「わかった。君の尋問は後にする。今は、アイツらをここから追い出す!」

「よっしゃ!行くぜ!」

テイマーと錬金術師。その二人が今、護竜(ガーディアン)に挑む。


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