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『第257章 根付く脅威』

浮遊等の闘技場に連れてこられたタクマはセイグリットから猛攻を受けていた。

頭上に浮遊する彼女から無数の魔法攻撃が降り注ぎ避けるのに精いっぱいのタクマ。

「ほれほれどうした?神を倒した偉業はそんなものか?」

「んな偉業これっぽっちも興味ないね!」

反撃に斬撃を飛ばしセイグリットの魔法陣を一つ切り裂いた。

それでもセイグリットは表情を変えず次の攻撃に出る。

「『炎熱地獄』。」

杖の先端から熱の弾を落とすと地面についた瞬間、炎が広がり燃える地と化した。

まるで地獄のように。

「熱い・・・。」

直接的なダメージはないが熱で気力と集中力が削がれる。

「この環境でどれほど動けるかの?」

地熱から三つの炎の竜を造形しタクマにけしかける。

「くっ!」

襲い来る炎竜を捌いていくがあまりの猛攻に徐々に押されていく。

そして三頭が一斉にタクマに迫る。

火災竜呟(かさいりゅうげん)!』

炎竜が一度の重なり大爆発を起こした。

しばらくの静けさの中、セイグリットは静かに驚きを見せる。

「なんと・・・!」

煙が晴れるとそこには水のベールを纏った水の竜化のタクマが立っていたのだ。

「危ねぇ・・・。もう少しタイミングがずれてたら火傷どころじゃなかったぜ・・・。」

水の竜化を解き、セイグリットが地上に降りてきた。

「『火災竜呟(かさいりゅうげん)』を凌がれるとは思っておらんかった。儂の持つ魔法の中でも高威力なんじゃがの。」

「いや、正直肝を冷やしたぜ。下手すればバハムートの一撃よりやばかったかも。」

「カカカ!面白い!やはりお主はあやつを思い出させる!楽しませてもらった礼じゃ。儂のとっておきを見せてやろう。」

そういうとゴシックな魔女帽子を取り出し頭にかぶった。

すると彼女に身体に変化が現れ徐々に成長し始めたのだ。

魔法で服も着替え美しい美貌を持つ美女となったのだ。

「どう?」

「いやどうって・・・、俺にどうしろと?」

「・・・貴方、女性の質問に対してそれはないわ。連れのあの娘たちにもそんな対応なの?」

口調も変わり更に戸惑うタクマだった。

「まあいいわ。続きを始めましょう。」

再び上空へ浮遊すると両手に魔力の弾が凝縮される。

「第二フェーズよ。貴方の全力、もっと見せて頂戴!」

両手を力強く広げ魔力弾から無数のレーザーを放つ。

「うおマジか⁉」

降り注ぐレーザーの雨を掻い潜り走り回る。

(これは躊躇ってる場合じゃねぇ。本気でやらなきゃ大怪我じゃすまないぞ!)

腹をくくりタクマは炎の竜化となって飛翔しセイグリットに迫った。

セイグリットは杖でタクマの振り下ろす剣を受け止める。

「ようやく本気になった?」

「おかげさまでな!」

そこから至近距離の猛攻となりタクマが攻めに出る。

魔術師でありながら杖を巧みに振り回しタクマの剣撃をいなしていく。

(リーシャみたいな戦い方なのにその強さは歴然だな。)

「時間もあれだし、楽しい時間もそろそろ終わりね。」

人差し指をクイッと降ろすと突然の重力によりタクマは地上へ落された。

するとタクマを囲うように無数の鏡が現れ、その全てにセイグリットが映し出される。

「もう一つのとっておきよ。うまく対処してね♪」

なぞるように指先で円を描きパチンと鳴らした瞬間、鏡から一斉に魔線が放たれた。

「っ‼」

大爆発が起こり噴煙が舞う。

「あ、ちょっとやり過ぎたかしら・・・?」

興が乗ってしまい加減を誤ったセイグリットは焦りを見せる。

その時、雷鳴が迸り噴煙が吹き飛ばされると雷の竜化となったタクマが姿を現した。

「噓でしょ・・・⁉」

流石に驚きを隠せないセイグリットは息切れしているタクマの前に降りた。

「今の、どうやって避けたの?」

「え?スピード特化の雷の竜化で身体を逸らして避けただけだが?」

「だけって、そんな芸当が出来るわけ・・・!」

だが目の前にそれを成した人物はいる。

セイグリットはタクマに対する好奇心で笑みが止まらない。

「ふふ、あははは!想像以上だわ!貴方、とても面白い!俄然貴方に興味が湧いたわ!」

「そりゃどうも。テストは終わりか?」

「えぇ。貴方の実力は十分理解できたわ。大方他の子たちも貴方くらい強いでしょうし。」

セイグリットが地面に杖を叩くと崩れた箇所が元通りに修復された。

「さ、戻りましょ。あの娘たちも起きてる頃でしょうし。」

「待ってくれセイグリット。俺を見て思い出す奴って・・・?」

彼女は静かに頬を上げ振り返る。

「しがない年寄りの妄言よ。気にしないで。」

タクマは彼女の言う人物に大体見当がついていた。

タクマは胸元にしまってる紫のネックレスを握りしめるのだった。


 扉のダイヤルが回されセイグリットとタクマが帰ってくる。

「あ、お帰りなさい!」

既に起床したリーシャとイフルが朝食の準備をしていた。

「朝のお散歩はどうでし・・・て、タクマさん⁉隣の綺麗な女性は誰ですか⁉」

「おっと、帽子被ったままだったわ。」

帽子を脱ぎ、元のロリ姿に戻った。

「儂じゃよ。」

「ええぇぇ⁉セイグリットさん⁉」

朝から賑やかなセイグリット宅であった。



 同時刻、早朝の帝国皇都では空飛ぶ貨物船がコンビナートに降り立った。

「よーし!ゆっくり降ろしていけ!」

指示のもと貨物が次々と降ろされる。

「やっぱり大総統就任記念日だからかいつもより貨物が多いな。」

「そりゃそうだろ。大総統はこの帝国を導く偉大な御方だ。送られてくる祝いの品も多くなるさ。」

すると他よりも大きなコンテナがドスンと降ろされた。

「でかいな・・・。何が入ってるんだ?戦車一台は入りそうだぞ?」

「案外戦車かもよ?なんたって軍事国家だからなここは。」

「おいお前たち!次の持ち場へ急げ!」

「は、はい!」

兵士がその場を離れていった。

そして大きなコンテナの中に潜む影に赤い眼光が灯るのだった。


 それからしばらく経ち、朝食を終えたタクマたちはさっそく皇都でギルティマーブルについて調査を始めた。

昨日の事もありバハムートたちドラゴン組とメルティナは留守番である。

街の住民に遠回しに聞き込みを進めていくと気になる話もいくつかあった。

「最近変わったこと?強いて言うなら賢者の石が発見されたことかな?」

「賢者の石?」

「帝国軍が発見した凄いエネルギーを含んだ石らしくてほとんどの兵器などの動力源に使われてるんだって。でもすごいエネルギー量らしくて軍が独占管理しているんだけど、ここだけの話、裏の世界で闇取引されてて巷に出回り始めてるって噂も聞いた。この話は内緒にしてくれよ。」

そんな感じで聞き込みを進め、一度リーシャ達と合流した。

「進展はどうだ?」

「まずまずです。」

「こっちもそれほど有益な情報は得られなかったな。」

「俺の方は少し気になる噂を聞いた。帝国軍が独占管理してる賢者の石が闇取引で出回ってるって話だ。」

「賢者の石?それって・・・。」

タクマは頷く。

「ギルティマーブル。」

遅れてフードを深くかぶったイフルも合流した。

「帝国じゃ賢者の石って大層な名で呼ばれてるけど、実際は世界を崩壊しかねない危険な石よ。」

「百も承知だ。イフルの方はどうだ?」

「私も気になる情報を得たわ。明日の夜、この帝国で一番偉い大総統の就任記念日だって。帝国軍が独占管理しているというなら・・・。」

「大元を探るしかねぇな。」

タクマとイフルはニヤリと笑い、リーシャとアルセラは互いに顔を見合わせるのだった。


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