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『第240章 地底脱出』

機械のプレシオサウルスを倒し魔石も入手。

後は迷い込んだ甲冑男を見つけるだけだが・・・。

「滝の岩が今にも崩れそうだ。もう一刻の猶予もない。」

「ていうかそもそも出口なんてあるの?私達あの滝から落ちてきたんだけど。」

「俺が降りてきた洞窟がある。だが水位が上がって通れるかどうか正直分からない。」

「積みやん⁉」

「まだ可能性の話だ。急いでその甲冑の男を探すぞ。」

三人が行動を起こそうとしたその時、突如大きな魚の魔獣が現れたのだ。

「魚⁉デカ!キモッ、見た目!」

手ヒレを使って這いずってくる魚の魔獣。

するとそれに追われてる人物がいた。

「うおぉぉぉぉぉ!魚にも捕まってたまるかぁ!」

超いい姿勢で猛ダッシュする甲冑の男。

「「いたーっ⁉」」

二人が声を揃えて叫ぶと亡霊が発砲し魚の魔獣を撃退。

即座に弾を入れ替え二発目も発砲し魔力の縄が甲冑男を巻きつけ拘束したのだった。

「ぐえっ⁉」

「あっさり捕まえた⁉」

「私達の苦労何だったの・・・?」


 「くそ~!離せぇ!俺は絶対戻らないからなぁ!」

甲冑男は手足を拘束されても暴れている。

「ほう。コイツは珍しい。『鎧人(アーマノイド)』じゃないか。」

「アーマノイド?」

「余程大事に扱われた無機物に魂が宿る霊の一種。その一つが鎧人(アーマノイド)だ。」

亡霊は甲冑男の前にしゃがみこむ。

「お前は何故逃げていたんだ?何か理由があるのだろう?」

するとようやく落ち着いたのか、甲冑男はしばらく黙った後、質問に答え始めた。

「・・・持ち主が突然俺を手放すと言い出したんだ。しかも俺をバラバラに分解するとかも言い出して。それで怖くなって逃げ出したんだ。」

「そうだったの?」

「あの髭面の魔族のおっさんか。」

「・・・裏切られたと思った。長い間ずっと一緒に戦ってきたのに、兵士を引退した後も武具屋として二人で頑張ってきたのに、急に突然・・・。もう必要ないから分解するなんて、あんまりだ・・・!」

涙は流れないが涙目になる甲冑男。

すると亡霊が、

「お前の話は分かった。だがそれには必ず理由があるはずだ。ただ手放すためにお前を分解するなんてことはあり得ないと思うぞ。」

「アンタに何が分かるんだよ。俺の気持ちが・・・。」

「お前の気持ちは分からない。だが()()()の気持ちは少なくとも分かってるつもりだ。」

「え?アンタ、ご主人と知り合いなのか?」

「直接会ってみないと分からんがな。お前はどうする?このまま何もわからないまま逃げ続けるか、しっかり話を聞いて真実を知るか。お前自身が選べ。」

亡霊の言葉に甲冑男はしばらく黙り込み、結論を出す。

「・・・分かった。ご主人の下に戻る。そして話をしっかり聞くよ。」

「それでいい。」

説得も済ませてしまい二人は完全に蚊帳の外だった。

「全部解決してもうたで・・・。」

「これが大人、負けたわ・・・。」

さて、甲冑男も捕まえた今、後はこの地底湖の空洞から脱出しなくては。

「亡霊、貴方のやってきた洞窟に案内して。」

イビル達三人はウィンロスに乗り、亡霊の案内で泳いでいくのだった。


 壁際まで泳いでいくと青い鍾乳洞のようなトンネルを見つけた。

「ここかいな?」

「あぁ。だが足元が浸水してるな。俺が通った時はまだ道があった。」

「急ぐで。」

浸水してはいるが足は付いたため洞窟内を歩き進む。

道中イビルは青い鍾乳石を見上げる。

「凄く綺麗・・・。魔大陸にもこんな場所があったのね。」

「地底世界すらつい最近発見したばかりだからな。まだまだ未踏の地はたくさんあるだろう。」

「それこそ冒険者の本領発揮やな。まだ見ぬ謎を求めて突き進む。これに勝るワクワクはそうないやろ。」

「冒険に対するワクワク、か・・・。」

その時、甲冑男が何かに気付いた。

「なぁ、なんか揺れてないか?」

見上げると青い鍾乳石が震えており、次第に地響きが聞こえてくる。

「想定以上に早い・・・!走れウィンロス!」

亡霊の予感は的中。

せき止めてた岩が徐々にひび割れていき、とうとう崩壊。

一気に水が流れ出てきたのだ。

その影響で水位はぐんと上がり、あっという間に遺跡が沈んでしまった。

そして鍾乳洞にも洪水が襲い掛かる。

「ウィンロス!」

「振り落とされるんやないで!」

姿勢を低くし羽毛が逆立つ。

そして洪水に飲み込まれたと思った瞬間、一瞬の速度で波を突き破り雷刃竜と化したウィンロスが飛び出した。

自らの雷で脚のツボを刺激し雷速の速度で走り洪水から逃げる。

「追いつかれる⁉」

「くそ!鍾乳石が邪魔やし狭いから全力で走れへん!」

「私達が援護するわ!ウィンロスは全力で走る事だけを考えて!亡霊!」

「ふん・・・。」

イビルは吸血鬼モードに変身し背から魔鎖を突出。

亡霊も拳銃を手にし万全の構えとなる。

「必ず、皆で脱出しますわ!」

イビルの操る魔鎖、亡霊の発砲で進行方向を妨げる鍾乳石を打ち砕いていく。

そのおかげでウィンロスが全力を出せ迫る洪水から徐々に距離を離すことが出来た。

すると少し広けた空洞に出る。

「ラッキー!広いとこ出たで!」

だが広い分、大きな鍾乳石もあり行く手は阻まれる。

鍾乳石の上を伝っていくウィンロス。

しかし水は勢い劣らず迫ってくる。

「そこを右に曲がれ!」

「急には曲がりきれへん!」

「そのまま走ってウィン様!」

イビルが魔鎖を天井の鍾乳石に巻きつけそのまま勢いで方向転換し大ジャンプする。

即座に翼を広げて滑空し減速なく地上に降りることが出来た。

「この調子ならいけるんじゃないか⁉」

だが甲冑男が振り返ると水はすぐそこまで迫っていた。

「うわぁ⁉」

すると前方に日の差し込む天井の穴が見えてきた。

「あそこだ!俺が入ってきた大穴は!」

「飛んで!ウィン様!」

「うおぉぉぉぉぉ‼」

更に加速し翼を広げ力強く羽ばたく。

しかし翼はまだ完全には乾いておらず飛ぶことが出来なかった。

「とどけぇー‼」

あと一歩とどかずウィンロス達は落ちてしまう。

その時、イビルが魔鎖を伸ばし穴の縁を掴んだ。

そして宙刷り状態となり足元が洪水に飲まれたのだった。

「あ、あっぶね~!ナイスやイビル!」

イビルはグッと親指を立てたのだった。


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