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『第223章 ドラゴンの奇襲』

過激派の魔族がたむろう地底世界へ奇襲を仕掛けたタクマ達一同。

向こうもまさか奇襲されるとは思わず未だに陣形が取れずパニック状態だった。

「先陣は大成功やな!」

「あぁ。だがここからが気合の入れどころだ。」

根城の城壁からグリガロンが飛び降りてきた。

「少数でここに仕掛けてくるとはいい度胸じゃねぇか。陣形を立て直せ!我ら悪魔族の末裔の底力を見せやがれ!」

「「「うおぉぉぉぉ‼」」」

グリガロンの号令と共に過激派の指揮が上がる。

そして一斉に攻め込んできた。

「作戦通りに行くぞ!散れ!」

それぞれに散開し過激派の大群を薙ぎ払っていくドラゴン達。

タクマとアルセラは直進し襲い掛かる連中を倒しながらグリガロンの下へ走る。

「指揮官である俺を真っ先に狙いに来るか!上等!」

グリガロンが手斧を構えると彼の前にケルベルスが降り立ちブレスでタクマ達を攻撃した。

「おいオルト!邪魔すんじゃねぇ!」

そんなグリガロンを無視しオルトはタクマの前に飛び降りた。

「まだ王になってねぇがお前をぶちのめせるなら構わないぜ!」

「言ってろ!」

タクマとオルトの剣が激しくぶつかり合う中、アルセラはそのまま直進。

グリガロンが手斧を振り上げた瞬間、

「今だバハムート!」

アルセラの合図でバハムートが魔法陣を展開。

そして次の瞬間、アルセラが消えウィンロスが現れたのだ。

「っ⁉」

「おらぁ‼」

不意のウィンロスの攻撃が決まりグリガロンは城壁へ蹴り飛ばされた。

「不意打ち成功!ざまぁみぃや!」

「ウィンロスの奴、上空にいたな⁉」

ウィンロスのいた空中位置と入れ替わったことで落下するアルセラ。

髪飾りに付けていたフェニックスのアーティファクトをカリドゥーンにはめ込み、全身黒タイツに身を包み噴き出した炎から赤い鎧が現れ換装。

炎の翼で羽ばたく紅の騎士となった。

「っ!」

気付くと飛べる魔族たちに包囲されていた。

「こっちの相手は任せるって訳か。行くぞカリドゥーン!」

『おうさ!』

それぞれで戦闘が始まった様子をグレイス・ド・ラルに乗り上空から見下ろすリーシャとメルティナ。

「リーシャ・・・。」

「大丈夫ですよメルティナさん。私達が守りますから。」

「そうじゃなくて、何だか嫌な感じがするの。」

「嫌な感じ?どういうことですか?」

「地底世界に入った時から強い魔力を感じるようになったの。その魔力が、タクマから溢れている感じがする。」

メルティナの眼にはタクマから三色の異質な魔力が溢れているように見えていた。

すると今度は自身の違和感に気付く。

(何だろ?胸が少し熱いような・・・?)


 四方から襲い掛かる過激派を一頭で薙ぎ払うバハムート。

ブレスを放ちまるで爆弾でも落としたような大爆発が起こる。

そんな彼だが過激派を相手にしながら辺りをキョロキョロと見渡していた。

「何処だ、何処に居る・・・!ニーズヘッグゥゥゥ‼」

バハムートの咆哮に過激派の魔族たちは恐れ後ずさる。

そこへケルベロスが襲い掛かり前足で抑え込むように受け止める。

「貴様とこのような形で再び相まみえるとはな!」

ケルベロスはまるで自我を失ったかのように凶暴になっている。

「なるほど。あの愚かな主人に脳をいじられ理性を奪われたか。もはや貴様は従魔ではなくただの道具か。」

ケルベロスがブレスを放ちその衝撃で二頭が離れる。

「なら我がしてやれることは、ただ一つだ。」


 そしてタクマとオルトの戦闘。

驚くことにオルトの実力が以前よりも強くなっており、剣技に加え炎魔法も強力になっていた。

火球のホーミングに熱のレーザー。

殺意の籠った魔法をタクマも負けじと捌き切る。

ここまで互角の戦い。

周りの魔族たちを巻き込みながらも二人の戦いは激しさを増し、気付けば森の中まで移動していた。

「お前に敗れ国を追放されて以来、散々な目に遭ってきた。それもこれも全部タクマ、お前のせいでな!」

力強い剣撃を受け止め二人の距離が空く。

「相変わらず逆恨みだけはいっちょ前だな。全てお前がけしかけお前は負けた。自業自得だとまだ自覚しねぇか。」

「ハッ!そんなもん、お前を倒せば全てチャラだ!」

一瞬の速度で迫り鋭い突きを繰り出し、タクマは剣の面で受け止める。

「とことん話の通じねぇ奴だな。お前は!」

剣を弾きその流れで身体を捻り炎の一閃をお見舞いする。

しかしオルトはその一撃を受けても受け身をとって後方へ下がった。

「だが俺にも責任はある。お前を野放しにさせてこの国の人達に迷惑をかけた。お前の望み通り、相手してやるよ。オルト!」


 一方で、ウィンロスの不意打ちにより根城の室内まで蹴り飛ばされたグリガロンは瓦礫を押し退け起き上がる。

「っつ・・・。舐めた真似しやがって。」

「生憎オークを舐める趣味はあらへんで。気持ちわりぃ。」

空いた壁の穴からウィンロスがのっしり歩いてきた。

「一度逃げ切れたくせにまたのこのこやってくるとはな。」

「あん時はオレとタクマの二人だけやったからな。せやけど今回は全員参戦や。あん時とは訳がちゃうで!」

翼を羽ばたいて加速し蹴りを食らわせる。

グリガロンは手斧で直撃を防いで押し返し、手斧を投げ飛ばす。

かわすウィンロスだが手斧はブーメランのように戻り、接近に気付いたウィンロスは倒れ込むようになんとか避けた。

グリガロンは戻ってきた手斧を掴みその隙をついてウィンロスに振り下ろす。

だがウィンロス負けじと食らい付き手斧を咥えて止めた。

「止めるか。言っとくが俺の武器が一つだけだと思ったか?」

「っ⁉」

隠し持っていたもう一つの手斧を取り出しウィンロス目掛けて振り下ろした。

ウィンロスは咄嗟に尻尾を地面に叩きつけその反動で逆上がり。

「うおっ⁉」

手斧を咥えたままグリガロンごと飛び上がり手斧を一つ奪い取った。

「へっ!ドラゴンだって機敏に動けるんやで!」

「やるじゃねぇか。これは手を抜いてられねぇな。」

グリガロンがグイッと腕を引くと咥えてた手斧が突如引っ張られグリガロンの手に戻った。

「ん?」

眼を凝らすと薄っすらと透明な鎖が手斧についてた。

「魔力の鎖、ブタのくせに随分器用やな。」

「テメェこそ鳥のくせに賢いじゃねぇか。」

「誰が鳥や・・・?」

「誰がブタだ・・・?」

肉同士の煽りが炸裂しお互いにキレ、彼等の戦闘も激しさを増す。

ウィンロスの風と脚力。

グリガロンの図体に見合わない身のこなしと両手の手斧。

戦っている内に床が耐え切れず崩れ、二人は更に下の広いフロアへと落ちた。

それでも二人の戦いは止まらない。

「おらぁ!」

「うおっ!」

エックス字に放たれた打撃に直撃し石柱に叩きつけられる。

「この野郎!」

「まだ終わりじゃねぇぜ!」

再び手斧を投げ飛ばし天井を破壊する。

「うおあっ⁉」

ウィンロスは降り注ぐ瓦礫に巻き込まれてしまう。

「くそっ!足が挟まった!」

引き抜こうとするも倒れた石柱にも挟まれ抜けそうにない。

「上位種のドラゴンでも地べたに這いつくばったらただの飛べない鳥だな。安心しな。テメェの素材は余すことなく使ってやるからよ。」

トドメと言わんばかりに手斧を振り上げるグリガロン。

だが、ウィンロスは笑っていた。

「あ~やだやだ。慢心してる奴ほど一番愚かな生き物はいないわ~。お前は知っとるか?油断大敵って言葉。」

その時、ウィンロスの羽毛から()()()()()が飛び出しグリガロンに襲い掛かった。

「っ⁉」

襲い掛かる魔鎖の猛攻にグリガロンは後退。

その隙に鎖が瓦礫を退かしウィンロスを救出した。

「よっこらせっと!」

「テメェ、その鎖は・・・⁉」

ウィンロスがニヤリと笑うと羽毛の中から人影が飛び出す。

現れたのは、魔鎖を身体から突出させたイビルだった。

「不意打ち二段構えや!誰がテメェの素材になるかよバァ~カ!」

「コイツ・・・!きたねぇ真似しやがって!」

「きたない?過激派に言われたくないわね!これまでアンタ達が国の人達にしてきた事、許さないから!」

イビルも加わり形成は有利に傾き始めた。

しかし、グリガロンは不敵な笑みを浮かべていた。

「何や?随分余裕そうやな?」

「ここまで心が躍ったのは久しぶりだ。その礼に見せてやるよ。俺の奥の手をな!」

グリガロンが地面に這いつくばると突然苦しみだした。

そして次の瞬間、彼の背からドラゴンの翼と尻尾が生え、角も突起し牙も爪も鋭く変形。

「うおぉぉぉぉ‼」

まるでドラゴンを彷彿とさせる姿へと変貌したのだ。

「なんじゃありゃ⁉」

ウィンロスとイビルも驚きを隠せないでいた。

「ドラゴンの血を混合させたハイブリット、『オークドレイク」。これが俺の本気だ。さぁ、とことん殺り合おうぜ?」


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