表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
223/288

『第217章 情報の駆け引き』

「皆様、お待たせいたしました。」

リーシャとバハムートが合流したタイミングでリベルの呼びが掛かった。

「よろしく頼む。」

「はい。では皆様、私に付いてきてください。」

リベルを先頭にカジノ内を進み、裏のフロアへと通された。

そこで蜂会ったのは、

「っ⁉過激派の魔族⁉」

フロアの通りを過激派の装備を身に着けた魔族が横切ったのだ。

アルセラは咄嗟に戦闘態勢に入るがリベルになだめられる。

「ご安心ください。確かにここには過激派の魔族もいらっしゃいますが事を荒げるような事はありません。」

「どういう意味ですか?」

「我々デビルカジノは中立なのです。故にこの場での争いは全てゲームで行っていただくのです。もしそのルールを違反した者には・・・、お聞きしたいですか?」

「いえ、遠慮しときます・・・。」

そそくさとバハムートの陰に隠れるリーシャだった。

「なるほど、中立であることでより利益を得ようという寸法か。ズル賢い知恵で自然界を生きて進化してきたのがお主の種族ということか。」

「誉め言葉として受け取っておきましょう。」

しばらくフロアを進む道中、リーシャがふと気になった話題を話し出した。

「そう言えばお二人のカジノでの用事って何なんですか?」

「確かに、詳しくは聞いてなかったな。」

「我はちと会わねばならん人物が居るのだ。今後のために必要でな。」

「私はある情報をリベル達に探ってもらってるの。だから定期的にカジノに来て情報収集をしてるわ。私の用事はそんな感じ。」

イビルの用とは十中八九、母親の事だろう。

「皆様、着きましたよ。」

リベルに連れてこられたのは薄暗い空間に陥没した中央に丸いデスクが置かれた一風変わった賭博場であった。

「なんか、ちょっと重い雰囲気だな?」

「えぇ。ここはVIPのさらに上の、より大きなものを賭けとする特別なゲーム会場です。バハムート様のご用件はこの場で行います。」

「うむ。」

すると暗闇の奥からつかつかと足音が聞こえ現れたのは、

「っ⁉夜襲の亡霊⁉」

過激派のスケルトン、夜襲の亡霊と遭遇したのだ。

当然イビルは身体から魔鎖を出し警戒する。

「なんで貴方がここにいるの⁉」

「落ち着けイビル。我が用のある人物と言うのはあやつ、夜襲の亡霊だ。」

「え?どういうこと?」

「・・・少々大人の事情と言う奴だ。」

イビルを落ち着かせバハムートは一歩前に出る。

「待っていたぞ。竜王。」

「あやつから話は聞いた。いろいろと聞かせてもらおうか?」

「まぁ待て。理由はどうあれ俺は過激派の者だ。敵から何かを得ようとするには戦わなくてはならない。そしてここはカジノだ。勝負事には打って付けの場。俺からいろいろ聞きたいのなら俺に勝ってから言え。」

「確かにその通りだ。」

女性陣がよくわからないまま話が進んで行く。

「では皆様、ベットする物を提示してください。」

「ベット?コインを駆けるんじゃないんですか?」

リーシャの質問にリベルは、

「この会場でのゲームではコイン以外に様々な物が賭けに出されます。例えば、ご自身の命だったり・・・。」

リーシャはゾッと背筋を凍らせる。

「命は大きすぎましたね。要はなんでもよろしいのです。ですがその賭けに出す物については全て自己責任でお願いしますがね。」

「問題ない。我らが欲する物は、情報だ。」

「情報、ですか?」

「うむ。亡霊よ。我らが欲する情報は二つ。一つ、貴様らの目的だ。」

「え、バハムート、それは流石に・・・。」

「・・・いいだろう。」

「いいんかい⁉」

「二つ、イ()()()()()()()()()()()()()。」

「っ‼」

イビルは驚きバハムートに向いた。

「我らが欲する物はこの二つだ。」

「なら俺からも二つ要望を出そう。お前達二人だ。」

亡霊はバハムートとリーシャを指さした。

「え?」

「過激派に属する一人の人物がお前達二人を所望してきた。理由は知らんがな。」

「どうしてバハムートさんと私なんですか?」

「言っただろ。理由は知らんと。」

意図は不明だが過激派の誰かがバハムートとリーシャを欲していると言う。

「不穏な感じしかしないな。バハムートはともかく、リーシャまで・・・。」

「そんな要望受けられる訳ないでしょ!」

「ならこの話は無しだな。このまま帰ってもいいが?」

「・・・良かろう。貴様の条件を呑む。」

「バハムート⁉」

「要は勝てば良いのだ。そうだろう?」

「初めて気が合ったな。では、始めるとしよう。」

両者は向かい合うように円形のテーブルに座る。

バハムートサイドはリーシャ達がいるが、亡霊の陣営は本人ただ一人だった。

「ハンデをやる。俺一人でお前達全員を相手する。」

「随分余裕なんだな?」

「俺はこのゲームをやりこんでるからな。ほとんどの奴が俺のレベルについてこれない。だからお前たちのレベルに合わせてやる。」

「彼の話は事実です。これまで何人かが亡霊殿とこのゲームで勝負しましたが全て挑戦者の敗北、亡霊殿の圧勝なのです。」

カードを切るディーラーのリベルがそう言うのであれば事実なのだろう。

「ならその条件を有効に使わせてもらおう。こっちは仲間が賭かっておるからな。」

「ではルールを説明します。テーブルに散りばめられた一から二十までのカードを指定し私がめくります。そのカードに描かれたミニゲームをプレイしていただき見事クリアできたのみ、そのカードに描かれた星の数を獲得できます。」

見せられたカードにはミニゲームと星が掛かれている。

ミニゲームの難易度に応じて星の数も違うようだ。

「互いのターン三枚までカード指定を行えます。途中でパスをしてもらっても構いません。ですがパスは連続で二回まで。二回パスを行った時点でその方の敗北となりますのでご理解を。」

ミニゲームをクリアできなければアウトとなり、アウトポイントが三つになるとその時点で負けとなるらしい。

「ルール説明は以上となります。両者ご質問は?」

「ない。」

「始めろ。」

「かしこまりました。では、ゲームスタートです!」

リベルの合図とともに頭上のモニターがテーブルを写し出す。

「そっちが先行でいい。まずはゲームの本質を知れ。」

「・・・良かろう。」

バハムートは散りばめられたカードを睨む。

(真剣衰弱のようにカードをめくり、そのカードに描かれたミニゲームをクリアする。中には我らにクリアが難しいゲームもあるやもしれん。まずは把握といくか。)

「六番。」

リベルが六番のカードをめくると、纏当てのミニゲームが描かれていた。

「『的当てショット』。星一つのミニゲームです。プレイなさいますか?」

どんなミニゲームかを把握したうえでプレイの有無を提示できる。

当然、ここでパスをするとこも出来るがリスクがある。

「プレイだ。」

宣言と同時に会場に一つの的が現れる。

だが的は突然縦横無尽に飛び回ったのだ。

「何だあれ⁉的が動いてる⁉」

よく見るとそれは的のように見えた昆虫だったのだ。

「見たことない虫だな?」

「魔大陸は魔力が豊富な土地。その影響で他の土地ではありえない生物が生まれる事がある。魔大陸では常識よ。」

「なるほど・・・。」

しかしあんなに動き回っていては当てるのも一苦労だ。

「チャンスは三回です。当てられなかったらアウトとなりますのでご理解を。」

するとリーシャの髪からラルが出てきた。

「僕が行くよ。」

「ラル?」

「射撃ならこのメンバーの中で僕が適任だと思う。リーシャ、進化を。」

「っ!わかりました。」

リーシャが杖の先端の従魔結石を輝かせるとラルは光の球体に包まれる。

『覇王進化!ガンズ・ド・ラル!』

球体が弾け、両腕両肩に銃火器を装備したドラゴンが見参する。

ラルの進化を初めて見たイビルは驚きのあまり腰を抜かしていた。

(ほう。進化とは・・・。)

ただ一人、夜襲の亡霊だけは冷静だった。

ラルは銃口を飛び回る的昆虫に狙いを定め狙撃。

見事一発で命中させたのだった。

「やったぁ!」

ゲームクリアによりバハムート陣営は星を一つ獲得した。

「ゲームは大体こんな感じだ。」

「うむ。理解した。皆の者、任せるぞ。」

「はい!どんどん当ててください!」

指揮が上がるリーシャ達。

だがイビルは一人、夜襲の亡霊をジッと見続けていた。

(・・・亡霊、貴方は一体何を考えてるの?)

昔から彼を知っているイビルはその疑問が晴れることはなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ