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『幕間の外伝 新婦の悩み』

「え?料理を教えて欲しい?」

城の厨房で昼食を作っていたリーシャとアヤメ、リルアナの三人。

そこへスイレンが尋ねてきたのだ。

「どうして急に?」

「いや、伴侶としてせめて料理くらいは出来るようになりたいな、と・・・。」

「今まで料理してこなかったのじゃ?」

「恥ずかしい話、鍛錬ばかりだったためそう言うのは皆給仕にやらせていたんだ。」

「将軍という偉い立場でしたもんね。いいですよ。一緒に作りましょ。」

女子四人で料理を進める中、案の定スイレンがやらかしまくる。

「スイレン、卵は両手で割るの。殻入ってるわ。」

「こうか?」

そういい両手で一つずつ卵を握り潰した。

「馬鹿・・・。」

感情の薄いリルアナが呆れるほどだ。

今度は包丁を持ちだすスイレンだが、

「危ない危ない!何故構えるのじゃ⁉」

「え?食材を切るんだが?」

「相手を斬る構えじゃろ!刀の持ち方をするな!」

スイレンのあまりの料理下手にリーシャも頭を悩ませていた。

「これは、骨が折れそうです・・・。」


 しばらく手取り足取り教えていくうちに徐々にだが形になってきた。

「ところで、伴侶として料理が出来るようになりたいって、十中八九ラセンさんのためですよね?」

リーシャの不意の問いにびっくりするスイレン。

「な、何故分かった?」

「逆に分からないと思うたか?案外天然なんじゃな。」

「別にいいじゃない。好きな人に手料理を振舞いたいと思うのは当然だわ。」

そう言いながらリルアナは慣れた手つきでどんどん料理を作っていく。

「やはり上手いのリルアナ。普段から料理しているのが分かるぞ。」

「ネクトさん、料理だけは致命的にアウトでしたからね・・・。」

ネクトの料理下手を知っているリーシャは思い出したのか引き笑いしている。

「・・・・・。」

「どうしたのじゃ?スイレン。」

「いや、以前のままだったら考えられないなと思って。・・・私は今まで鬼族を憎み、何人も葬ってきた。そんな私が今では結婚し鬼族の夫に料理を振舞おうとしていることが何だか信じられなくて。」

「・・・。」

「あ!すまない・・・。アヤメの前で言う事じゃなかった。ごめんなさい・・・。」

「気にせんでいい。お母様の事は残念じゃったが、スイレンは変わってくれたのじゃろう?お父様も許された今わらわからは何も言わんよ。」

「アヤメ・・・。」

「それにあに様が結婚されスイレンが嫁となった今、其方はわらわの義姉じゃ。二人の幸せを願うのも妹の務め。恨むことなど微塵もありはせんよ。」

「妹・・・。」

スイレンには姉がいたが年下の兄弟はいなかった。

抱擁欲が湧くスイレンはそっと胸に手を当てる。

(レンゲも、こんな気持ちだったのかな・・・。)

すると何やら焦げ臭い匂いがしてきた。

「ん?わぁ~⁉スイレンさん!お肉焦げてます!」

「やばっ⁉」

慌ただしい厨房だが女子たちの楽しそうな笑い声がいつまでも聞こえてきたのだった。

昼食を待つ男性陣を除いて。

「腹減った・・・。」


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