『幕間の外伝 海の珍味』
タクマの剣が完成するまで和国で過ごすことになった一同。
各々は自由に和国を堪能する中、タクマとリーシャ、リヴ。
ネクトとリルアナ。
そしてラセン夫妻の七人は唯一和国に隣接する海辺へとやってきていた。
「海~‼」
水着姿ではしゃぐリーシャとリヴ。
「海水浴に来るのは割と初めてだな。」
「お前海来た事ねぇの?」
「俺の居た故郷は内陸だったし、来たとしても大体船での移動とかだったな。」
「勿体ない・・・。」
後ろから水着を着てダイナマイトボディが際立つリルアナが言う。
「皆さん水着姿が似合ってますね。」
タクマ達が着てる水着はリーシャチョイスだ。
故に転生前の日本、その現代風のデザインだった。
「だというのに、お二人とも!」
リーシャが振り向く先にはふんどし姿のラセンとスイレンが立っていた。
「なぜ海水浴にふんどしなんですか!水着は持ってないんですか⁉」
「そんなものねぇよ。生まれてこのかた海で泳ぐ機会なんてなかったわ。川遊びとかでもふんどし一丁だったし。」
「私もあまりこういう機会はなかったから水着という物も持っていない。」
「アンタ等今までどんだけ真面目に生きてきたの?」
溜まらずリヴがツッコみを入れた。
「せっかくの海なのに・・・、よし!ならば私がお二人の水着をチョイスします!」
(リーシャの奴、いつになくテンションバリ高いな・・・。)
リーシャは異空庫から男性用水着と女性用水着を取り出し片方をラセンに渡す。
「ラセンさんはそれを履いてください。勿論ふんどしを外してからです!」
「よくわからねぇけど分かった。」
「いやその場で履き替えるな。」
女子たちの悲鳴の後、スイレンは彼女らに連れられ岩陰へ。
しばらくすると可愛らしいフリルの水着を身に着けたスイレンがリヴに引っ張られながら出てきた。
心なしか本人は少し恥ずかしそうに俯いている。
「おいラセン。見惚れてないでなんか言ってやれ。」
ネクトに背を叩かれハッと正気に戻るラセン。
「えっと、似合ってるぜ・・・。」
少々照れながら褒めたためスイレンは顔を真っ赤にした。
「初々しいリアクションね。」
そう微笑むリルアナだった。
時間を忘れるほど海を堪能したリーシャ達は南国にあるような宿泊施設に一泊する。
夕食のため屋外テラスに集まる一同。
「いや~遊んだ遊んだ。」
ぐ~っと伸びをするタクマ。
「海水浴ってこんなに楽しいのね。」
「俺達結構損な生き方してたぜ。」
ラセンとスイレンもお気に召した様子。
「今度は子供も連れてきたらいいわ。」
ジュースを飲むリルアナの発言にビックリするラセンとスイレン。
「お前何言ってんの?」
ネクトも冷えたお茶を飲んでいると料理が運ばれてきた。
とても美味しそうな魚料理だが、
「言っては申し訳ないんですけど、お魚だけですか?」
「どういう意味?」
「いえ、私の知ってるこのようは場所ではもっと豊富な食事が出されるのですが。」
「リーシャ、それお前の前世の知識だろ?この世界で同じものを求めるな。」
「あ!そうでした!ごめんなさい・・・。」
しかし物足りないのは事実。
何か追加できないかとメニュー表を覗いていると、
「あ。そう言えば私先ほどこんな物を獲ってきました。」
異空庫から取り出したのは小さな粒が密集した緑色のブドウのような海藻だった。
「何それ⁉」
ギョッと驚くリヴ。
「私の前世でもあった海ぶどうという海藻です。」
更に異空庫から皿を取り出し、
「ここにこの国で手に入った大豆で作ったお醤油をかけて・・・、出来ました!」
「え、調味料かけただけ?」
「まぁまぁ。まずは食べてみてください。」
言われるまま一同は海ぶどうを食べてみる。
すると、
「うま!磯の香と天然の塩味が聞いてめちゃくちゃ美味い!」
「プチプチとした触感がクセになるな。」
「第一印象は成功のようですね。次はこれです!」
更に異空庫から取り出したのは作り溜めしておいた炊き立ての米。
「それ鬼の里で作ってた米か?」
「はい!かなり多く貰って炊いといたんです!異空庫の中は時間が止まってるので炊き立てですよ!」
「出たよご都合便利スキル。」
その炊き立てのご飯に海ぶどうを乗せ、醬油やタレをお好みでかけて食べてみる。
すると皆に衝撃が走った。
「やべぇ、美味すぎて止まらねぇぞ!」
勢いよく米をかきこむラセン。
「出された魚料理とも相性が良くていくらでも食べれそう!」
「リルアナ。これ作れるか?」
「後でリーシャに教えてもらうわ。」
ラセンやネクトたちには大好評だ。
「海に住んでいながら全然知らなかったわ!美味しい!」
「帰ったらバハムート達にも食わせてやりたいな。」
「ウィンロスさんが飛びつきそうですね。」
後に海ぶどうを使った料理は和国の名物の一つとなるのだった。




