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『第百七十六章 二刀雷炎』

「「グオオォォォ‼」」

ジャバルの手によって蘇った神龍の眷属、双頭竜。

二つの首で襲い掛かりなんとかかわすももう一つの頭に攻撃され苦戦を強いられるタクマ達。

「居合・鬼炎!」

炎の一閃で首を押し返すが大したダメージにはなっていた。

「高い耐久力に攻撃の手数、隙がねぇ!」

ラセンが叫ぶと彼の横を雷の竜化となっているタクマが雷の竜の脚で地面を蹴り雷鳴の速度で駆けぬける。

タクマの接近に気付いたのか片方の首がブレスで応戦する。

繰り出されるブレスをかわし続け双頭竜の懐に入るが寸前でもう一つの首に右腕に噛みつかれてしまった。

「ぐぉぉっ⁉」

「タクマ!」

噛みつかれたまま暴れまわる双頭竜。

タクマはなんとか逃れようと抗うが利き腕を噛まれてるため思うように動けない。

そうこうしている内にもう片方の頭もタクマに牙を向く。

腕を噛まれてる以上避けられない。

「させるかぁ‼」

アルセラが飛び出し炎を纏ったカリドゥーンで双頭竜に切り掛かった。

彼女に続くようにラセン達も走り出す。

「スイレン!あの竜とは一度戦ったことあるんだったな?」

「あまり思い出したくはないがな・・・!」

しかしこのままではタクマ達もかつての仲間たちのように二の舞になってしまうかもしれない。

そんな恐怖がスイレンにはあったのだ。

「とにかくタクマを助けるぞ!」

「あ、あぁ!」

双頭竜の前足に集中して攻撃を仕掛け体勢を崩させようと奮闘する。

すると双頭竜が何やら不穏な動きを見せる。

背びれがバチバチと帯電し始めたのだ。

「っ!まずい!皆逃げろ‼」

スイレンは慌てた様子で叫ぶが時すでに遅し。

背びれに噛みついた双頭竜から広範囲の放電が放たれ辺りを雷で飲み込む。

当然至近距離にいたタクマとアルセラはまともに食らってしまった。

「ぐあぁぁぁ⁉」

その衝撃で噛みつきから逃れられたものの相当なダメージを負ってしまった二人。

その姿を見たスイレンは奴に仲間を食い殺された時を思い出し、恐怖で青ざめ震えてしまう。

「グオオォォォ‼」

「素晴らしい‼眷属といえどこれ程強大な力を持っているとは!」

双頭竜の力にテンションが高いジャバルが拍手をする中、ダメージで床に伏せるタクマとアルセラを見て過呼吸になってるスイレン。

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・⁉」

「スイレン‼」

ラセンが半場無理やり正気に戻させた。

(かなり負の感情が溢れてますね。もったいないですから将軍様からも負の魔力を回収して神龍復活に利用しましょうか?)

そんな事を考えてると双頭竜の動きが少しおかしいことに気が付いた。

そして次の瞬間、苦しみだすように見境なしに放電し始めたのだ。

「うわっ!何だ⁉」

「・・・暴走。やはり死者蘇生は不完全な魔法ですか。長年の研究の内の課題ですがなかなかうまくいきませんね。正直やっと死者を蘇らせられるレベルですから。ですが貴方達にはこの程度で十分そうですがね。」

激しく暴れる双頭竜。

将軍の間の天井が今にも崩れてきそうだ。

「まずい!急いでタクマ達を!」

双頭竜の近くで身動きが取れないタクマとアルセラを抱えた瞬間、双頭竜の咆哮で床に大きなヒビが入る。

ラセンとスイレンは危険を察し二人をコヨウの下へ放り投げる。

しかし投げた瞬間に床が崩れ落ち、ラセンとスイレンの二人は双頭竜と共に暗闇へと落下してしまった。

「うわぁぁぁ⁉」

「また落ちるのかよぉ⁉」

「ラセン!スイレン!」

亀裂はそのままコヨウ達の元まで広がってくる。

「アカン!このままじゃウチらも!」

「くっ!」

アーティファクトの力で動けるまで回復したアルセラが二人を抱え炎の翼で飛翔。

なんとか部屋の端まで逃れることが出来た。

「危なかった・・・!もう少し回復が遅れてたら私達も落ちてたな・・・。」

「それよりラセンとスイレンが!」

「あの二人ならおそらく心配はない。この程度でくたばるような奴等じゃないからな・・・。」

大穴の空いた将軍の間を上から見下ろすジャバル。

「この城も大分穴だらけになってしまいましたね。下手に刺激したらいつ崩れてもおかしくありません。」

ゆっくり降りてくると部屋の隅で疲弊しきってるタクマ達三人を見つけた。

(どうする?タクマは武器も身体も既に限界だ。コヨウももう原始化出来るほど体力もない。唯一まともに戦えそうなのは私だけか・・・。)

フェニックスのアーティファクトで傷や体力は徐々に回復できるがそろそろタイムリミットも近いはず。長期戦はあまり出来ない。

対してジャバルはまだまだ余力を残している様子。

正直かなりキツイ状況だった。

(でも、やらなければ!奴を倒さない限り、この戦場から逃れられない!)

ふらつきながらもなんとか立ち上がりカリドゥーンを構える。

すると雷の竜化が解けたタクマに肩を掴まれた。

「タクマ?」

「ハァ、ハァ・・・。アルセラ、悪いがここは任せてくれるか?」

「な、何言ってるんだ!そんなボロボロな状態で!」

アルセラを後ろに引かせふらつきながらも前に出るタクマ。

「意識が飛んでた時、ふと思ったんだ。ヒビの入った剣でどう戦えるかを。」

そう言い鞘を手に取った。

「何をする気か分かりませんが、思い通りにはさせません。」

ジャバルは錫杖を持って迫ってくる。

するとその攻撃をタクマは剣ではなく鞘で受け止めた。

(鞘で?)

「簡単な事だった。ヒビの入った剣一つに絞らず、手数を増やせば良かったんだ。」

鞘からバチバチと雷が纏い、もう片方の剣には炎が纏う。

炎と雷の斬撃がジャバルを大きく弾き返した。

「これは!」

右に炎の剣、そして左に鞘を軸にした雷の剣。

「スイレンを思い出し閃いた。俺も、二刀流で戦う!うおぉぉ‼」

気合を入れるとタクマの背に炎の翼が燃え上がり、脚に雷鳴のかぎ爪が纏う。

そして髪は赤く赤髪し、前髪の一部が黄色く変色した。

「タクマ、その姿は・・・?」

タクマは炎と雷の二つの属性の融合、『雷炎竜』の竜化へと進化したのだった。

「二刀流に二つの属性の同時使用。とことん貴方は人間離れしてますね。ですがどのような小細工をしようとも神である私には通用しませんよ?」

「それはどうかな?」

タクマが駆けると雷鳴の速度で急接近し炎の爆発力で切り掛かりジャバルを吹っ飛ばした。

そして追うように二刀流で追撃していく。

(なんて威力だ。速度も上がったことで更に攻撃力も上がってる。二刀流になったことで手数も増え隙がない。)

「テメェ等神は人間を道具や素材、弱い存在だと思ってるかもしれねぇがな。人間には無限の可能性がある。故に、神をも超えるほど化けることもあるんだよ‼」

タクマの二刀流の刀身が勢いを増す。

「『居合・雷炎斬』‼」

X字の炎と雷の斬撃が繰り出されジャバルに直撃する。

斬撃は城の壁を貫通し夜の空へと消えた。

風穴の空いた将軍の間。

土煙が晴れると錫杖と黒翼で攻撃を受けきり上半身の服が弾けたジャバルが立っていた。

「・・・正直、貴方を侮っていたことを後悔してますよ。」

ようやく、ジャバルから余裕の雰囲気が消えたのだった。


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