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『第百四十章 創造神降臨』

エルエナが倒された事で街を覆っていた結界が消える。

「ん?」

気絶したリーシャを抱えるヘルズ・ラルマが結界の崩壊に気が付く。

「誰かが結界を張った奴を倒したのか?まぁ十中八九タクマだろうな。」

「・・・なぁ、いい加減尻尾離してくれへん?」

引きずられてたウィンロスが話した。

「なんだ。気が付いてたのか。」

「ちょっと前にな。そんでもって、お前誰やねん⁉」

立ち上がるや否やヘルズ・ラルマにビシッと翼を指す。

「そうか。初対面だったな。私はヘルズ・ラルマって言うんだ。まぁよろしくと言っとくぜ。」

「お前からメルティナの嬢ちゃんとチビの気配を感じるんやが?」

「その二人が融合したのが私だ。まぁ本質的には別人なんだがな。」

「まぁ後でリーシャの嬢ちゃんに詳しく聞くとして、あの変な結界が消えたという事は・・・。」

「アイツらが神の奴等をぶっ飛ばしたんだろう。本当だったら私が直接ぶちのめそうと思ってたんだけどな。」

ジトーッとした目でウィンロスを睨んだ。

「何やねん。ん?あそこにおるの、アルセラの嬢ちゃんとリヴちゃうか?」

瓦礫の陰で身体を休めてるアルセラとリヴの二人。

「大分動けるようになってきたわ。」

「そろそろタクマの元へ急ぐか。」

立ち上がると同時にウィンロス達が合流してきた。

「無事やったか。」

「ウィンロス。アンタ達も無事で・・・って、ヘルズ・ラルマ⁉」

ウィンロスの横に立つヘルズ・ラルマに驚き身構えるリヴ。

アルセラも初対面なため首を傾げていた。

「何や?コイツ知っとるんか?」

「コイツは凄く危険なのよ!初めてあった時なんか私やリーシャを殺しにかかってきたんだから!」

「アレはただの戯れのつもりだったんだがな。」

そう言いながらリーシャを頬り投げアルセラが受け止めた。

「リーシャ!」

「気絶してるだけだ。直に目を覚ますだろうよ。」

すると丁度リーシャの意識が戻り目を覚ました。

「言った側からか。」

「リーシャ!大丈夫?」

「リヴさん・・・。」

頭を押さえながら起き上がる。

「・・・そうだ!守護機神は⁉知神は⁉」

「機神は私がぶっ壊した。知神は無様に尻尾撒いて逃げていったぜ。」

ニヤニヤした顔でヘルズ・ラルマは言う。

「・・・助けてくれたんですね。ありがとう。」

「フン!白い奴の感情が強いせいだ。全く忌々しいぜ、この感覚。」

「それでも、ありがとね。」

「ケッ!」

ヘルズ・ラルマはそっぽを向いた。

ウィンロスがリヴに耳打ちをする。

「何や口悪すぎやないか?ホンマにメルティナの嬢ちゃんかいな?」

「メルティナの別人格と思ってればいいわよ。」

リヴはまだ少し警戒していた。


 見事エルエナを倒したタクマはその場に座り込んでいた。

「ハァ、ハァ、流石に酸欠だな。さっきの炎、いつもより熱かった。」

上空を見ると天界も不気味な紫色の空模様も徐々に消えていき、夜明けの近い夜の空になった。

「夜・・・、朝から戦ってたと思ってたが、こんなに時間が経っていたのか。」

ふうっと息をつくと突如目の前にヒルデが顔を出した。

「大分消耗してるね。」

「うおっ⁉びっくりした⁉ヒルデさん・・・。」

立ち上がろうとするとヒルデに止められた。

「君は中身がボロボロだね。これを飲みな。」

ヒルデはポーションを差し出した。

「いや、それはリーシャ達に渡してください。俺は大丈夫ですから。」

「いいから飲め馬鹿垂れ!」

「おぼっ⁉」

無理やりタクマの口に突っ込みポーションを飲ませ、盛大にむせた。

「あの子たちを心配する気持ちも分かるけど、第一に自分を心配しなさい!」

「ケホッ!すいません・・・。」

「分かればよろしい。アンタはまだ若いんだ。若者の未来を守るのがあたしたち老人の役目さね。」

「・・・はい。」

優しく微笑むヒルデにどこか心が安心したタクマ。

「いや~、なんとも美しい光景じゃないか。」

拍手と共に突如聞こえた声の方を振り向くと、八枚の翼を有し眼鏡をかけた白髪の男が立っていた。

男が笑みを浮かべた瞬間、タクマは母セナを無惨に殺した男の顔を思い出す。

それは正しく目の前にいる眼鏡の男だった。

「っ!!!」

怒りを露わにしたタクマは剣を持った瞬間男に攻め入った。

しかし寸前でヒルデに抱え止められた。

よく見るとタクマの眉間すれすれに透明な槍先が向けられていたのだ。

「へぇ、よく気付いたね。」

ヒルデは剣を抜き槍を弾き落とし、一瞬の速度で後方へ下がった。

「素晴らしい剣捌きだ。」

彼から溢れ出る気配、魔力共に桁外れな異常を感じていた。

(タクマ君たちから聞いた話からして、この男、神とみて間違いなさそうだね。しかし、この異常なまでにデタラメな魔力、そして存在感。初対面の私でも分かる。あの男は化け物だ。)

ふとタクマを見ると彼は今にも飛び掛かりそうな形相だ。

「随分感情的じゃないかタクマ君?君はあの男の事知ってるのかい?」

ヒルデに声をかけられ冷静になるタクマ。

「・・・あぁ、アイツはセナを、俺の母さんを殺した奴だ!」

眼鏡の男は拍手をする。

「いやはや、こうして会うのは十年ぶりくらいかな?セレンティアナの息子。」

我を擦れて再び飛び掛かろうとするタクマをヒルデが止める。

「アンタ、何者だい?さっき倒した天使にそこに倒れてる女神、彼女等よりも一際強大な存在感だ。さっさと名乗りな!」

「おっと。これは失礼。自己紹介がまだでしたね。私はこの世界を生み出した神『創造神ラウエル』と申します。以後、お見知りおきを。」

(創造神・・・‼)

これまでの出来事の元凶、創造神がとうとうタクマ達の前に姿を現した。

そして、母親の仇。

「ラウエル・・・、ようやく拝むことが出来たぜ。」

怒りを露わにするタクマだがなんとか冷静になっていた。

剣を持ってゆっくり立ち上がる。

「これまで出来事の元凶、全てがお前の企みだった訳だな?」

「全てではないがそうだね。大元を辿れば私に行き着くね。・・・くく、くふふふ!」

「何がおかしい?」

「いやなに。十年経った君は・・・、ちっとも変ってないなって。」

突然声をトーンを変えた瞬間、何かの衝撃波に当てられタクマは後方の瓦礫に思いっきり叩きつけられた。

「がはっ⁉」

「タクマ君⁉」

骨を何本か砕いてしまいその場に倒れ込む。

「な、何が、起こった?」

「なに、ただ吹き飛べと念じただけさ。」

魔法を発動させた気配はなかった。

ラウエルがどんな手を使ったのか全く理解できていない。

「そうそう、こんなことも出来るよ?」

魔法を使わず、今度は周りの瓦礫を浮かせタクマに放った。

骨を砕いたタクマは身動きが取れない。

瓦礫が命中する寸前、素早い剣筋が全ての瓦礫を切り裂いた。

「これ以上、孫の友人を傷つけさせる訳にはいかないね?」

剣を構えるヒルデが倒れるタクマの前に立ち塞がった。

(今の一瞬であの数を全部切ったのか?)

ヒルデのありえない剣術に驚くタクマ。

するとラウエルは顎に手を当て何かを考えていた。

「ふむ、人間にしては素晴らしい剣術だ。天騎士に匹敵する。」

「アンタ、この世界を創った神様なんだって?いくら偉くてもこれはちょっとやり過ぎだと、あたしは思うがね。」

睨むヒルデを傍にラウエルは側に倒れているエルエナに目を移す。

「エルエナとアムルは回収させてもらう。彼女たちは私の大事な部下だからね。」

指を鳴らすとエルエナ、別の場所に倒れるアムルも光出し天界へと転移させた。

「さて、部下の全員回収できたことだし。タクマ、私と遊ばないかい?」

「・・・は?」

「最初は厄介な存在だと決めつけて始末する機会を伺っていた。しかし、気が変わった。君はもっと強くなれる。その胸の内に秘める憎しみ、それが君の成長を促進させる。さぁ、その憎しみを開放させ私を楽しませてくれ!争いのないこの退屈な世界から私を解き放ってくれ!」

気分が高揚してテンションの高いラウエルにタクマは、

「つまりお前は、退屈しのぎにいろんな人を傷つけ苦しめてきたのか?アンクセラムも、フュリアも、エリエントも、全部・・・。」

「いや~、前任の作った薄汚い人間共の絶望は快感だったよ♪」

「ふ・ざ・け・る・な!!!!」

怒りが限界を超えたタクマの背に黒炎の翼が燃えだした。

それをタクマの体内から見ていた三頭の龍王が笑みを浮かべていた。

「いいぞ。闇が溢れ出ている!」

「この調子なら私達の目的が叶う時も時間の問題ね。」

「さぁ、もっと怒れ小僧!その怒りで闇を生み出し続けるのだ!」

その三頭の様子を後ろから見ていたシーナはぎゅっと拳を握る。

「思い通りにはさせない・・・!」

そしてタクマの方は黒炎の力で今にも暴走しそうな状況だ。

(やはりあの黒炎、間違いない。彼女の力か。)

「ラウエルーーーーー!!!!」

暴走寸前のタクマが飛び出そうとしたその時、

「ふんっ‼」

ヒルデがタクマの頭に思いっきりゲンコツを食らわし地面に叩き伏せた。

すると次第にタクマの黒炎が治まっていった。

「全く、挑発に乗るんじゃないよ。それじゃ相手の思うつぼだ。」

「ヒルデさん・・・。」

「骨も折ってんだ。アンタはジッとしてな。」

ヒルデは前に出て剣を構えた。

「ここはあたしに任せてもらおうか!」

勇ましく佇むヒルデにラウエルは頬を上げて笑う。

「ほう、そう来るか。」


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