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『第百三十七章 白少女の深淵再び』

「ヒャハハハハ‼ようやく出られたぜ!」

負の感情が高まったことでメルティナがラルと融合し、ヘルズ・ラルマへと変貌した。

守護機神の中から見ていた知神レストは言葉を失っている。

(この禍々しい魔力、そうか。奴が我が配下であるカシャを葬った正体か。)

ヘルズ・ラルマは倒れるリーシャとウィンロスを見る。

「状況はずっと見てたから分かっているが・・・。」

そして守護機神に乗るレストを見上げた。

「調子に乗った奴等を叩き潰すのは最っ高に気持ちよさそうだ。」

ニヤリと頬を上げたヘルズ・ラルマにジエトは背筋が凍るような感覚に見舞われる。

そして次の瞬間、ヘルズ・ラルマが守護機神の目の前に現れ手をかざされる。

「『ヘル・バルガ』!」

彼女の手から強烈な衝撃波が放たれ、巨体の守護機神があっけなく地面に倒されてしまった。

「ぐあっ⁉な、何だ今の威力は⁉一撃で守護機神が⁉」

「おいおい、あんだけ余裕ぶっこいてたクセに随分軽いじゃねぇか?」

上空で見下ろすヘルズ・ラルマに困惑を隠せないレスト。

「軽いだと?守護機神はアダマンタイト鉱石をふんだんに使用した超重量級機神だぞ?それをたった一撃の衝撃波で弾き飛ばすなど・・・、くっ!」

機神は起き上がり大剣を構える。

「やはり貴女は消しておかなければならない存在!今ここで消えてもらいます!」

レストが仕掛ける。

だが、振り下ろされた大剣を片手で受け止められてしまった。

「なっ!受け止めた⁉」

「さっきも言っただろ?随分軽いってな!」

巨大な大剣をへし折り、折った剣先を投げつけ機神の胴体に突き刺さる。

「くっ!」

ヘルズ・ラルマは距離を詰め右腕を槍の形状へ変化させ攻め入ってくる。

「『デッドエンドスピア』‼」

漆黒の槍を機神の胴体に突き刺すが、

「・・・チッ、核はここじゃなかったか。」

機神の外構から錬金術で槍に作り変え抵抗され、ヘルズ・ラルマは後ろへ引き下がる。

「メンドクセェが、あの鉄くずの鎧を引き剥がすか。」

槍を解き右手に青黒い炎を纏う。

「『デッドリーネビュラ』‼」

灼熱の黒炎が機神に降りかかる。

すると機神の鎧が徐々に解け始めたのだ。

「なんだと⁉アダマンタイトが溶かされてる⁉」

炎を振り払おうとするも放射は逆に勢いを増すばかり。

正面の外構が剥がれ落ちると機神の心臓部のような部位が姿を現した。

「『賢者の石』を動力源にしてるのか。錬金術師らしい応用だ。」

一瞬にして核の前に移動し腕の無数の帯を核に突き刺す。

「『ドレイン・ザ・ロスト』‼」

核から魔力を吸収し始め、同時に機神の機能も徐々に低下していった。

「核の魔力を吸収しているのか⁉くそっ!やめろ‼」

しかし動力源を吸われた機神はビクともせず、魔力を全て引き抜かれてしまった。

手元で光り輝く魔力の玉を持つヘルズ・ラルマ。

「なかなかの魔力量だ。どっかの雑魚天使とは比べ物にならない。」

完全に機能を停止した守護機神。

レストがどれだけ操縦しようと一切動かなかった。

(くっ!まさか核の魔力のみを抜き取るとは・・・。やはり、奴はあの御方!)

何かが確信に変わったレストは少し慌てた様子である装置に手をかける。

再びヘルズ・ラルマが猛スピードで迫ってきたがレストは持ち前の知識でこの状況を抜け出す手段を考え、実行する。

突然守護機神の各部位が起爆したのだ。

連鎖で爆発していきヘルズ・ラルマを引き下がらせる。

その隙に機神の背後から脱出し全速力で上空に広がる天界へ飛翔していった。

「おいおい、幹部が尻尾を巻いて逃げるのか?」

「今回の我らの目的はお膳立てだ。これ以上やり合うと無事じゃ済まないと判断したまで。」

去り際にレストはもう一言添える。

「いくら得体の知れない貴様でも、()()()()の敵ではない。」

そう言い残しレストは遥か上空へと消えていった。

「あの御方・・・。」

ヘルズ・ラルマはニヤリと頬を上げ、機神から奪った魔力の塊をかじった。

「面白いものが見れそうだ。」


 一方、教会前の広場でも激しい戦闘音が鳴り響いていた。

「うぉっ⁉」

攻撃を弾かれ大きく後方へ飛ばされるタクマ。

「フフフ、流石の貴方も神器を相手にするのは不慣れのようね。」

エルエナが持つのは美しい装飾がなされた弓矢だった。

「『神器シェキナール』。私の愛用なのよ。」

放たれた光の矢を避けるタクマは俊敏な動きでエルエナに攻め入る。

「居合・竜炎斬!」

炎の斬撃を繰り出すもエルエナは弓を半分に分離させ双剣となり攻撃を受け止めた。

「っ!」

「私はね、近接戦もいけるのよ?」

剣と双剣、二人の凄まじい剣劇が息をつかせない。

互いに距離を取りタクマは居合の構えを取る。

同時にエルエナも双剣を弓に戻し光の矢を構えた。

「居合・炎輪!」

「トライデント・スター!」

タクマの炎の車輪。

エルエナの三弾の矢がぶつかり合い大爆発を起こした。

爆風で二人の距離が更に広がる。

「・・・ウフフ。」

「?」

「アハハ!ただの人間がここまで神と渡り合えるなんて!流石レーネや双子神を倒しただけあるわ!」

気分が高揚したのか高らかに笑うエルエナ。

「あの三人の敵討ちが目的か?」

「ん~、そういう訳じゃないけど・・・。私達の目的は別にあるわ。」

(別の目的?一体何を企んでる?)

訝しんでいると不意をついてエルエナは瞬間移動の魔法でタクマの目の前に現れ顔を押さえる。

(しまっー⁉)

「『魅惑(みわく)天眼(てんがん)』‼」

彼女の眼から放たれるピンク色の光がタクマを包み込み、次第に意識が遠退いていく。

(うふふ、ついでだったけど可愛い奴隷ゲット♡)

・・・だが次の瞬間、タクマの中で何かが入れ替わる感覚がしたのだった。


「っ!」

街の外で眠った住民の避難をしていたバハムートが異変に気付いた。

「タクマの気配が消えた?あやつ、しくじっておらんだろうな?」

最後の住民の転移を終わらせ急いで街に戻ろうとすると、

「ぬっ⁉」

街の入口で結界に阻まれてしまった。

「これは、魔法壁か?しかもこれ程協力且つ街全体を包むほどの範囲、神の仕業か。しかし、我でも破壊出来ない結界か。」

バハムートは結界に触れる。

「・・・強大な力を有する竜王が聞いて呆れるな。・・・いや、今は結界内に入る方法を模索するか。タクマの気配が消えた事も気になる故急がねば!」


 エルエナの魔法に当たられたタクマはぼうっとその場に立ち尽くしていた。

「さてと、最強の奴隷も手に入ったし、まずは・・・。」

エルエナは興奮した表情で舌なめずりをする。

「貴方の連れの女の子たち、全員犯してくれないかしら?あんな可愛い子たちの快感に飲まれる表情、あぁ♡想像しただけでぞくぞくするわぁ♡」

息を荒くしくねくねと身体を揺らすエルエナ。

傍から見るとかなり気持ち悪い。

しかし、命令を聞いたタクマは微動だにしなかった。

「あら?どうしたの?あの子たちを犯してきなさいって言ってるんだけど?」

それでもタクマは動かなかった。

(『魅惑の天眼』が効いてない?いやそんなはずないわ。魅了に掛かったことはこの目で確認したし、目の色だって・・・。)

顔を覗き込んだ瞬間、鋭い剣筋が繰り出されエルエナは寸前で避けることが出来た。

「な、何で⁉何で勝手に動けるの⁉」

距離を取るエルエナに、彼は答えた。

「簡単な事さ。彼の意識が完全に魅了される前に、()()()()()()()()()のだから。」

女性の声で答えたタクマの眼は金色に輝いていた。

「・・・アンタ、さっきの子じゃないわね。何者?」

「名乗るほどでもないが、あえて答えるなら、世界初のドラゴンテイマーとでも覚えてもらおうか?」


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