表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/284

『第百八章 決勝バトルロイヤル』

決勝当日。

この戦いに勝てばカリドゥーンのアーティファクトを手に入れられるが。

「結局いつも通りに戦うってことで終わりましたね。」

「あぁ、下手に戦法を変えるよりも俺達は俺達の戦い方で行く方がずっと良い。二人も気合入れろよ?」

「勿論だ!」

「任せて!」

そしてタクマ達四人は闘技場に集まる。

そしてほぼ同時に勇者パーティの四人も闘技場に現れた。

「あら、逃げなかった事は誉めて差し上げますわよ?冒険者さん。」

出会い頭にデカい態度で煽ってくるミレーユ。

そして後ろのジークにゲンコツを貰って何やらわめいていた。

魔術師の青年がタクマに近づき頭を下げた。

「すみません。うちのメンバーが・・・。」

「別にいい。えっと・・・。」

「あ、申し遅れました。僕は補助魔術師のミルガと申します。」

丁寧な挨拶にタクマも礼儀を返す。

「タクマだ。アンタ達もいろいろ苦労してるみたいだな。」

チラッとジークにギャーギャーわめくミレーユに視線を移す。

すると視線に気づいたのかぐるっと鋭い目つきでタクマを睨み返した。

本当に感覚が鋭い・・・。

「アハハ・・・、でも試合はこれからです。全力で勝たせていただきます!」

「その言葉、そっくり返してやるよ。」

そしていよいよ決勝の詳細が発表される。

決勝戦はトーナメント形式ではなく一度に複数人で戦うバトルロイヤルだった。

「バトルロイヤル!主様!」

「あぁ、乱戦は俺達の分野だ。」

アルセラ以外の三人の表情が恐ろしく笑っていた。

一方、勇者パーティの方は自身に満ちた表情をしている。

「ロイヤル・・・。私の足を引っ張らないようお願いしますわよ?」

「お前こそな。」

「全く・・・。」

ミルガが呆れてため息をつく中、勇者のヒイラギだけはじっと無表情のままタクマ達の方を見ていた。

(あの中に、私の探し人はいるのかな?)


 そして両者は闘技場に並び立つ。

「それでは、開始‼」

審判の合図と同時に飛び出したのはタクマとヒイラギだった。

二人は互いの剣でぶつかり凄まじい衝撃波が会場を覆った。

彼らに続くようにアルセラとミレーユ、ジークとリヴが衝突する。

リーシャとミルガは後方でサポートに回る。

「お嬢ちゃん拳で俺の大剣を受け止めるか。これは面白い戦いになりそうだ!」

「アンタこそね!」

ジークは大剣を凄まじい速度で振り回し、それをリヴは連撃で相殺する。

「オラオラオラァ‼」

「ハァァァァ‼」

鋭い一撃が二人の距離を開ける。

「フンッ!」

地面を蹴り一瞬でリヴの間合いを取る。

大剣を振るうがリヴも跳躍でかわしジークの頭上から拳を突き下ろす。

ジークは大剣でその一撃も受け止めた。

そして二人の表情は楽し気に笑う。

一方でアルセラとミレーユの騎士同士の戦い。

どちらも互いに譲らぬ攻防が繰り広げられている。

「なかなかやりますわね!」

「貴女こそ!」

高貴に満ちた剣技で美しく戦うアルセラとミレーユ。

そして先に仕掛けたのはアルセラだった。

「カリドゥーン!」

『おうさ‼』

カリドゥーンに魔力が凝縮される。

「騎士の太刀・破極牙線(はきょくがせん)‼」

強烈な一撃が振り下ろされ地面がひび割れる。

「騎士の太刀⁉貴女もその技を使えるんですの⁉」

「私は元騎士団団長だ!これくらい訳ない!」

先ほどの一撃で体勢がやや崩れるミレーユに攻め入る。

だが、

「甘いですわ!『騎士の太刀・固高鉄(ここうてつ)』!」

アルセラの一閃が決まるもミレーユの鎧には傷一つ付いていなかった。

『ほう、魔力で鎧の強度を底上げしたのか。なかなかやりおる。』

アルセラに隙が生まれ、ミレーユはそこを突く。

「貰いましたわ!」

アルセラの空いた腹部に思いっきり剣を付けつけ、鈍い金属音が鳴り響く。

しかし、

「何ッ⁉」

ありえない形で曲がった黒剣がミレーユの剣を受け止めていたのだ。

「カリドゥーン⁉」

『儂もいることを忘れるでないぞ小娘!』

カリドゥーンは自身の身体をくねらせミレーユの剣を弾いた。

「な、何ですのその剣は⁉今ありえない形にならなかった⁉」

驚くのも無理はない。

カリドゥーンの声はアルセラやタクマ達にしか聞こえないため意志を持った剣とは知られていない。

『小娘、貴様が思えばどんな形にもなれる。儂をうまく使えよ?』

「あぁ、頼むぞカリドゥーン!」


 そしてタクマと勇者ヒイラギの対戦。

二人ともとてつもない実力者なためその戦いは異次元だった。

互いに剣に炎を纏い激しくぶつかり合う。

リーシャとミルガはそれぞれの仲間に援護や補助をかけるもタクマとヒイラギの戦いは次元を超えていた。

そこにヒイラギの一撃を諸に受けてしまうタクマ。

「タクマさん!」

「大丈夫だ!」

即座に立て直し居合の構えを取る。

「居合・風裂傷!」

無数の風の斬撃を繰り出すもミルガの魔法壁に阻まれてしまう。

「行ってください!ヒイラギ!」

ミルガの叫びと同時にヒイラギがタクマと距離を詰め剣を構える。

「バーストフレイム‼」

獄炎を纏った剣が振り上げられタクマが宙へと撃ち飛ばされる。

「タクマさん!」

思いのほか鋭い一撃を食らい一瞬ひるんでしまう。

ヒイラギはその隙を逃さず跳躍し更に畳みかける。

「ラインアサルト‼」

輝かしい光を纏いタクマに突進。大爆発を起こす。

「一人脱落か。」

地上から見ていたジークがつぶやくと、

「・・・アンタの目は節穴?」

「何?」

爆煙が晴れるとそこには、空中でヒイラギの光の剣を受け止める炎の竜化となったタクマがいた。

「な、ヒイラギの『ラインアサルト』を受け止めた⁉」

「嘘でしょ⁉あの技を食らった相手は必ず戦闘不能になるのに⁉」

これまで破られた事のない技が初めて破られたことに驚愕する勇者パーティの三人。

終始無表情だったヒイラギも驚きの表情をしていた。

「嘘・・・!」

「なかなかの一撃だ。伊達に勇者は名乗ってないってことか。」

ヒイラギを弾きタクマもお返しの一撃をお見舞いする。

「居合・竜炎斬‼」

反撃の一撃を繰り出しヒイラギを地面に叩きつけた。

「ヒイラギ!」

直ぐにミルガが回復をかける。

だが、

「ふん!」

リーシャが杖を投げつけミルガをヒイラギから離す。

「な⁉」

魔術で杖を手元に戻しそのままミルガに槍術でガンガン攻めた。

「き、君は魔術師だろ⁉なぜこんなに血気盛んなんですか⁉」

「いつ私が補助魔術師と言ったんですか?」

「え!違うの⁉」

「私はアタッカーの魔術師兼、テイマーです!」

「クアァァ‼」

リーシャの髪からラルが飛び出しミルガの顔面に覆い被さる。

「ぶわっぷ!ドラゴン⁉」

「ただのドラゴンじゃありません。ラル!」

杖の先端にある従魔結石が輝き出し、ミルガの目の前で進化した。

『覇王進化!ガンズ・ド・ラル‼』

突然現れたドラゴンに会場の人達は驚く。

「ドラゴン⁉」

「あの子テイマーだったのか⁉」

観客が驚く中、人一倍驚いていたのは勇者パーティの三人だった。

「ドラゴンだと⁉そんな隠し玉を持ってたのか⁉」

「あら?隠し玉ならまだ目の前にもいるわよ?」

そう言いリヴも自身のスキルを解除し、海竜・リヴァイアサンへと姿を晒した。

ジークも驚きのあまり開いた口が塞がらない。

観客も更に驚愕の表情をしていた。

「ちなみに私の正体は大会関係者の人間に伝えてあるから問題なしよ。」

(登録した時、受付の人も最初は冗談だと思ってたからな。後で証拠見せたら腰を抜かしてたが・・・。)

そう思うアルセラだった。

「ちょっと!何なのよアレは⁉ドラゴンを二頭も連れてるなんて聞いてないわよ!」

子供のようにぐちぐち言ってくるミレーユだがアルセラは表情を変えずカリドゥーンを構える。

「向こうは関係ない。今は私達と貴女の一騎打ち。騎士であるなら目の前の相手に集中しろ!」

ミレーユはアルセラの言葉に聞き覚えがあった。

それは彼女の剣の師匠が言っていた言葉だ。

ミレーユは深呼吸し剣を構える。

「それもそうだ。騎士である以上、対戦相手には全力で掛からねば失礼ですわね!」

気を取り直し二人は再びぶつかり合った。


 「さてと。」

地上に降り立つタクマ。

そして地面からゆっくり起き上がるヒイラギ。

「最初は不愛想な奴だと思ってたけど・・・、そんな顔も出来たんだな。」

無表情だったヒイラギの顔は楽し気に頬を上げていたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ