星の子カンパネッラの友達
“「すべての恒星はいつか死ぬ。そしてその多くが、惑星を系外にはじき出せるほどの大きな質量を持っている。したがって、銀河系では恒星の死が浮遊惑星を増やす原因になる可能性は十分にある」と、今回の研究を指揮した英ケンブリッジ大学の天文学者ディミトリ・ベラス(Dimitri Veras)氏は話す。
「この種の惑星がどれほど存在するのかはまだ不明だが、観測が示す証拠は、恒星を周回している惑星よりも、恒星の間を漂っている惑星のほうが多い可能性を示唆している」。”
──ナショナル・ジオグラフィック(2011.08.08)
「超新星爆発の生き残りが浮遊惑星に?」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/4696/?ST=m_news (2021.12.20閲覧)より引用
どこまでも深い色をした、静かな宇宙の片隅。
かなたに横たわる銀河を見上げながら、身を寄せ合って暮らすお星さまの家族がありました。
お母さん星が一人、まわりを回る子どもの星が七人。お母さんは決して大きな星ではありませんが、いつもきらきら金色に燃えて、七人の子どもたちの顔を照らしてくれました。灯りのない宇宙の底でもみんなは怖くありません。だって、顔を上げれば、そこに家族の姿が見えるのですから。
「お母さん、今日もあったかぁい」
お母さん星のいちばん近くを回っているのは末っ子です。ちっちゃな身体をお母さん星のぬくもりに包まれて、今日もとびきり幸せそうに笑います。「ずるい」と他の子たちが言いました。
「たまには交代してくれよな」
「やだよ。この場所はわたしのものだもん」
「ぼく、代わってあげるよ。兄ちゃんに寒い思いをしてほしくない」
「こらこら。ぶつからないようにね」
さっそく交代に励んでいる真ん中のお兄ちゃんと弟を、お母さん星が優しく諭します。お母さんは子どもたちのあれこれには口を出しません。穏やかな顔で見守るばかりです。もう何万年も、何億年もこうして何気なく暮らしてきたのですから、気にかけるようなことなんてひとつもないのでした。
そんな幼いきょうだいたちのけなげなやり取りを、複雑な顔で眺めている星の子がいました。
「……いいなぁ」
目を細めて、つぶやきます。もちろん誰も聞いていません。しんと沈黙が染みて、彼女は小さく身体を震わせました。
彼女は、子どもたちの中でいちばん年長のお姉ちゃん。名前はカンパネッラといいました。いちばん最初に生まれたので、身体だっていちばん大きくて立派だし、回っているのもいちばん外側です。
カンパネッラの回る場所は遠くて、お母さん星の熱も十分に届きません。広い宇宙の寒さが身に染みて、ぶるる、とカンパネッラはふたたび震えました。お母さん星は幼い兄弟に付きっきりで、凍えるカンパネッラのことなど見つけてくれません。たまに目を留めても、すぐに他の子へ意識を移してしまいます。お姉ちゃんなんだから大丈夫でしょう? といわんばかりに。
あたしだってずるいって叫びたい。
あたしだって末っ子みたいにお母さんのふところへもぐり込みたい。
だけど、言えない。だって年上だから。小さくて身軽なみんなのように、お母さんのもとへ近づくこともできないから。
「あたし、また置いてけぼりだ」
こぼれかける涙をこらえて、カンパネッラは夜空をあおぎました。数え切れないほどたくさんの星が、見渡す限りの宇宙を埋め尽くしています。あの光の数だけ、広い宇宙のそこかしこにお母さん星やお父さん星がいて、かれらの守る家族があって、守られながら暮らす星の子たちがいるのです。けれどもいまのカンパネッラには、そうして暮らす星の子たちの誰よりも、自分がさびしく痛ましい身の上に思われて仕方ないのでした。
★
カンパネッラたちの家族は、もう何十億年も姿を変えていません。けれども広大な宇宙のあちこちでは、今も新たな家族が生まれたり、別れたりを無数にくり返しています。もちろんカンパネッラが直接それらを目の当たりにすることはありません。夜空の星明かりの変化を見つけて、何かが起こったのだと不器用に察するばかりです。
「かわいそうに。だれかが亡くなったのね」
あるとき、お母さん星がいいました。
カンパネッラのはるか頭上で、あざやかな光を発しながら散ってゆく星がありました。大きくて立派な星が寿命を迎えるとき、最期にきれいな光を放ちながら弾けるのだと、以前、お母さん星に聞いたことがあります。あれがそうなのだとカンパネッラは息を飲みました。
あたしも死んだら、あんな風に光れたらいいのに。
そしたら一度くらい、お母さんも泣いてくれる?
いつものようにみじめな気持ちがゆれて、燃え尽きてゆく星をカンパネッラはぼんやり見つめていました。あんまり切なくなるほど美しかったものだから、なんだか夢見心地で、小さな声で「ねぇ」と呼ばれたことにもすぐには気づきませんでした。
「どうしてそんなに悲しい顔をしているの?」
カンパネッラはびっくりしました。目立たない端っこを回るカンパネッラに、誰かが声をかけてくるなんて本当に珍しいことでした。見ると、すぐそばを通りかかった小さな星の子が、沈んだ顔のカンパネッラを熱心に見上げています。カンパネッラの一番下の妹と同じくらいの大きさの、ほんのちっぽけな黒い星でした。
「なんでもないよ」
カンパネッラは首を振りました。
話したところで、理解してもらえるとは思いませんでした。
小さな星は「そっか」とさびしげに答えました。
「ねぇ。名前はなんていうの」
「カンパネッラだけど……」
「あなたのまわりにいてもいい?」
「いいけど、どうして?」
ちょっぴりどぎまぎしながらカンパネッラは問い返しました。惑星や衛星を持つなんて、それこそお母さん星のように、大きくて立派な大人の星だけの特権です。
「カンパネッラはあったかそうだから」
小さな星は弱々しく笑いました。
よく見ると、その肌は傷だらけ。黒っぽい見た目をしているのも、どうやら焼けこげたあとのようです。
なんてひどい。
誰かに痛い目にあわされたのかな。
ちっぽけな彼女があわれに思われて、カンパネッラは彼女をかくまってやることにしました。カンパネッラの大きな身体にかくれて、小さな星は「えへへ」とこそばゆそうに身をよじりました。
「優しいんだね、カンパネッラは」
「そんなことないよ」
カンパネッラはつっけんどんに返しました。
決して意地悪な気持ちで答えたのじゃありません。本当の本当に、カンパネッラは自分を優しい子などと思わなかったのでした。
★
カンパネッラのまわりを小さな星が回り始めたことに、家族のみんなはちっとも気づきません。それほどまでに小さな星は小さかったのです。まるでカンパネッラと小さな星だけが別の家族になったみたいで、なんだかちょっぴり奇妙な心持ちがしました。
まだ物心がついたばかりの頃、お母さん星はカンパネッラを見て「お母さんにそっくり」といいました。
「あなたはいつか立派な星になるよ。誰かを守り愛することのできる、あったかな星になる」
カンパネッラにはお母さん星の説諭の意味がよく分かりませんでした。分からなかったからとりあえず、いつかお母さん星のように光り輝く母親になれるのだと思うことにしました。ところが、そんな日はいつまで経っても訪れません。ぽかぽかあたたかくもならないし、とりたてて目立つこともありません。そればかりか弟や妹ばかりがいたずらに増えて、カンパネッラは居場所を失い、ますます日陰に追いやられるばかり。
あたしは宇宙一の不幸な星の子だ。
お母さんにそっくりだなんて絶対に嘘だ。
しくしく痛む胸をいたわっているうちに、カンパネッラはすっかりいじけてしまったのでした。
「ねぇ」
そばを回る小さな星が、カンパネッラを見上げて尋ねました。
「カンパネッラはなんだかいつも嬉しくなさそうだね」
「そんなことないよ」
「わたし、やっぱり迷惑なのかな」
「それも違うよ」
あわててカンパネッラは首を振りました。本当は、積もり積もった劣等感のせいで、小さな星のこともうらやましく思っていたので、迷惑というのもあながち嘘ではありませんでした。
「よかったぁ」
小さな星は顔をほころばせました。
「わたし、帰る場所がなくなっちゃったの。家族がみんな離ればなれになったから」
「何があったの?」
「お父さんが死んじゃった。ものすごい光を発して、兄弟もみんな巻き込まれて。わたしは運よく外へはじき出されて助かったけど、きっとみんな、お父さんと一緒に死んじゃったと思うの。生きていたとしても、二度と会えないよ」
カンパネッラは息を飲みました。しばらく前に星の死ぬ光を見届けたことを、そのときになって思い出しました。小さな星は孤児だったのです。
「でもわたし、幸せだよ。そのおかげでカンパネッラに出会えたんだもん」
小さな星はカンパネッラにすり寄りました。ほてった身体は前より少し、輝いて見えました。居心地が悪くなって、カンパネッラはうつむきました。
「あたしに何かを期待されたって困るよ。あたし、あんたのお父さんみたいにあったかくないし、暗くて顔も照らせないし……」
「ううん」
小さな星は急に顔色をくもらせました。
「お父さんはあったかくなかったの。いつも怒ってて、わたしのこともじりじりいじめて、色んなものもぶつけてきて……」
「え」
「わたし、だまってたえることしかできなかった。そのうちお父さんもみんなも死んじゃって、気づいたら真っ暗な空を泳いでた。わたしもこのまま死んじゃうのかなって思ってたら、行く手にカンパネッラを見つけたの」
カンパネッラは声をつまらせました。大変な思い違いをしていたことに気づいて、恥ずかしさと後悔でいっぱいになりました。
ぎゅうとカンパネッラに寄り添った小さな星が、苦しげに目を閉じます。彼女の傷だらけの肌や、焼けこげたような色の意味を、ようやくカンパネッラは悟りました。
あたしよりも不幸な目に遭ってきた子が、ここにいる。
いじらしくたたずむ小さな星の姿が涙でぼやけました。
「ずっと、ひとりで苦しんできたの」
たずねると、小さな星はへにゃりと笑いました。
「うん。だけど、もうひとりぼっちじゃないよ。カンパネッラがいるから」
★
月日が流れてゆきました。
小さな星を抱きしめたまま、カンパネッラはお母さん星のまわりを回りました。
どんなときも小さな星と一緒でした。
夜空を横切る彗星の軌跡を目で追っては、美しい光のしっぽにふたりで目を細めました。
おだやかにただよう星雲を見比べて、あれに似てるね、これに似てるねと語り合いました。
すっかりカンパネッラのふところを気に入った小さな星は、どんなにうながしても出てこようとしません。あんまり嬉しそうに、幸せそうに笑っているものだから、カンパネッラもくすぐったいのを懸命に我慢して小さな星に付き合いました。
カンパネッラも少しずつ身の上を話しました。
家族に見放された気がして、ひとりさびしく過ごしてきた日々のことを、言葉をつまらせながら明かしました。
小さな星は嫌な顔ひとつしないで、泣き出しそうなカンパネッラに「へへ」と笑いかけました。
「じゃあ、わたしがいればカンパネッラもさびしくないね」
「うん。ちっともさびしくない」
「わたしたち、ずっと一緒にいようね」
小さな星は言いました。祈るような静かな声はカンパネッラの胸に深々と染みました。うん、とカンパネッラは涙をぬぐって、ほほえみました。
ずっと一緒だなんて、本当は叶いっこありません。どんなに大きな星もいつかは寿命を迎えて、小さな星のお父さんのように死んでゆくのですから。でも、小さな星の言うことだから信じられる気がしたのです。信じたいと思ったのです。こんな気持ちをいだいたのは、カンパネッラには初めての経験でした。
約束だよ。
ずっとあたしの隣にいてよ。
さびしいあたしの一番の友達でいてよ。
そう叫ぶ代わりに、カンパネッラは小さな星をまた少し、強く抱きしめたのでした。
時が経ちました。
小さな星はだんだん熱くなり始めました。
気のせいか、表面の黒色もしだいに濃くなってきたように見えます。
干上がった肌に痛ましい傷が浮かび上がります。生々しい痕跡にカンパネッラは息をつまらせました。幼いころ、お父さんにつけられたものなのでしょうか。
小さな星の様子のおかしいことにカンパネッラが気づいたとき、彼女はほとんどカンパネッラにしがみつかんばかりでした。いつもの満面の笑みにも元気がありません、不安にかられたカンパネッラが「どうしたの?」とたずねると、小さな星は小さな声で「大丈夫」と首を振りました。
「わたし、ちょっと近づきすぎちゃったみたい」
小さな星の身体は、カンパネッラのまとう金色のオーラの中へ踏み入れようとしています。カンパネッラは青ざめました。同時に、何が起きているのかをさとりました。小さな星はカンパネッラの大気に片足を突っ込み、激しい摩擦で燃え始めているのです。
「いけない!」
必死にカンパネッラは叫びました。
「お願い。あたしから離れてよ。このままじゃ燃え尽きて死んじゃう。あたしのせいで生きられなくなっちゃう!」
「無理だよ。ずっと一緒にいるって決めたんだもん」
小さな星は今度も首を振りました。
「でも……!」
カンパネッラも必死です。このままでは遠くない未来に、カンパネッラの大気に燃やされ尽くした小さな星は蒸発してしまいます。この大きな図体が、たったひとりの友達を跡形もなく飲み込んでしまうのです。
いやだ。
いやだ。
せっかく友達になったのに。
けれども小さな星は聞く耳を持ちません。「あなたから離れない」といって、ますますカンパネッラにしがみつきます。いっぱいいっぱいの胸で浅い息をくり返す小さな星を、カンパネッラは以前のように抱きしめられませんでした。抱き締めたら最後、小さな星の寿命をよけいに縮めてしまうと分かっていたから。
ぼうと身体が光り始めました。
小さな星は、カンパネッラの大気の中で金色の炎の玉になりました。
「流れ星だ……」
思わずカンパネッラはつぶやきました。
カンパネッラのようにみずから燃えて輝くことのできない星の子が、たったひとつ光を放つことができる方法があるとすれば、それはこうして流れ星になることだけです。けれども流れ星になることは、誰かの胸の中で燃え尽きることと同じ。いま、小さな星はカンパネッラの胸の中で、最期の輝きをきらきらと放っているのです。
「ねぇ」
小さな星は息もたえだえにほほえみました。
「わたし、すっごくきれい?」
「うん。きれいだよ。世界でいちばん……」
カンパネッラは涙をこらえるのもやっとでした。ああ、あの傷だらけで真っ黒だった小さな星が、大人の星たちと同じように美しく輝いています。もはや痛ましい傷跡もまばゆい光に包まれて見えません。
えへへ、と小さな星は照れました。
「わたしね。ずっと、カンパネッラにわたしのいちばんきれいな姿を見てほしかったの。これでカンパネッラもわたしのこと、これからも忘れずに生きてゆけるね」
「そんな……。いやだ。いやだよ。ずっと一緒にいるって言ったじゃない。あたしと一緒にいられて幸せって言ってくれたじゃないっ……」
「ううん。これでいいの。これでわたし、カンパネッラとひとつの身体になれるの。どんなことがあっても一緒にいられるの」
泣きじゃくるカンパネッラの腕の中で、小さな星はじりじりと燃え尽きてゆきます。もはやどうにもならないのだとカンパネッラは悟りました。あわれな小さな星にしてあげられることは、彼女の願いを、祈りを、この胸いっぱいに受け入れることだけでした。
「これでいいの。だから、泣かないでよ、カンパネッラ」
小さな星は最後に笑いました。
「わたし、あなたを愛して幸せだったよ」
流れ星のきらめきはしだいに薄れ、かすれ、やがては風に吹かれたロウソクの灯のようにかき消えて、あとにはよどんだ色の煙が広がりました。カンパネッラの目の前で、とうとう小さな星は完全に燃え尽きてしまったのでした。
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どこまでも深い色をした、静かな宇宙の片隅。
かなたに横たわる銀河を見上げながら、カンパネッラたち星の家族は今日も、身を寄せ合って暮らしています。
はるか彼方の星の家族に起きた悲劇と、カンパネッラの元へ逃げ込んだ小さな星のゆくえを、お母さん星たちは知るよしもありません。今日も妹や弟たちは、先を争ってお母さん星のぬくもりを求めています。お母さん星は優しい色の光をともして、にぎやかな家族のだんらんを照らしています。
ちょっぴり大きくなった身体を抱えて、カンパネッラはみんなの姿を遠くから眺めていました。
もう、誰かが話しかけてくれることもありません。星の子をたずさえた母親の気分を味わうことも、誰かと隣り合って連星の気分を味わうこともありません。小さな星の燃え尽きた瞬間から、カンパネッラの心にはぽっかりと穴が開いたままです。まるで、先の景色を見通せない暗黒星雲のように。
あなたの名前、聞いておけばよかった。
あなたを好きだと、もっと伝えればよかった。
あなたのおかげでようやく分かった。誰かを愛する気持ちって、こんなに切なくて、こんなに苦しくて、だけどこんなにあったかかったんだ。
こごえるような宇宙の片隅で身をすくめていると、不意に、お母さん星と目が合いました。お母さん星は目を細めて「どうしたの」と口を開きました。
「なにかつらいことがあったのね」
「なにもないよ」
「お母さんには分かるの。言ったでしょう? カンパネッラはお母さんにそっくりなんだから」
はちきれそうに心がふくらんで、込み上げる涙をカンパネッラは必死にこらえました。いつか、お母さんがこういっていたのを思い出しました。
あなたはいつか立派な星になる。
誰かを守り愛することのできる、あったかな星になる──。
「お母さん」
「なぁに」
「あたしもお母さんに甘えたい」
ふたをし続けてきた本音がとうとうこぼれました。
ふるえるカンパネッラを見て、お母さん星はそっと笑いました。
「おいでなさい。ほら、あなたたちも、たまにはお姉ちゃんにゆずっておあげ」
文句を言いながらも、ちびっこ星たちが場所を開けてくれます。おずおずとカンパネッラはお母さん星のそばへ近寄りました。お母さん星の大きな腕がカンパネッラを包み込みます。じりじりとこがれた胸が痛んで、そうか、とカンパネッラは思いました。
あの小さな星も、きっとカンパネッラのように、誰かの優しさに甘えたかったのだと。
胸の中で燃え尽きてゆく小さな星は、本当の本当に幸せだったのだと。
──『わたしたち、ずっと一緒にいようね』
小さな星のささやきが、そっとひびいて、流れ星のように消えてゆきました。そうだね、とカンパネッラはつぶやきました。
あなたのことを忘れない。
ずっと一緒だよ。
あたしの大切な友達。
あたしが初めて愛した、大好きな友達。
お母さん星の胸の中で、カンパネッラは小さな星の幸せを強く、強く祈りました。ひとすじの涙がほおをつたって、白く光って、暗い宇宙のどこかへ流れ星みたいに散ってゆきました。
この物語は「冬の童話祭2022」参加作品です。