表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したから平和に生きたい  作者: rab
平和な暮らし
5/23

異世界の考察

最初分はここまでです。

3歳から自発的に文字を覚えようとする俺は、母さんから見たらやっぱり不自然だったようだ。


母さんが起きて隣を見ると、父さんが俺に文字を教えている構図だったので、父さんが無理矢理勉強させようとしてるんじゃないかと責められた。


最終的には、俺が生まれつき勉強好きな子供なんだろうと父さんに言われたことと、自分から読みたいって言った、と俺が伝えたことにより納得したようだった。


最初は父さんを質問責めにして言葉を覚えていったが、父さんも結構言葉を知らなかったので途中からは母さんに教えてもらうことにした。


こうすると、俺は母さんと妹の世話の手伝いも出来るし、父さんは家事や本職の農業に専念することが出来て丁度良かった。

父さんは少し寂しそうだったけど…


ステータス画面は結局、書いてあるもの以上の情報は無かった。

生命だの魔素だの書いてある単語も、この世界における何がそれに当てはまるのかも分からないし認知されているかも不明だ。

世界を知るまでは出来るだけ慎重に過ごしたいので、まず文字を覚え、それからステータスについて記述されている書籍を探すしかない。


───────────────────


妹の世話を手伝いながら勉強をし、この世界に馴染めるように色々と考える生活を続けた。


4歳になる頃には、文字はほぼ完璧に読めるようになり、最初に貸してもらった動物図鑑は読破することが出来た。

最初に読破出来た時には嬉しかったし、父さんと母さんはとても驚いていた。

驚きすぎてすぐには褒めてくれなかった。


…4歳で図鑑が読めたらダメだったかもしれない。


ちょっと不自然だったかと思い、勉強が好きで夢中になった、と伝えたら両親は納得した。

その理由で納得するんだ…

その後はめちゃくちゃ褒められて頭を撫でられた。

そして読破した動物図鑑を返し他の図鑑を借りた。


余談だが、文字が短期間で読めるようになったのは、この世界の、というよりは今住んでいる地域だけの言語の特徴にある。

文字の種類と形は全く違うものの、読み方が元々住んでいる世界のアルファベットによく似ていたのだ。

偶然なのか単語すら読み方が似ているものもあり、苗字である『イーストウッド』もその例だった。


───────────────────


5歳になる頃には、他の図鑑も読破した。

動物、魚、虫など、生き物についての図鑑の他にも、人間の仕組みのアレコレについて書かれている本も貸してもらった。


人間の仕組みのアレコレは父さんに借りたが、母さんに返した時には少し微妙な顔をしていた。

確かに5歳には早すぎた内容だった。


そして全て読破した結果、色々と分かったことがあった。


まず、この世界には『魔素』という物質があり、空気中どころか生き物の体内にも一般的に存在しているらしい。

図鑑に載っている動物全てに魔素の量についての記述があったので、ステータス画面における『魔素』はこれのことだろう。


また、魔素を攻撃の手段として用いる動物も確認されており、その動物を『魔物』と名付けて定義している。

そしてその攻撃の手段を『魔法』と定義している。魔法は、自然現象を強制的に引き起こすものがほとんどであるらしい。

これを聞くと魔法はとても強力な動物だと感じるが弱点もあり、魔法は体内の魔素を使うことでしか発現出来ないので、体内の魔素が無くなると魔法を使うことが出来なくなる。


更に、魔物の中には一般的な動物とは違う発生の仕方をするものも確認されている。例えば、濃い魔素が一定の場所に固まっている場所に水が存在すると、魔素が水に癒着し自発的に動きだすようになることがあるという。この現象には『スライム』という名前が付けられているが、これも魔物として扱う。このタイプの魔物は死亡すると魔素が癒着する前の物体に戻るという。

何故動き出すのかはまだ解明されていない。


ここまでは動物全般の魔素についての理解だが、魔素は人間に特殊な作用を及ぼしているらしい。


まず、人間は個人の素質によるが全員が魔法を使えるという。

しかしその素質が大事で、素質によっては雷のような大規模な自然現象を起こす魔法が使えたり、逆に水滴を出す程度の自然現象しか起こせないこともある。

いかに魔法を自由に扱えるかという素質を『魔力』と定義している。これもステータス画面にあった項目の1つだ。

この魔力が高ければ高いほど、高威力の魔法が使えるということだ。ただし、高威力な魔法ほど、消費する魔素も多くなる傾向がある。



魔素が関連するもののうち、最も大事なのが『スキル』だ。

ステータス画面にもあった項目だが、このスキルには『固有スキル』『コモンスキル』の2種類がある。

どちらも魔素由来であることは判明しているが、どのような作用で発現するのかは不明であるらしい。


俺はステータス画面で確認出来たが、本来は専門の機材か専門の固有スキルが無いと分からないものだという。あの時、父さんにステータス画面が見えなくて良かった。


『固有スキル』は、先天的に固有で所持しているスキルだ。

例としては、『火精霊の加護』は火に関連する自然現象を起こすために消費する魔力が少なくなり、かつ規模は大きくなる等の魔力に関連するものから、筋力が通常の1.5倍となる『剛力』等の身体に影響を及ぼすものまで幅広く存在する。

ただ、固有スキルが被ることは結構あるらしく、同じ固有スキルを持っている人も数多くいる。先程の『火精霊の加護』『剛力』を持っている人はメジャーな部類だそうだ。

ちなみに、図鑑には色々な固有スキルが載っていたが、俺の固有スキル『鶏と卵』はリストには無かった。

そして、基本的には人間は固有スキルを1人1種類しか所持していない。例外として、『亜人』は複数の固有スキルを持つらしいが、亜人が何なのかは家の中に本が無かったので分からない。

亜人ってなんだろう、めちゃくちゃ気になる。


『コモンスキル』は、後天的に得られるスキルだ。

専門的な機材、または専門の固有スキルを持つ人がいれば誰でも自由に取得出来るが、固有スキルよりも平凡な能力を得られるものが多い。

素質によって取得出来るスキルに種類と限りがあるらしいが…

例としては、『洗濯上手』は洗濯の能力が高くなる。『俊足』は足が早くなる。『安眠』は寝付きが良くなる。いや流石に平凡すぎる…

ただ、火の魔法の規模が大きくなる『火遊び』のように、固有スキルには及ばないがそれに近い能力が得られるスキルも存在する。

それに平凡な能力でも生活の質を上げることを考えるとバカにならない。洗濯が上手くなれば清潔で快適な衣服が着られるし、足が早ければ移動がスムーズになる。

ちなみに母さんは『洗濯上手』を持っているらしい。


コモンスキルを取りたい、と父さんに言ったところ、お前にはまだ早いと言われた。

容易に取得出来る反面、素質によっては危険なスキルも取得出来てしまうため慎重に考えるべき問題だそうだ。確かに。

成人したら、自分の固有スキルを診断したりコモンスキルを取得させてくれる儀式を受けられるらしい。その時までに立派に成長していたら考えてくれるそうだ。


また、コモンスキルの取得には『スキルポイント』というものも必要らしい。

これは専門の機材が無いと所持しているかどうかも分からず、どうやって取得するのかも教えて貰えなかった。

本にも書いてなかったのでどうしようもない。


───────────────────


寝室にある少し背の低い椅子に座り、今までに手に入れた情報を父さんに貰ったノートに書いて整理していると、あることを思いついた。


…ニワトリならなんか出来るのでは?


ステータス画面が出るならスキル画面とかそういう類のものも出るんじゃないか?

もう2年くらい前の前世の記憶だが、ゲーム好きとしての勘がそう言っている。


隣の椅子に置いていたニワトリを手に取り漠然と、スキル、と念じてみる。


青い板が出てしまった。


『コモンスキル一覧』と書かれている。

ホントに出た。どうしよう。


青い板に、チェックボックスらしき記号と単語の組み合わせが縦に20列、横に2列続いている。

うわぁ多いな…こんなに選択肢あるものなのか。と、下の方に目を移すと、『1/100』と書いてあった。


「…」


…まさかこのリストが100ページあるのだろうか。

大分多い気がするけど、皆こんなもんなんだろう、そうに違いない。

問題は取得出来るかどうかだ。

試しにパッと目に入った『火遊び』をタッチしてみる。ステータス画面と違って、タッチすると反応があった。


ポップアップが出る。

『取得しますか?』の文字とその下に

『5000 → 4999』と書かれており、更にその下には

『取得』『キャンセル』の選択ボタンがある。


これは多分、1ポイントでスキルを取得出来るということだ。結構お手軽だな。


ところでこの5000ってなんだろう。


もしこれが所持スキルポイントだとしたら、さっきのリストのスキル全部取れてしまうけど、考えすぎかな…


一旦『キャンセル』を押し、前の画面へ戻る。

画面をよく確認すると、右上に『所持スキルポイント:5000』と書かれていた。



「…………………………………………………」



閉じろ。よし。閉じたな。


何も見なかったことにした。

父さんも慎重にするべきだって言ってたし、今は止めておこう。今全部取ったらダメな気がする。


そうだ、父さんの手伝いをしに行こう。

今の時間は畑でスライム狩りをしているはずだ。

俺も参加させて貰って一旦忘れよう。

よし。


俺は椅子を降りて歩き、ようやく手が届くようになった扉を開く。

そして家を出るために玄関へ向かった。


ニワトリは寝室に置いてきた。


キリのいい所までは書けました。

冒険はまだ先です。遠い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ