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その白百合の花は  作者: Noa
3/7

花の意味

彼女はゆっくりと落ち着いた声で話し始めた


「君は覚えてないだけなんだよ」


そう、彼女は話し始めた


「私と君は昔会ったことがある、あれは大体10年前くらいだったかな・・・」


彼女は淡々と話した


「今の私からは全てを話すことはできないんだけどさ」


彼女は微笑みながら話した。でも、柊はその目の中にどこか悲しい感情が見えた


「じゃあ、そろそろ帰ろうか。」



その日は彼女と帰った。話していたことを詳しくは覚えていないが、一つ覚えているのは・・・


「今日の月は一段と綺麗に見えますね」


その日は、「満月」だった



それからしばらく話さない期間が続いた。その間なぜか胸が痛かった



ー7月ー


夏になり始め少しずつ気温も上がってきた

体育大会当日の朝、柊の家の前には彼女がいた

彼女は微笑んでいた


「一緒に行こ?」


胸が熱くなった。

歩き始めて最初に沈黙を破ったのは柊の方だった


「なんで、僕の家に来てたの?知ってたの?」


来ていたことに不思議と嫌な気持ちはしなかった


「なんで家に・・か・・なんでだろ。えへへ」


優しい笑顔で笑った


「でも、家を知ってたのは昔遊んだことあるからだよ?」


また昔の話だ。柊にはその昔の記憶が少しもなかった

いや、昔の記憶はあっても彼女との記憶は少しもなかった


「覚えてなくてもしょうがないよね・・・」


少し寂しそうな声がした

申し訳ない気持ちになった


「ごめん。」

「謝らないで。」

「でも・・」

「しょうがないことなの」

「なんで・・」

「まだ言えない」


前にも言っていた。今は言えない、まだ言えない

なんで・・・よくわからないよ・・・


ふたりはしばらく無言で歩き続けた


もう少しで学校につく、人が増え始めてくるそんな時

少し頬を赤らめながら彼女は言った


「少しかがんで・・・」


よくわからなかったが従った

すると彼女は柊を抱きしめて、首筋にキスをした


「ごめんね・・・」


泣いていた



その意味を・・・あの時は理解できていなかった・・・




・・・償い・・・

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