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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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95 成長

 大陸暦420年の秋が終わる頃。俺と妹がこの世界に飛ばされて、丸二年が過ぎようとしていた。


 さまざまな出会い、事件があった事が懐かしく思い出され、俺もずいぶん成長したと思う。

 ……成長、したか?


 ふと気付いたが、内面はともかく外見は全然変わっていない気がする。

 この二年間で俺は16歳から18歳へ。妹は13歳から15歳になったはずだ。自分の姿を見る機会はあまり多くないが、毎日見ている妹は二年前からなにも変わっていないように思える。


 13歳から15歳といえば、中学一年生から三年生相当。成長期真っ只中のはずなのに、妹は二年前と変わらず小柄なままで、胸はあの時から多少あったけどそれ以上は成長していな……じゃなくて、外見が全く変わっていないのだ。


 もちろん髪や爪は伸びるので、そのつど切ったり切ってもらったりしているが、他はまるで、時間が止まってしまったみたいなのである。


 ちなみにこの世界、爪切りがないので小さなナイフやハサミで爪を切るのだが、正直ちょっと怖い。

 不器用な方ではないつもりだけど、左手はともかくとして、利き手じゃない左手で右手の爪を切るのとか、足の爪を。特に、小さい小指の爪を切るのなんかは、ヒヤヒヤものだ。


 一度妹が足の小指の爪を切るのに失敗し、流血事態になってからは、妹の爪は俺が切ってやるようになり、お返しにと、俺の爪は妹が切ってくれるようになった。


 ただ爪を切るだけなのだが、特に足の爪を切る時なんかは少し穏やかではない。

 生足の指に手を添えて、ある程度顔を近づけてハサミを当てる訳で、妹のきれいな足先を見て触れていると、なんだか妙な気持ちになってくるのだ。


 どうやら俺は足フェチという奴だったらしいという発見をしたが、この事は妹には絶対気づかれてはいけないので、毎回平静を装うのが大変だ。

 一方切ってもらう時は時で、なんかこそばゆくて妙な気持ちになるので、俺はもうダメかもしれない。こんな兄でゴメンな香織……。


 ……と、そんな話は置いておいて、今は俺達の外見が成長していない問題だ。


 リンネ達の外見が全く変わらないので今まで違和感を覚えなかったが、よく考えたらむこうはエルフ。俺達は人間である。

 数少ない身近な人間枠であるライナさんは、この二年ほどの間に少し大人びた感じになったし、ニナも一年ちょっとの間に、たしかに成長しているのに……。



 体の事なので薬師さんに相談してみたら、『それは、おまえ達が魔族だからなのではないのか?』と、しれっと言われてしまった。……は?


「え、魔族って歳を取らないものなんですか?」


「知らん。魔族というのは伝説上の存在で、私も実物を見た事がある訳ではないからな。だがそれだけに、エルフに準じる寿命や特殊な生態を持っていたとしても、なにも不思議ではない」


「…………」


 仮説の域を出ない話だとの事だったが、俺には鑑定の能力があるので、久しぶりに自分を鑑定してみる事にする


 高倉洋一 人間 18歳 スキル:なし 特殊スキル:鑑定 状態:ふつう


 うん、やっぱり魔族じゃなくて人間だよね。っていうか、二年も経って『スキル:なし』のままなのが地味にショックだ。

 エイナさんとかニナとか成長していたし、ライナさんは新しく『乗馬Lv1』とかついてたのに……。


 ひとしきり凹んだ後、一応妹も鑑定してみたが、やはり人間だった。

 ちなみにスキルは、料理Lv3の裁縫さいほうLv3だ。この世界に来た時より1ずつ伸びている。


 もうしばらく凹んだあと、妹にこの件を話してみたら、『魔族がなんなのかは知らないけど、お兄ちゃんと長い間一緒にいられるのならすごく嬉しいな!』と、斜め上の返答が返ってきた。真剣に妹の将来が心配になる。



 エイナさんにも手紙で魔族についてたずねてみたが、『伝説上の存在で、存在は疑わしい』という返事だった。


 あとは……ファロス大公ならなにか知っているかもしれないが、気軽に訊けるような間柄でもないし、仮になにかを知っていたとして、俺が魔族かもしれないなんて知られたら、あの人の性格からして実験材料にでもされかねない。

 それは嫌過ぎるので、この線はなしだ。


 ちなみにファロス大公は、熱気球の技術提供を通じてエイナさんとはかなり親しくなっているらしい。

 なんでも、内戦のあとしばらくして初めて王都へやってきたファロス大公は、新国王への挨拶より先に王立学校のエイナさんを訪ねてきたのだそうだ。いいのかそれ?


 今も二人で熱気球の研究と改良を続けているそうで、ゴンドラ一体型の気球を作り、人力手回しのプロペラをつけて、ある程度行動をコントロールできるようになったらしい。

 なんか元の世界と違う方向に進化しつつある。


 ファロス大公は好んで自分が空に上がりたがるそうで、すでに二回足の骨を折ったらしい。

 部下の方々の苦労がしのばれる。


 やっぱり、こんな好奇心の塊みたいな人に魔族云々の相談を持ちかけるのは危なっかしいよなぁ……。



 そんな訳で、この件はとりあえず保留の経過観察として、俺は久しぶりの平穏な時間を満喫するのだった……。




大陸暦420年11月10日

現時点での大陸統一進捗度 1.2%(パークレン鉱山所有・エルフ4963人)(パークレン子爵領・エルフの村3ヶ所・住民293人)

資産 所持金 21億1483万(+4560万)

配下 リンネ(エルフの弓士) ライナ(B級冒険者) レナ(エルフの織物職人) セレス(エルフの木工職人) リステラ(雇われ店長) ルクレア(エルフの薬師) ニナ(鉱山前市場商店主)

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