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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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85 気になる情報

 リステラさんは俺に色々な情報を流してくれるが、その中で俺の気を引いたのは、最近奴隷の値段が下がっているというものだった。


 特にエルフの奴隷は下落が大きく、今までは一人100万アストルで安定していたのに、70~80万アストルくらいまで落ちているらしい。

 50万アストルは首輪の値段である事を考えれば、エルフさん単体でほぼ半値だ。


 理由は明らかで、先日の内戦で多くの貴族家や商会が潰れた結果、そこで使われていた奴隷が大量に市場に流れ、一時的に供給過剰を起こしているのだ。


 中でもエルフの奴隷に関しては、各地の領軍で使われていた人達が多いとの事。

 軍で使われるエルフの奴隷達は、荷運びや雑役の他にも、兵士達の性欲やストレスのはけ口としても使われるのだという、嫌な話を聞いた記憶がよみがえってくる。


 気が重くなってくるが、だが逆にチャンスでもある。

 エルフの奴隷は通常、一度買われたらそこで死ぬまで使い潰されるのが当然で、奴隷市場に出回るのは牧場で養殖された子達ばかりである。

 だが今なら、市場に売られている中に森出身のエルフさんがいるかもしれないのだ。


 北部大森林地帯の領地を得た事で、エルフさん達を森に帰還させる計画を徐々に進めてはいるが、どうしても問題になるのが、大勢いる牧場出身エルフさん達を養う方法なのである。


 森出身のエルフさんはともかく、産まれた時から奴隷として飼われていて、自力で生きていく術を持たない牧場出身のエルフさん達は、首輪を外して森に解き放てばそれで善しとはいかないのだ。


 以前リンネに訊いてみたら、自分くらいの採取技量で安定して養える人数は、50人。

 食料だけに限れば200人も不可能ではないが、冬を越せるかは少し不安との事だった。


 禁固刑じゃないんだから、エルフさん達にはそれぞれ得意分野で自由に働いて欲しいし、そのためには素材の採取も必要になる。

 かといって道のない森の奥には馬車が入れないので、鉱山のように人間の村から食料を大量に運び込むのも難しい。


 リンネが採取を教えているエルフさん達もいるが、現状フランの花集めみたいなピンポイント任務をこなすのがようやくという所らしい。ふつうは一人前になるまで20年くらい、師匠と一緒に森に入るのだそうだ。

 先が長すぎる……。


 リステラさんと話をして南西部のリステラ農場を手放して、エルフさん達を鉱山に連れて来たいとお願いして了解をもらい。治安が回復して隊商が再開されたらすぐ迎えに行ってもらえるよう手配をしているが、それでも採取ができる人は五人増えるだけだ。

 鉱山と、農場から一緒に来るエルフさん達を合わせて4000人以上は、とても養えない。


 なのでどうしても、採取ができる森出身のエルフさんが大勢必要なのだ。

 そして今は、ひょっとしたらそれを確保できる好機かも知れない。



 俺は早速リステラさんの元に出向き、転売されているエルフ奴隷をなるべく多く買い集めてもらうようお願いをする。


 資金としてとりあえず5億アストルを預け、足りなかったら追加で払う約束をするが、リステラさんによると農場の売却代金もこれに当ててくれるらしい。


 俺の勝手で売り払う事になり、迷惑をかけたのだからそれはいいと言ったのだが、長距離交易の経験を積む事ができたし、今はネグロステ伯爵領がある北西部を中心に商売をする計画なので、気にしなくていいと言われてしまった。


 ちなみに農場の売却価格は、内戦後の混乱した時期でもあるので期待していなかったが、リステラさんによるとそうでもないらしい。


 なんでも多くの貴族家が取り潰された事で多数の軍人が職を失い、一部は盗賊などになって治安をおびやかしているらしく、国も頭を痛めているのだそうだ。


 そこで、元軍人達を一まとめにして農場に移住させ、しばらくは国から生活費を支給して、数年で自活できるようになってもらうという企画を、ネグロステ伯爵家経由で売り込むのだそうだ。


 上手くいけば、アイディア料込みで結構なお金になりそうだとの事。アイディア料はもちろんリステラさんの取り分だが、頼もしいなホント。


 だがこれは、主家の滅亡という非常事態であるとはいえ、今までエルフの奴隷がしていた仕事を人間がするようになるという事な訳で、俺にとってはとても興味深いモデルケースになるかもしれない。


 リステラさんいわく、『通常なら採算が取れませんが、辺境なのと彼等は元軍人ですから、ワイバーンなどの魔獣狩りとあわせて、なんとか黒字に持っていけるかもしれません』との事だった。


 やっぱり問題になるのは採算性だよね……今までタダ同然で使っていた労働力を人間に置き替えるんだから。


 とはいえ興味深い事例には違いないので、リステラさんには引き続き経過を教えてくれるようにお願いしておく。



 そんな訳で、買い取ったエルフ奴隷は順次鉱山へ送ってもらう段取りをつけ、俺達は久しぶりに鉱山に帰る事になった。


 内戦前、当時のファロス公爵家に献上する熱気球を作りに行って以来だから、もう三ヶ月ほどになる。


 ファロス大公に熱気球の秘密を教えると約束しているので、リンネ達に素材について教わるべく、エイナさんも一緒だ。


 ファロス大公の対応もエイナさんに丸投げする事になってしまって、なんか色々申し訳ない。

 本人は負担に感じていないみたいだから、多少気が楽ではあるけど……。




大陸暦420年2月22日

現時点での大陸統一進捗度 1.2%(リンネの故郷の村を拠点化・現在無人)(パークレン鉱山所有・エルフ3977人+100人リステラ農場から到着予定)(パークレン子爵領・住民0人)

資産 所持金 39億3095万(-5億3万)

配下 リンネ(エルフの弓士) ライナ(B級冒険者) レナ(エルフの織物職人) セレス(エルフの木工職人) リステラ(雇われ店長) ルクレア(エルフの薬師) ニナ(鉱山前市場商店主)

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