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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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83 内戦の後処理

 王位継承権を争う内戦が終わって一ヶ月。王都は平穏を取り戻し、戦後処理もおおむね終わったようだった。


 主にエイナさんからの情報によると、国王には第二王子が即位し、軍務大臣であった先王の弟は宰相さいしょうに。ファロス公爵家は領地が増えて大公になったらしい。


 ネグロステ伯爵家は今回の戦いにおいて功一等と評され、領地が大幅に増えたそうだが、公爵にという話は断ったらしい。

 当主さんは論功行賞ろんこうこうしょうの席でキッパリと、『半分以上私怨でやった事ですから、そのような名誉を頂戴する訳にはまいりません』と言ったそうだ。

 絶対に怒らせてはいけない人ランキングの上位に載せておこう。


 伯爵家三女のユミルさんは無事侯爵家の長男さんとの婚約が発表され、来年早々にも結婚するとの事。相手のレインク侯爵家は、公爵になったそうだ。



 一方で、第三王子は敗走途中に戦死。第三王子派の盟主だったバルナ公爵は、個人的に恨みがあったネグロステ伯爵軍が執拗しつように追撃し、当主ほか主だった者達は討ち取られ、ユミルさんを襲わせた長女さん達は、知り合いを頼って国外に亡命したらしい。


 バルナ公爵家をはじめ、第三王子派だった貴族家は軒並み取り潰しや領地削減の上降格となり、貴族の数は三割くらい減ったそうだ。


 王家の直轄領は増えたらしいが、かといって王権が大幅に強くなった訳ではなく、新たに大公家となったファロス家、戦いにおいて実質第二王子派の中核になり、婚姻関係を持つ事になるネグロステ伯爵家とレインク公爵家の一派。第二王子派として戦って、領地が増えたり爵位が上がったりした貴族達。さらには、取り潰しはまぬがれて存続した元第三王子派の貴族達。そこに領地を持たない宮廷貴族も絡んで、諸勢力の利害や因縁が混在でややこしい事には変わりがないらしい。

 街の皆さんが戦いの結果にあまり興味なさそうだったのも分かる。下から見ればなにも変わってないのと同じだからね。


 ただ、商家の人達は貴族家と関わりが深かった所を中心に影響が大きいらしい。

 取引先を失ったり、貸していたお金が返ってこなくなったりして、潰れたり傾いたりした所が幾つもあるそうだ。

 リステラさんが嬉々として流出人材の確保に走り回っていた。毎日が楽しそうでなによりである。


 そして俺達の周りで一番大きな変化は、エイナさんが貴族になった事だ。

 ファロス公爵を第二王子派に引き込んだ功績と、ネグロステ伯爵の強い後押しがあって、子爵としてパークレン家を再興した。

 元は男爵家だったそうなので、一ランクアップだ。


 もっとも、エイナさんは当初あまり乗り気ではなく。『事実上洋一様の功績なのですから、洋一様が貴族になられては?』みたいな事を言っていたが、俺も目立ちたくないので、爵位の押し付け合いみたいな事になってしまった。


 そこで俺は一計を案じ、この話をこっそりライナさんに流してみた所、ライナさんはことの外喜んでくれ、すごく嬉しそうにエイナさんを抱きしめるという最高の仕事をしてくれた。

 満面の笑みを浮かべたライナさんに抱きつかれ、エイナさんがコロッと態度を変えてめでたく子爵就任が決定するまで、わずか3秒だった。

 相変わらずお姉様命のようで、大変結構な事である。


 半分だまし討ちのような事をしてしまったが、小一時間ライナさんに抱きつかれて祝福してもらったエイナさんは大変ごきげんで、領地運営の相談はすこぶる順調に進んだ。


 エイナさんは一応まだ学生だし、そもそもほとんど俺の功績なのだからと言って、運営は俺に一任してくれるとの事。

 なので、領地は提示された東部にある元第三王子派だった子爵領を辞退して、王国北部に広がる大森林地帯をもらう事にする。


 エイナさんはいろんな人から『面積こそ広いが、なにもない所だぞ』『たまに冒険者が採取に入る程度で、住民はいないし麦の一粒も採れないぞ』『領地持ちの子爵となれば、最低でも年に2億アストルは国に納めねばならん。それはどうするのだ?』とずいぶん忠告されたそうで、変わり者として一躍有名になってしまったらしい。

 ちょっと申し訳ない気もする。


 だがそんな不評の地も、俺にとっては理想の地なのだ。住民はエルフさん達になってもらうし、お金も多分なんとかなると思う。


 領地についてより細かく言うと、森と人里の境界から半日圏内は、地元の人達が薪を集めたり採取をしたりするので隣接領の勢力圏とし、それより奥。隣国との国境線になっている大山脈の頂上までがパークレン子爵領となる。


 広さこそ王国最大貴族であるファロス大公領をしのぐが、人口0人で、凶暴な獣や魔物が跋扈ばっこする魔境と言ってもいいような場所だ。


 将来的には、ここにエルフの国を作って独立国にしたい。

 最初は夢物語のようだった事が、一気に現実味を帯びてきた気がする……が、実際には国を作る前にそもそも移住の段階で問題がある。

 鉱山にいるエルフさんは大部分が牧場生まれで、いきなり森へ行った所で生活ができないのだ。


 大森林はエルフさん達の故郷こきょうであるとはいえ、知識や技術なしで住めるような優しい場所ではない。

 今すぐに牧場出身のエルフさん達を送り込んでも、食料の確保はおろか身を守る事さえできないだろう。

 なので実際の移住開始はしばらく先になるだろうが、とりあえず準備だけは進めておく事にする。



 ……あと他に変わった事と言えば、リステラ商会とネグロステ伯爵家の関係だ。

 リステラさんは先の内戦で伯爵家に協力した見返りとして領内の自由通行権を得たらしく、伯爵領がある北西部を中心に新しい商売に乗りだすのだと、やる気満々だった。


 リステラ商会が成長するのは俺にとっても利益があるので、大いにがんばって欲しい。将来的には森から伯爵領を通って産物を運ぶ仕事もお願いしたいしね。



 そんな感じで戦後処理はおおむね終了したのだが、王国全体で見るとまだ混乱が続いている場所があったり、治安が悪化していたりと色々大変らしい。


 なので鉱山に帰るのはもう少し伸ばして、エイナさん達とパークレン子爵領の細かい運営方針などについて相談をする事にする。



 そういえば、内戦のせいで来年からだと思っていた、ユミナさんの治療費であるネグロステ伯爵家とレインク公爵家からの10億アストルずつ。熱気球の情報提供料であるファロス大公家からの20億アストルが、早くも届けられた。


 無理していないかと心配になるが、もらえる物はありがたくもらっておくのである。

 エイナさんの取り分としてファロス大公家からの20億アストルのうちの一割を渡し、残りの38億アストルが俺の収入となった。


 すごいな……。




大陸暦420年2月1日

現時点での大陸統一進捗度 1.21%(リンネの故郷の村を拠点化・現在無人)(パークレン鉱山所有・エルフ3977人)(リステラ農場所有・エルフ100人)(パークレン子爵領・住民0人)

資産 所持金 45億1129万(+37億9922万)

配下 リンネ(エルフの弓士) ライナ(B級冒険者) レナ(エルフの織物職人) セレス(エルフの木工職人) リステラ(雇われ店長) ルクレア(エルフの薬師) ニナ(鉱山前市場商店主)

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