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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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79 変人公爵アメリア・ファロス

 トレッドに到着した翌日。早速ファロス公爵に面会が叶う事になり、俺達はお城へと向かう。

 なぜか『俺達』である。俺は気球の実演だけでよかったんだけど、その準備はライナさんがしてくれる事になった。


 エイナさんいわく、『熱気球は洋一様の知識なのですから、これで交渉が成功したら功一等ですよ』という事らしい。

 俺としては功績より命の方が惜しいけどね……。


 お城はとんでもなく広大で、城門から謁見えっけんの間まで移動するだけで10分は歩いたと思う。

 なるべく目立たないよう、エイナさんの後ろに控えるようにして、俺は謁見の間で頭を下げる……。



「構わん、頭を上げて楽にせよ。わらわは形式ばった事が嫌いじゃ」


 頭の上から聞こえてきたのは、若い女の人の声。言われるままに頭を上げると、玉座……でいいのだろうか? 一際高い所の椅子に座っていたのは、薄ぶちの眼鏡をかけた小柄なお姉さんだった。


 見た感じのイメージだと、デパートの中のちょっとオシャレな本屋さんとかで働いていそう。知的で、仕事をテキパキこなす自信家のやり手お姉さんって感じ。でも小柄。


 鑑定してみると


 アメリア・ファロス 人間 24歳 スキル:工学Lv4 化学Lv3 建築学Lv3 自然学Lv3 政治学Lv2 生物学Lv2 植物学Lv2 軍事学Lv2 礼儀作法Lv1 状態:不快 地位:ファロス公爵家当主


 と出た、スキル多いな!

 24歳女性で公爵家当主な事より、幅広くて高レベルな知識量にびっくりだ。

 そして礼儀作法Lv1な辺り、本業の社交とかはかなりおろそかにしていそう。内政に関しては名君らしいけど。


 エイナさんが立ち上がり、うやうやしい口調で口上を述べる。


「本日はお目にかかれて光栄に存じます。ファロス公アメリア様。御機嫌……『長い!』


 だが、口上ははじまってすぐに止められてしまった。公爵の隣にいる初老の男性がオロオロしているのを無視して、公爵は豪華な椅子いすに座ったまま足を組み、右ひじを肘掛けに立てて、グーにした手に顔を乗せるように首を傾け、不機嫌そうに言葉を発する。


「わらわは忙しい身じゃ。簡潔に用件を申せ」


 なるほど、これは噂にたがわぬ変わり者だ。少なくともこの国の貴族としてはかなり特異なタイプだろう。

 だがエイナさんは動揺を見せる事なく、いつも通りの様子で対応する。


「はい。では、私はネグロステ伯爵家より使者として遣わされた、エイナ・パークレンと申します。本日は公爵様にネグロステ伯爵家にお力添えいただき、共にバルナ公爵家と対峙していただきたく、お願いに上がりました」


「ほう……」


 公爵の目が細まり、口元が面白そうに笑う。


「エイナ・パークレンと申したな。十日熱の薬の件で名前は聞いておる。だがパークレン家は10年以上前に取り潰されたはず。そしてそなたは、ネグロステ家の人間ではあるまい?」


「おっしゃる通り、今の私は平民の身分でございます。そしてネグロステ伯爵家の家臣でもなく、一個人の身として依頼を受けて参った次第です」


 エイナさんの返事に、公爵の隣にいる初老の人が一転怒りの表情を見せる。

 だがそれを軽く手で制し、公爵は面白そうに話を続ける。


「伯爵家から公爵家への使者であれば、通常は当主本人か嫡子ちゃくし辺りが来るものであろう。先日バルナ公爵家からも使者が来たが、当主の長男であったぞ」


 あ、やっぱり向こうも接触してたんだ。同じ南部同士で近い分先を越されたか。


「一般的な儀礼であればおっしゃる通りでございましょうが、公爵様はそういった事に興味をお持ちではないと聞いておりますので」


「……なるほど、たしかにその通りである。それで、エイナ・パークレン。そなたはわらわの興味を引く事ができるのか?」


「それを期待されたからこそ、私が使者に選ばれたのだと思っております。つきましては献上品を持参いたしましたので、中庭においで下さればありがたく存じます」


「献上品じゃと? 悪いが少々の物ではわらわの興味は引けぬぞ。バルナ公の息子は希少な動物と鳥の剥製を10体。鉱物と植物の標本を30点持って参ったが、全て所有しておる品であったので突き返した」


 おおう、結構無茶するな。でもそれなら、バルナ公爵と友好関係にはなっていなさそうだ。


「さようでございますか。では、公爵様に空を飛んでいただくというのはどうでございましょうか?」


「なに?」


「正確には飛ぶと言うより浮くですが、今まで味わった事のない体験ができるかと。あ、宙に浮くという性質上どうしても多少の危険が伴いますので、その点に問題があればどなたか家臣の方か、私自身でも構いませんよ」


「ほう、ぬかしよるな。よかろう、もし本当に空を飛ぶなどという体験ができるのなら、多少の危険など考慮にすら値せぬ。もし本当に宙に浮き、そのせいでわらわが死ぬような事があれば、そなたに公爵位を譲ってやっても良いぞ。だがもし嘘だった場合は、宙を飛ぶのはそなたの首であると覚悟しておけ」


「はい。では中庭へどうぞ」


 エイナさんあおるなぁ……。公爵の隣にいた初老の男性が必死に止めているが、公爵は全く耳を貸そうとしない。あの人苦労してそうだなぁ、生え際も怪しくなってるし……。


 とはいえ、俺も人の心配をしている場合ではない。公爵の機嫌を損ねた場合に首が飛ぶの、多分俺もだよね?

 後ろについている妹はなにも警告してこないが、危険察知ってこの手の案件にも有効なのかな?


 とにかく、俺も慌てて中庭に向かう。

 そこではライナさんが、熱気球用の台座を組み立ててくれていた……。



大陸暦419年12月14日

現時点での大陸統一進捗度 0.11%(リンネの故郷の村を拠点化・現在無人)(パークレン鉱山所有・エルフ3977人)(リステラ農場所有・エルフ100人)

資産 所持金 7億2213万

配下 リンネ(エルフの弓士) ライナ(冒険者) レナ(エルフの織物職人) セレス(エルフの木工職人) リステラ(雇われ店長) ルクレア(エルフの薬師) ニナ(鉱山前市場商店主)

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