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妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


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72 新しい動き

 全体の収支を確認するべく再び王都へ向かい、リステラさんを訪ねて話を聞いた所、10月実績で、薬店からの収益が3000万。カレサ布の売り上げは月三着で2000万アストル。俺達の取り分1000万で、ほぼ安定した値段に落ち着いたとの事。


 続いてその日の夜に、エイナさんと各種の清算を行う。


 まず収入として、ネグロステ伯爵家から追加のお礼10億アストルが送られてきて、ユミルさんの婚約相手である侯爵家からも30億アストルが送られてきたそうだ。

 加えて今後五年間、両家から毎年10億アストルずつが送られてくるそうで、合計で150億アストル。すごい、本当に鉱山三つ分だ……。


 エイナさんに仲介手数料を渡そうとしたら、『ルクレア先生の神業を間近に見られただけで十分です』と言われてしまったが、さすがにそうもいかないので、これからも色々お願いする事があるだろうから、その経費も込みでという事で1億アストルを渡した。


 他の経費なども清算した結果、差し引き38億2995万アストルの収入となり、俺の所持金は40億アストルを超えた。すごい……。

 目の前にデンと鎮座する、金貨がぎっしり詰まった木箱。なんかちょっと震えてくる。


 秘密裏に行った事の報酬だけに秘密裏に運び込んでくれたそうで、この家にこんな大金がある事は知られていないらしいけど、それでもなんか怖い。


 エイナさんに保管方法を訊いてみたら、『上に銅貨を薄く敷き詰めて物置部屋にでも置いておけば良いのでは?』と言われた。

 厳重に保管しすぎるとかえって怪しいという事らしい。この世界に銀行があればいいのに……今度リステラさんに相談してみよう。



 とにかくまとまった資金ができた所で、問題になるのはその使い道だ。


 全額抱えて田舎に引きこもれば、死ぬまで優雅な人生が送れそうだけど、この世界に来てまでまた引きこもるのもどうかと思う。いや、元の世界の引きこもりとは全然違うけどさ。


 それに、リンネと約束したエルフの解放はまだ道半ばどころか、ようやくスタートを切った所だ。ここで投げ出すのはさすがに無責任過ぎる。妹だって俺を見損なうだろう…………多分。


 なので資金の活用方法を考えてみるが、抱えて引きこもる以外だとなにがあるだろう? 妹やライナさん、エイナさんにも相談してみる。


「お兄ちゃんの好きに使えばいいと思うよ」


「鉱山の買収資金を一括返済しては?」


「王都の近郊でエルフの奴隷を片っ端から買い漁って鉱山に送れば、ルクレア先生は喜んでくれるでしょうね」


 順に、妹・ライナさん・エイナさんの意見だ。

 っていうかエイナさん、言い方。


 妹の意見はともかく、エイナさんもとりあえず言っただけという感じで、名案だと思っている風ではない。

 それは俺も考えたけど、牧場からの供給が続く限りイタチごっこなんだよね……かといって牧場を買収して供給を止めても、騒ぎになって目をつけられた挙句、他所よそで新しく生産されるだけだろうしなぁ。


 この問題は、それこそ国を乗っ取りでもしない限り解決できないと思う。

 なのでやはりこの中では、ライナさんの提案が一番現実的だろう。借金を抱えているというのは、俺としてもなんか気持ち悪いしね。


 という訳で、明日はリステラさんに会ってその話をし、午後は冒険者ギルドに寄って、馬車いっぱいに積んできたフランの花を売却する事にする。

 リンネとその弟子達ががんばってくれたので、馬車に積みきれないくらいのフランの花が収穫されていた。これも重要な収入源だからね。


 話を終えて俺と妹が部屋に引き上げようとした時、エイナさんが思い出したように声をかけてきた。


「そういえば、三日ほど前からユミル様が王都に戻ってきておられるようですよ」


 おお、薬師さんに手術をしてもらったネグロステ伯爵家のお嬢様。もう完治したのかな? よかったよかった…………ん?


「……あの、エイナさん。それってひょっとして、一波乱あったりしますかね?」


「おそらくはかなり高い確率で。ユミル様は心優しいお方ですから、報復を固く禁じておいででした。自ら命を絶たなかったのも、自分の死後を懸念けねんしての事だったでしょう。

 ですが無事な姿でお戻りとなれば、襲撃させた公爵家の令嬢が黙っているはずがありません。そして再び襲撃を受けたら、さすがに伯爵家も黙ってはいないでしょう。今は状況も悪いですしね」


「状況?」


「はい。当代の国王は重病でせっていると聞きます。第一王子はすでに亡くなっておられるので、後継者候補は第二王子のアレス様か、第三王子で王太子でもあるイーレス様でしょう。お二人をそれぞれ推す貴族の間で、対立と緊張が高まっております」


「ちょっと待って、第二王子がいるのに第三王子が王太子なの?」


「第二王子のアレス様は側室の子ですからね。対して第三王子のイーレス様は正室の子。しかも母親は、名門バルナ公爵家当代当主の妹です」


 あ、なんか嫌な予感。


「そのバルナ公爵家ってひょっとして……?」


「はい。今だから申し上げますが、ユミル様を襲わせた公爵令嬢、マリエル・バルナ様のご実家です」


 うわやっぱり、ものすごく複雑で厄介な問題だったんじゃないか!


 なんかとんでもなく面倒な事に巻き込まれていく気配を感じて、俺は意識が遠くなるのを感じるのだった……。




大陸暦419年11月20日

現時点での大陸統一進捗度 0.11%(リンネの故郷の村を拠点化・現在無人)(パークレン鉱山所有・エルフ3977人)(リステラ農場所有・エルフ100人)

資産 所持金 41億2847万(+38億2845万)

配下 リンネ(エルフの弓士) ライナ(冒険者) レナ(エルフの織物職人) セレス(エルフの木工職人) リステラ(雇われ店長) ルクレア(エルフの薬師) ニナ(鉱山前市場商店主)

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