表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹と異世界転移 ~引きこもりだった俺が妹を護るために大陸を統一するまで~  作者: おとしんくるす


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/323

71 変貌する鉱山

 翌日。俺達がいない間の事をリンネがまとめてくれた報告書を、順に読んでいく。


 厚さが一センチくらいあったので身構えたが、ほとんど平穏無事な日報……というか日記のような物で、書かれている事も明るいニュースが多い。


 主な所を日記調で拾ってみると、



 8/21『レナさんが布作りの応用で紙を作ってくれるようになった(これがその紙)』


 8/25『ルクレアさんが洋一様がいないのを良い事に、四日徹夜をしようとしたので怒った。反省しているようなので寛大なご処置を』


 9/10『セレスさんが作る木製品が市場で大人気の様子。「道具があればもっと作れるのに」と、本人は残念そう』


 9/26『若いエルフ達が一人で森に入れるようになった。最初はフランの花集めを中心にやってもらう』


 10/2『エイナ殿経由でルクレアさん宛に豪華な封筒でお礼状が届く。持って行ったら薬を調合中だったので、「そこに置いておいてくれ」と言われた』


 10/8『お礼状を届けてから六日。まだ同じ場所に置きっぱなしだ。指摘したらようやく開封して読んでいたけれど、一読して「なにかに使えるかもしれんから、エイナに届けておいてくれ」と言われた。それでいいのかな?』


 10/19『肺の病気で入院していた人達のうち、最後の一人が回復して退院した。ルクレアさんは嬉しそうだったけど、少し表情に影が差していた。助けられなかった人達の事を思い出していたのかな?』


 10/20『入院患者がいなくなったので、ルクレアさんが薬を増産するぞと張り切っている。薬草の採取依頼がいっぱいきた』


 10/30『今年はトウの実が豊作で嬉しい。フランの花も順調に集まっている』


 11/5『ルクレアさんが薬の調合をしながら干したトウの実ばかりかじっているので、ちゃんとご飯を食べてくださいと怒る』



 ……なんか、半分くらい薬師さんの話で埋まっている。とりあえず、大きな問題がなかったようでなによりだ。


 牧場出身のエルフさん達がどれくらい成長しているのか、ためしに一人鑑定してみたら、


 メルクト エルフ 6歳 スキル:採取Lv1 弓術Lv1 状態:幸福 地位:リングネースの弟子


 と出た。


 前は番号だったのに、名前がついている。

 訊いてみると、まだ全員ではないが順次名前を決めているのだそうだ。それはいい、番号はなんか冷たい感じがするからね。


 牧場で産まれて、五年間番号で管理されて鉱山で働かされていた子が、やりたい事を見つけて技術を身につけ、名前もついたのだ。俺もその一助になれたのだと思うと、とても嬉しくなってくる。


 ちなみに他の子達も、レナさんの弟子だったりセレスさんの弟子だったりして、布加工や木材加工レベル1の子がチラホラいた。


 技術を習うエルフさん達が増えたので、鉱山の方は人手が減って、先月の金産出量は一日40グラム。買収前の5分の1に落ち込んでいるらしい。

 一時は再び赤字運営になったらしいが、薬師さんが薬を増産して市場で売ってくれているおかげで、最近は逆に黒字状態らしい。

 十日熱の薬を作るのは俺が制限を入れちゃったので、もっぱら市場で売る薬を作っているそうだ。



 それから数日を鉱山で過ごしたが、ヒルセさんの左腕は薬師さんが早速手術をしたらしく、包帯を巻いて肩から吊っている姿を見かけた。

 その様子を見て、俺は一つ相談を持ちかけてみる。


「ヒルセさん。お願いがあるのですが、牧場出身のエルフさん達に読み書きと基本的な知識を教えてあげてくれませんか? いずれは各自得意分野を見つけるとしても、最低限基礎的な知識は必要だと思うんです」


 なにしろ牧場出身のエルフさん達は、最低限の日常会話と数を500までしか教えられていないのだ。奴隷としてはそれでいいのかもしれないが、この先自立して生きていくのなら、最低限読み書きと簡単な計算くらいはできた方がいいだろう。


 ヒルセさんは現状薬師さんに次ぐ年長者だし、一緒に旅をした経験だと人当たりもいい。

 馬車の中でもニナに色々教えてくれていたので、面倒見がよくて先生の素質があると思う。


 話をしてみると、ヒルセさんも牧場出身のエルフさん達の事は気になっていたようで、二つ返事で了解してくれた。


 ヒルセさんは左手が使えないので、セレスさんに頼んで倉庫の一つを教室に改造してもらい、まずは一期生50人をつのって、集中的に勉強を教えてもらう。

 将来的には一期生が二期生を教えられるのが理想だが、それはまだ少し先の事になるだろう。



 勉強と言えば、ニナには鉱山前の市場の店で店長代理をしてもらっている。


 近いうちに薬師さんに二度目の手術をしてもらう予定なので、それが終わったら正式に店を任せる予定だ。


 エルフさん達が作った商品を売りつつ、買い取った食料を馬車に積んでもらい、馬車がいっぱいになったら少し店を閉めて鉱山に運び込み、新しい馬車に乗り換えてまた店を開けに行くというローテーションだ。


 ライナさんが周辺の村人といい関係を築いてくれていたおかげで、トラブルらしいトラブルもないし、一度行商人がニナを威圧しようとした時は、周りにいた村人が助けてくれたそうだ。


 ライナさんって、実はかなり人に好かれるタイプだよね。カッコイイ系美人だし、優しいし、実直じっちょくだし、笑顔が素敵だし……。

 っと、いかんいかん。下手な事考えたらエイナさんに殺されかねない。あの人お姉ちゃんの事になるとホントに人格変わるからな。

 農場から帰ってきて王都に一泊した日。久しぶりに会う姉に抱きついて甘えるエイナさんの図は、微笑ほほえましくもあり薄ら恐ろしくもあった。


 だってあのエイナさんが『お姉様~』とか猫撫で声出して膝枕してもらってたんだよ。夢でも見てるのかと思ったわ。

 ライナさんはライナさんで嬉しそうに頭撫でてあげてるし、なんかもうホントご馳走様だった。


 それを見ていた妹にせがまれて、なぜかその晩俺が妹を膝枕する羽目はめになったけどね……。



 まぁそんな話は置いておいて、とにかく鉱山の運営はとても順調だ。


 なので安心して、俺は資金の清算をするべく再び王都へ向かうのであった……。




大陸暦419年11月18日

現時点での大陸統一進捗度 0.11%(リンネの故郷の村を拠点化・現在無人)(パークレン鉱山所有・エルフ3977人)(リステラ農場所有・エルフ100人)

資産 所持金 2億9852万(-28万)

配下 リンネ(エルフの弓士) ライナ(冒険者) レナ(エルフの織物職人) セレス(エルフの木工職人) リステラ(雇われ店長) ルクレア(エルフの薬師) ニナ(鉱山前市場商店主)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ